賃貸運営を行う大家が直面するトラブルと対処法一覧
賃貸物件を運営していると、どうしてもトラブルは発生してしまいます。トラブルが起きても冷静に対処できるよう、事前にトラブルの事例や対処法を把握しておきましょう。
この記事では、賃貸運営を行うオーナー様が直面するトラブルと対処法を紹介します。
目次
- 1 賃貸物件の大家業にトラブルはつきもの
- 2 賃貸物件の運営で大家が直面するトラブル一覧
- 3 賃貸物件の運営において大家ができるトラブル対処法
- 3.1 家賃滞納トラブルの場合
- 3.2 退去手続きにおけるトラブルの場合
- 3.3 入居者間のトラブルの場合
- 3.4 規約違反に関するトラブルの場合
- 3.5 水漏れトラブルの場合
- 3.6 汚部屋・悪臭トラブルの場合
- 3.7 騒音トラブルの場合
- 3.8 喫煙に関するトラブルの場合
- 3.9 ペットに関するトラブルの場合
- 3.10 立ち退き交渉におけるトラブルの場合
- 3.11 家賃交渉トラブルの場合
- 3.12 夜逃げトラブルの場合
- 3.13 放置ゴミに関するトラブルの場合
- 3.14 長期空室トラブルの場合
- 3.15 管理会社の変更におけるトラブルの場合
- 3.16 無断転賃トラブルの場合
- 3.17 定期借家の契約期間経過に関するトラブルの場合
- 4 賃貸物件の運営で大家はあらかじめトラブル防止策を練るべし
- 5 賃貸運営を自主管理で行う大家の向き不向きについて
- 6 賃貸運営を行う大家がトラブルに直面したら強制退去も視野に
- 7 賃貸運営を行う大家は入居者目線のトラブルについても把握しておこう
- 8 まとめ
-
賃貸経営を行うオーナー様には、さまざまなトラブルが発生するリスクがあるでしょう。
よくあるトラブルには「家賃滞納」「騒音やゴミ出しルールなどによる、入居者様同士のトラブル発生」「ペットに関する問題」などが挙げられます。賃貸物件のオーナー様は、起こり得るトラブルに対し、事前の対策やトラブル発生時の対処法を把握することが大切です。-
では、賃貸物件の運営でオーナー様が直面するトラブルを見てみましょう。
家賃滞納トラブル
家賃滞納は、賃貸経営で頻繁に起こりやすいトラブルで、主に3つの原因が挙げられます。
・家賃を支払う能力がない
・家賃を支払う意思がない
・家賃の支払日を忘れていた
家賃を1~2か月滞納しても、すぐに賃貸借契約を解約することは難しいため、入居者様を強制的に退去させることはできません。なぜなら賃貸借契約では、強制退去を行う条件に「入居者様とオーナー様の信頼関係が破壊された」と判断されなければならないためです。
1~2か月の家賃滞納では、信頼関係が破壊されたと認められないケースが多く、退去させるには適切な手順を踏む必要があります。退去手続きにおけるトラブル
入居者様は、退去費用をできる限り安く抑えたいと思うでしょう。そのため、退去手続きを行う際、部屋の原状復帰費用をどの程度負担するかを決められず、トラブルに発展する恐れがあります。特に、入居時の敷金を預かっていない場合にトラブルが起こりやすい傾向です。反対に、入居時に敷金を設定している賃貸では、トラブルの発生リスクが低くスムーズに退去手続きが進められます。
入居者間のトラブル
賃貸物件を運営していると、入居者間のトラブルはつきものです。その理由のなかでも、騒音問題が多いといわれています。特に木造アパートでは壁や床が薄く、生活音が伝わりやすい構造になっているため、騒音のトラブルに発展しやすいのです。
規約違反に関するトラブル
入居者様による規約違反も、しばしば起こるトラブルの一つです。
規約違反に関するトラブルの内容の例を以下に挙げました。
・ゴミを決められた場所に捨てていない
・契約で定めた入居者様に加えて、無断で友人と同居している
・ペット禁止の物件でペットを飼っている
・住居用の物件を店舗や事務所として使用している ・無断で転貸をしている水漏れトラブル
