アパート経営は何年で黒字化できる?成功するための対策を徹底解説

自分の夢やライフプランを実現するために、若いうちから貯蓄に加えて資産運用について考えている方が増加傾向にあります。「人生100年時代」という言葉も一般的になり、より豊かな人生を歩むための資産運用が幅広い世代で注目されています。さまざまな資産運用の方法がありますが、アパート経営について興味がある方もいるでしょう。アパート経営に成功できれば、長期的に安定して収入を得られ老後の資金不足も解消できることから、特に注目されている事業です。
では、実際にどのぐらいの方が成功されているのでしょうか。この記事では、一般的にアパート経営は何年で黒字化できるかを解説します。また、アパート経営を成功させるためのコツや対策についても紹介します。

不動産経営の成功率は?!

アパート経営は何年で黒字になる?

  • アパート経営は何年で黒字になる?
  • アパート経営は、成功できれば安定した収入を得ることができます。では、黒字を達成するまでにはどのぐらいかかるのでしょうか。ここでは、アパート経営の成功率と、元が取れるまでの年数について解説します。

  • アパート経営の成功率は?

    株式会社Speeeは、2022年1月25日から2月3日にかけて「アパート経営経験者の意識と実態に関する調査」というアンケート調査を行いました。全国のアパートオーナー101人を対象にアンケートを行った結果、76%がアパート経営に満足していると回答しています。主な理由として「使っていない土地を活用できた」「資金に余裕ができた」といった回答が挙げられます。つまり、使っていない土地を活用することで節税に加え、継続的に収入も得られるため資金に余裕ができたことが成功のポイントなのです。

  • アパート経営は何年で元を取れる?

    アパート経営の黒字化を達成するかどうかは「どういった規模のアパートを購入したか」や「相続で引き継いだのか」など、それぞれの状況によって変わります。一般的に、アパート経営で元を取れるのは5年から10年が目安とされています。理由として、アパート購入の初期費用が必要なケースでは短期の利益は見込めず、20年先を計算するには不確実性が高いためです。また、アパートの売却では譲渡税の支払いが必要になります。なお、譲渡税は譲渡益に税金をかけて算出される費用です。所有年数が5年をすぎると税金は安くなるため、譲渡税も比例して安くなるのです。譲渡税の税率が切り替わるタイミングとして5年から10年を一つの区切りに、アパート経営の現状や今後について考えると良いでしょう。

アパート経営はなぜ失敗するのか?

  • アパート経営はなぜ失敗するのか?
  • 成功率の高い事業として人気のアパート経営ですが、アパート経営を失敗してしまうケースも少なくありません。失敗してしまう主な原因として、以下の4つが挙げられます。

  • 施工の品質が悪い

    低品質のアパートは漏水・悪臭・騒音といった問題が多く発生するリスクが高まります。問題が頻発に発生すると、アパートの評判も下がるでしょう。品質が悪いことで入居者側の印象が悪くなり、退去が早まることや、入居者も決まりにくくなる事態にもつながりかねません。
    対策としてアパートを新築で建造する際は、高い施工品質で実績のあるハウスメーカーを選定しましょう。施工会社の評判をよく調べずに依頼してしまうと、思わぬ失敗を招きます。さまざまな施工会社を比較検討して、価格の安さだけではなく品質の高さを見極めることが重要です。

  • 間取りが需要にマッチしていない

    アパート経営では間取りも重要です。いくら素敵な内装でも間取りが需要とマッチしていなければ入居者は見つかりません。アパート経営の原則としては、1K・1LDK・2DKといった小さめの間取りで行うべきとされています。例えば、都心の駅に近い立地であれば、単身者の賃貸需要が見込めます。単身者であれば部屋の広さは1Kで十分なため、狭い間取りが適切でしょう。一方、郊外のエリアであれば単身者であっても広めの部屋の需要が高まるため、1LDKや2DKといったニーズも生まれます。
    しかし、アパートの新築時に3LDKなどのファミリー向けの広い間取りを選んでしまうと、失敗しやすくなります。広い間取りは面積が広く家賃も高いため、賃貸需要が期待できません。アパートを経営する際はエリアの需要をよく考えて、最適な間取りを選びましょう。