賃貸物件に限らず古い建物では、老朽化により水回りの設備の故障や天井からの雨漏りなどの問題が発生しやすくなります。入居者様の生活に支障が出るため、設備面のトラブルは迅速な対処が大切です。
汚部屋・悪臭トラブル
部屋の中がゴミだらけで、悪臭が発生している汚部屋が増えています。賃貸物件の部屋がゴミ屋敷になると、退去時のクリーニング費用や手間など、さまざまなコストがかかるでしょう。
また、悪臭が隣人の部屋まで入り、苦情が出るケースもあります。特に、ゴミの腐敗臭やペットの糞尿の臭い、水回りのカビの臭いは強烈なものです。
部屋の悪臭を消すには、特殊な清掃が必要になるため、専門業者を呼ばなければなりません。そのため、汚部屋・悪臭トラブルは、入居者様・オーナー様ともに悩ましい問題となるのです。騒音トラブル
集合住宅では、上下階や隣の部屋に音が響きやすく「隣人の生活音がうるさい」と苦情が出るケースがあります。入居者様自身では気にならない生活動作でも、隣人には騒音に聞こえる場合があるため注意が必要です。
騒音の発生源には以下が挙げられます。
・足音や人の声、ペットの鳴き声
・掃除機、洗濯機、エアコンの室外機
・テレビ、楽器、スピーカー
・トイレや浴室の給排水音
・扉の開閉音
また、騒音問題は入居者様同士のトラブルとなり得るため、迅速な対応が必要です。喫煙に関するトラブル
近年、世間では喫煙マナーの意識が高まり、賃貸物件でも喫煙に関するトラブルが増えています。
隣人がベランダで喫煙をすると、洗濯物を干していたり窓を開けたりしている他の入居者様は、煙や臭いが気になるでしょう。また、受動喫煙の心配をする人も多くいるため、入居者様の間でトラブルに発展しやすい傾向です。ペットに関するトラブル
昨今、ペットブームや単身世帯の増加により、ペットを飼育する人が増えました。ペットのニーズを受けて、賃貸物件でペットの飼育トラブルも増加しています。
賃貸物件で起こりやすいペットに関する主なトラブルは以下の通りです。
・ペットの飼育が禁止されているのに、ペットを飼育している
・ペットの悪臭がする、鳴き声がうるさい
・飼い主のペット飼育マナーが悪い
・賃貸物件の規約に違反したペットの飼育をしている
また、ペットの排泄物や悪臭などにより、入居者様の退去時に部屋の修繕が必要となる場合があります。オーナー様にとってはさまざまなコストや手間がかかるため、避けたいトラブルの一つでしょう。立ち退き交渉におけるトラブル
入居者様の契約違反やオーナー様の事情などにより、立ち退きが必要になる場合があるでしょう。しかし、事情を伝えたとしてもスムーズに立ち退き交渉が進むとは限りません。最悪の場合、裁判になるケースもしばしばあります。
立ち退き交渉が必要になる理由には、いくつかの問題が挙げられます。
・入居者様が家賃を滞納している
・近隣住民へ迷惑行為を行っている
・建物の建て替えや解体、リフォームが必要
・オーナー様が自己住居を希望している原状回復費用に関するトラブル
退去時の原状回復は、国土交通省によりガイドラインが設けられています。しかし、オーナー様と入居者様の認識がずれてしまうケースが多く、トラブルに発展しやすいのです。
実際にあった事例では、「10年以上居住した賃貸アパートを退去したら、高額な原状回復費用を請求された」というトラブルが起きています。家賃交渉トラブル
長期間住んでいる入居者様や入居を希望している人から、家賃の値下げ交渉をされることがあります。また、周辺の家賃相場と比較して明らかに家賃が高い場合も、入居者様から家賃の値下げを求められるでしょう。
家賃の値下げ交渉は、改正民法により設備の故障や生活が困難となる事由が発生した場合、支障の程度に応じた賃料を値下げする必要があると定められています。設備の故障を放置していると、家賃の値下げ交渉をされる場合があるため、オーナー様の迅速な対応が大切です。夜逃げトラブル
収入の減少やコロナ禍による失業などの理由から、入居者様が夜逃げするトラブルも起きています。
特に、郵便物がたまっていたり、長期間入居者様が出入りしていなかったりする場合は、夜逃げの疑いがあるでしょう。
夜逃げのトラブルは、家賃滞納が発生する恐れがあり、オーナー様にとって悩ましい問題となり得ます。家賃の支払いが止まり、長期間出入りしていない疑いがあれば、入居者様の確認が必要です。放置ゴミに関するトラブル
通常、ゴミは地域の自治体やアパート・マンションなどで定められた曜日や時間を守って、分別して出すでしょう。しかし、曜日や時間を守らずゴミを出したり、収集できないゴミを出して放置したりする人がいるのです。
また、賃貸物件の敷地内にあるゴミ捨て場であっても、入居者様以外の人がゴミ捨て場にゴミを放置するケースもあります。敷地内に放置されたゴミが長期間回収されない場合、オーナー様が不動産管理会社や警察などに相談する必要があります。長期空室トラブル
長期間空室が続くと、さまざまな問題が発生する恐れがあります。
起こり得る問題の例は次の通りです。
・賃貸経営の収益悪化
・設備の故障または劣化のリスク
・不人気物件とイメージがついてしまう
家賃収入は、不動産投資を行うオーナー様にとって大切な収入源でしょう。
しかし、空室が続いてしまうと、収入が得られないうえに設備を誰も使わないことで劣化が進む恐れがあります。管理会社の変更におけるトラブル
管理会社を変更する際は、さまざまな手続きが必要です。手続きの方法を間違えたり一部抜けたりすると、トラブルに発展します。
例えば、新しい管理会社へ業務を移すタイミングで、個人情報を破棄する打ち合わせを行わなければ、入居者様の個人情報が漏えいするリスクがあるでしょう。また、入居者様の入居状況や契約内容などが正しく引き継がれないトラブルも発生する恐れがあります。無断転賃トラブル
無断転貸は、民法上の違反行為であるため、発覚した場合賃貸借契約を解除できます。
無断転貸を放置しておくと、以下のトラブルが発生するリスクがあります。
・転借人が反社会的勢力や不法労働者である恐れがある
・近隣トラブルが発生する恐れがある
・壁や床の損傷、設備の故障が発生した場合に、責任の所在が不明確となる
・転借人に家賃を請求すると、オーナー様が転貸を認めたとみなされる恐れがある定期借家の契約期間経過に関するトラブル
定期借家の契約でも、トラブルが発生する事例があります。
定期借家契約とは、賃貸物件に居住できる期間が決められており、契約期間が満了すると退去しなければならない賃貸借契約のことです。通常、オーナー様は入居希望者様へ、はじめに定期借家契約のルールを説明します。しかし、契約期間の通知がないまま契約期間満了のタイミングを迎えてしまい、引っ越し準備が間に合わないトラブルが発生する場合もあるのです。-
前章で紹介したトラブルが発生したら、オーナー様は迅速に対処しなければなりません。ここでは、賃貸物件の運営でオーナー様が行えるトラブル対処法を紹介します。
家賃滞納トラブルの場合
家賃の支払日を忘れて滞納していた場合は、入居者様に家賃が支払われていないことを連絡し、口座振替による支払い方法に切り替えてもらいましょう。
支払う能力がない、または支払いを拒否している場合は、法的処置をとって立ち退きをしてもらいます。退去手続きにおけるトラブルの場合
退去手続きにおいては、原状回復費用の負担額でもめごとが発生することがあります。その場合は、国土交通省による原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに沿って、原状回復の義務があることを説明します。また、禁煙物件にもかかわらず、喫煙を行っていたり入居者様の不注意で壁や床に傷が入ったりした場合は、入居者様が原状回復費用を負担しなければなりません。
費用の請求に納得してもらえるよう、きちんと説明することが大切です。入居者間のトラブルの場合
入居者間でトラブルが発生した際は、まず入居者様の事実確認を行いましょう。再びトラブルが発生しないよう加害者側には「トラブルが再び発生した場合は、契約を解除する」という旨の通知書を渡します。
規約違反に関するトラブルの場合