  • 借入金が多い

    借入金が多すぎる場合も、アパート経営が失敗する要因となります。アパート経営が順調に進む前提で計画した返済プランも、思い通りに行くとは限りません。借入金を増やしすぎた結果、需要変動といった環境の変化に対応できず、返済に困るケースが発生してしまいます。
    返済における支出はアパート経営において大半を占めます。そのため、返済計画通りにいかないといったことを回避するためには、自己資金を多めに用意することが有効です。一般的に自己資金は建築費の30%程度の確保が望ましいとされます。より安全を重視したいのであれば、建築費の50%程度を用意しましょう。

  • アパート経営の勉強が不足している

    アパート経営を始めるには最低限のお金や法律の知識が必要です。何も勉強をせずにアパート経営をスタートしようとすると、思わぬ落とし穴にはまってしまうリスクが高まります。例えば、借入金を用いてアパートの所有者になるのであれば、減価償却やキャッシュフローといった会計の知識が欠かせません。アパート経営で早期に黒字化を達成するには、キャッシュフローをプラスにできるかが最も大切です。どうしたらキャッシュフローがプラスになるのかを理解しておくと、アパート経営の失敗を防げます。
    ほかにも、借地借家法や民法といった法律の知識も求められます。借地借家法にはアパート経営者が不利となる規定が多く定められており、よく理解しておかないと思わぬ不利益を被ってしまいます。なお借地借家法は、入居者を守るために存在している法律です。入居者の権利を強固に守っていることから、貸主に多くの制約が生じていることを知っておかなければならないのです。アパート経営の勉強不足が原因で不適切な判断をしてしまわないためにも、最低限の関連する情報はチェックしておきましょう。

アパート経営の黒字化対策:準備が最重要

  • アパート経営の黒字化対策:準備が最重要
  • アパート経営で黒字化を実現するためには、経営をスタートする前の準備が大切です。特に、チェックしておきたいのが以下の3つのポイントです。しっかりと準備を行って、スムーズにアパート経営を始めましょう。

  • 黒字化できる物件を選ぶ

    アパート経営で黒字化を目指すには、最初の物件選定が重要です。建物の立地と状態をよく確認して、収益が望めるアパートを選びましょう。良い立地かどうかを判断する項目としては以下が挙げられます。特定の項目だけでなく、総合的に判断して立地が優れた物件を選定することが大切です。

    ・住環境が優れている
    ・治安が良好である
    ・駅からの距離が近い
    ・周りに競合する物件が多くない
    ・学校や商業施設などの施設が近隣にある
    ・特定の大企業などに依存していない

    好立地でも建物の状態が悪いと、入居者の方に選んでもらえません。室内の設備の使用年数や間取りがニーズに合っているかを必ず確認しましょう。加えて、室内以外でも外壁・屋根・バルコニーの状態もチェックしておくと安心です。建物の立地と状態の両側面から判断して黒字化できる物件を選びましょう。

  • 収支シミュレーションを実施する

    候補となるアパートが何件か決まったら、収支シミュレーションを必ず実施しましょう。収支シミュレーションは物件同士を比較するためだけに行うものではありません。アパート経営におけるキャッシュフローの把握にも有効です。なお、収支シミュレーションでポイントとなる代表的な項目は以下の6点です。

    ・金利
    ・自己資金額
    ・ローン期間
    ・空室率
    ・家賃下落
    ・修繕費

    上記の項目の予測が明確になれば、さまざまなパターンのキャッシュフローを想定できます。また、アパート経営で黒字化を達成するための期間をコントロールできることにもつながります。収支シミュレーション結果をベースにローン期間やアパート売却のタイミングなど、今後の経営方針を計画しましょう。