何らかの規約違反が発生したら、入居者様全員のポストへ「ルールを守ってほしい」という旨の手紙を入れます。その後も規約違反が改善されなければ、直接入居者様と話し合いましょう。場合によっては、退去の促しや原状回復費用を求めます。
水漏れトラブルの場合
水漏れトラブルは、オーナー様による迅速な対応が必要です。経年劣化により水漏れが発生している場合は、一般的にオーナー様が修繕費を負担します。
水漏れが発生した原因を明確にする必要があるため、入居者様に状況の聞き取りを行います。汚部屋・悪臭トラブルの場合
汚部屋や悪臭の改善を求めても入居者様が応じない場合は、文書や口頭で注意しましょう。注意しても改善されなければ、期日を決めたゴミ撤去をお願いする内容証明郵便を送ります。郵便局が謄本を保管するため、入居者様は「知らなかった」と言い逃れができません。
それでも改善されない場合は、弁護士に相談して裁判を起こし、強制退去を求めることも可能です。騒音トラブルの場合
騒音トラブルが発生した場合は、入居者間トラブルの発生時と同様に、事実確認を行って通知書を渡しましょう。また、騒音の被害を訴える入居者様に対し、対応方法や改善のために実施した内容を伝え、丁寧にフォローを行います。
騒音問題は誤解のケースも多々あるため、平等な目線で状況を把握することが大切です。喫煙に関するトラブルの場合
喫煙トラブルが発生した際は、まず入居者様に「館内が禁煙であること」を認知してもらうために、共用スペースに注意喚起の掲示を行いましょう。掲示する内容には、「建物内は禁煙」「喫煙者がおり、クレームが発生している」などの旨を記載します。注意喚起を行っても喫煙をやめない場合は、対象の入居者様と直接話し合って事実確認を行いますが、それでも改善されなければ文書で強く警告し、訴訟を起こすことも可能です。
ペットに関するトラブルの場合
ペットを飼育禁止に設定しているにもかかわらず、室内にペットの汚れや傷が付いていた場合は、入居者様の故意によるものと扱うため、入居者様に原状回復費用を請求できます。
また、賃貸物件をペット可に設定した場合でも、動物の種類や大きさ、数など飼育可能な動物の条件を決めておくとよいでしょう。飼育マナーもあらかじめ設定し、入居者様や入居希望者にしっかり説明します。立ち退き交渉におけるトラブルの場合
立ち退き交渉でトラブルが発生した際は、弁護士に立ち退き交渉の依頼をするのがおすすめです。立ち退き交渉は「オーナー様の意思表示(通知)」「任意交渉」「訴訟」の順番で行います。しかし、交渉に失敗すると訴訟を起こさざるを得なくなり、立ち退きに時間がかかってしまいます。スムーズに立ち退きを求めるためにも、弁護士に相談し、計画の立案・実行を依頼しましょう。
家賃交渉トラブルの場合
家賃交渉をされた場合は、交渉に応じる・応じないにかかわらず、入居者様の意見を聞き入れて、よく検討したうえで回答するようにします。特に家賃の減額に応じる場合、すぐの回答は避けましょう。なぜなら、家賃は一度下げてしまうと再び上げることが困難なためです。
また、入居者様が「家賃を減額してほしい」と思わないよう、日頃から清掃を行ったりトラブルに迅速な対応をしたりするなど、入居者様の満足度を高めることが大切です。夜逃げトラブルの場合
夜逃げトラブルが発生したら、まずは連帯保証人や保証会社に連絡し、滞納している家賃を請求します。部屋に残っている家具や物などは、オーナー様は触れられないため、入居者様の連帯保証人や家族に協力を依頼して引き取ってもらいましょう。なお、残置物は不動産管理会社が処分するケースもあります。残置物の処分が完了したら、室内のクリーニングを行い、入居者様の募集を行います。
夜逃げトラブルが発生しないようにするには、日頃から入居者様とコミュニケーションを取ることが重要です。放置ゴミに関するトラブルの場合
入居者様にゴミ出しルールを守ってもらうよう、共用スペースに注意喚起の掲示を行います。また、日常清掃(週に数回行う簡易的な掃除)や定期清掃(機械を使用して3か月に1回行う本格的な掃除)など、清掃サービスを利用するのも方法の一つです。
長期空室トラブルの場合
長期間空室が続く場合には、理由と対処法を考えます。例えば、家賃を近辺の相場より高く設定しているなら、家賃を相場まで下げます。
また、設備が経年劣化で古くなっている場合は、新しい設備への入れ替えを検討しましょう。管理会社の変更におけるトラブルの場合
管理会社を変更する際は、起こり得るトラブルを把握し、防止することが大切です。
トラブルを防止するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
・契約書類の内容を確認する
・管理会社の繁忙期を避ける
・入居者様へ管理会社を変更する旨を説明し、理解を得る
・管理会社と良好な関係を保つ無断転賃トラブルの場合
入居者様による無断転貸は、民法第612条で禁止されています。無断転貸が発覚した場合は、入居者様との賃貸借契約を解除しましょう。しかし、背信行為と認められない特別な事情がある時のみ、賃貸借契約の解除ができないため注意が必要です。
特別な事情の例には「親が契約者だったが、死別してしまいそのまま残された家族が住み続けていた」「オーナー様が無断転貸に気付いていたが、放置していた」などが挙げられます。定期借家の契約期間経過に関するトラブルの場合
入居者様は、定期借家の契約期間を意識して、次の住まいについて考えておくことが大切です。
オーナー様は、はじめに定期借家であることをしっかり説明し、契約終了の時期が近づいたら通知を出しましょう。-
賃貸物件を運営する際、オーナー様はあらかじめトラブル防止策を考えておくことが大切です。
ここでは、トラブルを回避するためのポイントを解説します。入居審査を厳しくする
入居希望の人を誰でも入居させるのではなく、入居審査を厳しく行うとトラブルを防止できるでしょう。職業や収入状況などを見て、トラブルを起こすリスクの低い人を選ぶことがポイントです。
賃貸管理会社に業務を委託する
賃貸物件の管理方法には「委託管理」と「自主管理」の形態があります。
委託費はかかりますが、できる限りトラブルを回避したい場合は、管理会社への委託管理がおすすめです。管理会社に委託すると、トラブル発生時にも対応してもらえます。委託先や物件についての情報収集と状況確認を徹底する
管理会社に賃貸物件管理を委託しても、トラブルが発生するリスクは少なからずあります。例えば、賃貸物件の清掃を管理会社の下請け業者が行う場合、清掃が行き届いていないために、入居者様から苦情が出る恐れがあります。そのため、物件を定期的に見回り、適切に管理されているか確認することが大切です。
賃貸借契約についての民法を覚える
2020年4月に、賃貸借契約に関する民法が改正されました。
改正された民法の例は以下の通りです。
借主が賃貸物件を返還する義務の明文化
旧民法では、賃貸借契約の内容に「借主は退去時に賃貸物件を返還しなければならない」という旨の条文が記載されていませんでした。しかし、賃貸借契約の終了時、入居者様が賃貸物件を返還することは当然のルールです。そこで、民法の改正により、借主の返還義務が明文化されました。
貸主の修繕義務の明文化
民法の改正により、借主の責任により修繕が必要となった場合は、貸主に修繕義務が発生しないことが明文化されました。(民法606条1項)なお、旧民法の本文に改正はなく、ただし書きとして追加されています。
トラブルが発生した際、民法に沿って解決できるよう民法は把握しておきましょう。相談できる弁護士も探しておく
トラブルの内容次第では、管理会社では対応できないケースもあります。例えば、入居者様同士のトラブルは、管理会社が対応することは少ないでしょう。そのため、どのトラブルでも相談できる弁護士を見つけておくことをおすすめします。賃貸経営に関する訴訟に実績がある弁護士を探しておくと、トラブルが発生した際も安心です。
連帯保証人制度を利用する
近年は、家賃保証会社の保証をつけて、連帯保証人をつけない保証の方法が増えました。しかし、入居者様のトラブルに対応するには、連帯保証人制度を利用するとよいでしょう。家賃滞納や夜逃げなどがあっても、連帯保証人に連絡することで入居者様本人までたどり着けるためです。
連帯保証人制度は家賃の保証人でもあり、トラブルが起きた際の緊急連絡先として利用できます。敷金を設定しておく
原状回復費用の支払いに関するトラブルや家賃滞納を防ぐためには、敷金を設定することがおすすめです。家賃滞納が発生した際、契約解除できるのは3か月以上滞納していることが条件のため、3か月以上の敷金設定が理想でしょう。空室対策として敷金を設定していない物件もありますが、トラブルを防止するには1か月以上の敷金を確保すると安心です。
賃貸借契約書に「特約」を記載する
賃貸借契約の特約とは、通常の賃貸借契約とは別に、特別な契約事項を設定する契約のことです。オーナー様と入居者様の間で特別な約束を交わすことで、トラブルを防止できるメリットがあります。特約の例には「室内は禁煙である」「原状回復費の負担割合」などが挙げられます。
-
賃貸物件の管理は、管理会社に委託することが一般的です。しかし、なかには自主管理で物件を管理しているオーナー様もいます。
ここでは、賃貸運営を自主管理で行うオーナー様に関する、向き不向きの特徴について紹介します。自主管理が向いている場合
賃貸物件の自主管理を行うには、誰とでも円滑なコミュニケーションが取れることがポイントです。入居者様や近隣の住民と普段からコミュニケーションを取っておくと、トラブルを防止して信頼関係を築けます。 そのほか、自主管理に向いているオーナー様のポイントは次の通りです。
・物件の近くに住んでいる
・緊急時にすぐに駆け付けられる
・経営管理が好き自主管理が向いていない場合
自主管理が向いていないオーナー様の特徴は、人付き合いが苦手であったり、時間の余裕がなかったりすることが挙げられます。また、物件と離れた場所に住んでいると、自主管理は難しいでしょう。
自主管理が困難なオーナー様には委託管理がおすすめです。-
賃貸運営のトラブルが発生すると、強制退去を視野に入れなければならないケースもあるでしょう。
ここでは、入居者様の強制退去について解説します。強制退去を実行できるのは家賃滞納から3カ月経過後
入居者様が強制退去の対象となるのは、以下の3点に当てはまった場合です。
・3か月以上家賃を滞納している
・家賃を支払う意思がない
・悪質な違反行為を行っている
また、賃貸借契約を解除するには、オーナー様と入居者様の信頼関係が破綻していると認められなければなりません。入居者様が「一時的に家賃を支払えなかった」「支払いを忘れていた」などの理由では、信頼関係が破綻しているとはいえません。対面、もしくは内容証明郵便で伝える
強制退去の通知は、対面もしくは内容証明郵便で伝えます。特別な理由がない限り、内容証明郵便で送付するのがおすすめです。なぜなら、どのような内容の書類を誰に渡したかを、日本郵便が証明する制度が利用できるからです。「通知が来ていない」と言い逃れができないよう、賃貸借契約の解除は内容証明郵便で送りましょう。
強制退去にかかる費用
強制退去にかかる費用は以下の通りです。
弁護士費用
相談料:1時間約5,000円
着手金:10~40万円
報酬金:回収できた金額の約10%
裁判費用
予納金:65,000円
収入印紙代と予納郵便切手:約6,000円
強制退去費用
解錠技術者費用:約20,000円~
廃棄処分費用:約20,000~40,000円
荷物の運搬費用:ワンルーム約10万円~
なお、弁護士費用以外は入居者様に請求可能です。-
賃貸運営を行うオーナー様は、入居者様目線のトラブルについて把握する必要があります。
ここでは、入居者様目線のトラブルを見てみましょう。管理会社の変更
管理会社を変更する際は、良質な管理会社を選びたいものです。そのため、入居者様は管理会社に対して不満が生じた時に、スムーズに契約を終了できるのかを見ています。
オーナー様からいつでも解約できると契約書に書いてあると、入居者様は安心して契約できるでしょう。しかし、「解約するためには高額の違約金が発生する」と記載している場合は注意が必要です。賃料が資金繰りに利用されている
オーナー様から預かっている財産と管理会社の財産は、法律によって分別管理しなければならないとされています。そのため、管理会社が賃料を利用することはありません。
大家による電気料金中抜き
オーナー様が、水道光熱費を相当金額以上請求しているのであれば、入居者様に返還する義務があります。高額の過払い請求に発展する事例もあるため、過剰請求には気を付けましょう。
大家は入居者からのトラブル相談に向き合う必要があるケースも
例えば入居者様は、隣人の騒音でオーナー様に相談することがあるでしょう。相談を受けたオーナー様は、すぐに騒音を出している入居者様に注意するのではなく、事実確認をしっかり行い、音の発生源を突き止める行動が重要です。確認しないまま犯人と決めつけてしまうと、余計なトラブルに発展する恐れがあります。
-
賃貸運営のトラブルには、入居者様同士のもめごとや家賃滞納、退去手続き時のトラブルなどがあります。各トラブルには、管理会社や弁護士を頼りながら、落ち着いて対処することが大切です。
また、入居審査を厳しくしたり信頼できる管理会社に業務委託したりして、トラブルのリスクを減らしましょう。関連記事
-
不動産の利回りとは?20パーセントを超える物件は多いのか
不動産投資といった資産運用には、毎年の収支を予測するのに有効な指標である利回りが存在します。不動産投資用の物件を長期経営するには、利回りは重要な数値です。 投資を実施する際は投資用物件の利回りを確認し、高利回りの物件を探しますが、利回りの相場はどのくらいなのでしょうか。 この記事では一つの基準として、利回りが20パーセント以上ある物件の特徴や種類、基本的な利回りの相場、利回り改善の方法などを解説します。
-
千葉でアパート経営はできる?都心にアクセスしやすくて人気の土地
新型コロナウィルスの流行などで経済状況が不安定ななか、本業とは別に賃貸経営で副収入を得ようと考えている方も多いのではないでしょうか。不動産経営に適したエリアは様々ありますが、なかでも首都圏に位置する千葉県は都内へのアクセスも良く、有名テーマパークや大型商業施設を有しているため人気の高いエリアです。 しかし、沿岸部などの埋立地では地震の際に液状化被害に遭うなど問題もあります。また、都心に近い県北西部は人口が増加しているものの、都内へ時間のかかる県南部や東部では人口減少が目立っているのが現状です。 そのため、千葉県で安定してアパート経営を行うには、ニーズを分析し、なるべく都心に近くアクセスの良い物件を取得することが大切です。 この記事では、千葉県の概要とアパート経営事情をご紹介します。加えて、千葉県でアパート経営を行うメリット・デメリットとおすすめのエリアもご紹介します。
-
客付けに強い不動産業者・物件の特徴と、業者の選定ポイントを解説
物件と借主をつなげる役割を担う客付けは、できる限り空室を減らしたいオーナー様にとって最重要といっても過言ではないでしょう。しかし、客付けに強い不動産業者を選定するのは簡単ではないため、自ら客付けを行うケースもあるかもしれません。強い客付けを行うためには、相応の物件を持っていること、客付け力の強い業者またはスキルに頼ることが大切です。この記事では、客付けに強い不動産業者の選定方法と、客付け力のある物件の特徴を中心に解説します。
タウングループ不動産管理事業- 賃貸債務保証業務代行 株式会社イズミ
- 賃貸契約に関する家財保険 イズミ少額短期保険会社
- 建物・お部屋のリフォーム 株式会社イズミリフォーム
不動産仲介・周辺事業- 賃貸不動産仲介(首都圏) タウンハウジング
- 賃貸不動産仲介(東海) タウンハウジング東海
- 賃貸不動産仲介(九州) タウンハウジング福岡
- 土地・建物の不動産販売及び仲介 タウン住宅販売
- 首都圏を中心に引越サービスを展開 タウン引越サービス
建築事業- 賃貸住宅の企画・設計・施工 アヴェントハウス
多角化事業- 都内を中心に飲食店を運営 タウンダイニング
- インドアテニススクール タウンインドアテニスアカデミー