  • 出口戦略も考えておく

    アパート経営がスムーズにスタートできたとしても、いつまでも順調に進むとは限りません。建物の老朽化や需要の移り変わりなどの要因で、アパート経営を終わりにするタイミングも訪れます。時間が経過すれば自身の考え方も含めて変化が生じるため、出口戦略を考えておくことが必要です。
    アパート経営の終わり方には売却や取り壊しなどの方法があります。出口戦略を検討する際は、事前に具体的な選択肢を考えておきましょう。例えば、賃料が下落してしまう前に高値でアパートを売却すると、別の投資の資金にできる場合があります。ほかにも、入居者の需要が高いエリアのアパートであれば、建て替えを検討するのも一つの手段でしょう。アパート経営の岐路で正しい判断を行えるよう、事前に出口戦略をイメージすることが大切です。

アパート経営の黒字化対策:リスクを認識する

  • アパート経営の黒字化対策:リスクを認識する
  • アパート経営の黒字化を達成するためには、さまざまなリスクを正しく認識する必要があります。ここでは、代表的なアパート経営のリスクについて解説します。それぞれのリスクに対して対策を講じれば、アパート経営の黒字化に大きく近づけるでしょう。

  • 空室リスク

    アパート経営を考えるうえで、最も注意が必要なのは空室リスクです。空室リスクは収入が減少してしまうだけでなく、支出の増加も同時に引き起こします。そのため、アパート経営の黒字化を達成するにあたり、空室リスクへの対応は大きな鍵を握っているのです。特に空室が発生する傾向があるのは、築年数が経過している物件や、立地に問題のある建物が挙げられます。空室リスクを軽減するためには、築年数や立地条件が良好なアパートを選定しましょう。なお、経営したいアパートの候補と似たような条件の物件の空室状況などを調べておくと参考になります。

  • 老朽化リスク

    アパート経営では、老朽化リスクも避けては通れません。アパートは建物なので時が経過すれば築年数が増します。つまり、老朽化はどのようなアパートでも直面してしまうリスクなのです。アパートが老朽化すれば修繕費も増加するため、それなりの支出の増加も覚悟しなければなりません。また、支出だけでなく古びたアパートとしての印象が広まれば、資産価値が低下する原因にもなります。ほかにも、耐震性の劣化や空室の増加など、老朽化リスクに起因してさまざまな問題発生が考えられます。

    アパートの老朽化リスクを軽減する対策としては、質の高い施工でアパートを建てること、メンテナンスを忘れずに実施することが有効です。質の高いアパートを建築するのであれば、適切に建築コストをかけて質の高い施工を行いましょう。コストを必要以上に削ってしまうと、老朽化も早く建物の修繕の発生リスクも高まります。また、定期的な予防保全を実施すると、老朽化の速度を遅らせアパートを長く利用できます。アパートに対して必要な出費はなるべく削減せず、定期的にメンテナンスを行うことで、品質をキープできるでしょう。

  • 災害リスク

    災害リスクについてもアパート経営では考慮する必要があります。アパートを選んだり建てたりする際は、ハザードマップの確認が基本です。ハザードマップには災害が発生した際に危険と思われる箇所などが記載されています。アパート経営をする際は、水害や土砂崩れといった災害リスクが低い土地を選ぶことが鉄則です。そのため、国土交通省や各自治体のWebサイトからハザードマップの確認を必ず行いましょう。

    加えて、どんな土地であれ災害リスクをゼロにはできないため、火災保険と地震保険の活用をおすすめします。火災保険においては、補償範囲は火災だけに留まりません。落雷や雪災といったさまざまな自然災害も含まれてきるのです。ただし、補償範囲は火災保険の種類や特約によって異なるため、事前に比較検討しましょう。また、地震保険は火災保険に付帯する形で加入できる保険で、地震保険だけの単独では契約できません。地震保険の補償範囲は地震で起きた建物の損壊や火災、地震による津波、家財の損失などが一般的です。もしもの際のリスクを軽減するためにも、保険の加入を検討しましょう。

  • 金利上昇リスク

    変動金利でアパートのローンを考える場合、金利上昇リスクも軽視できません。金利が上昇してしまうと利子の支払いが増加して支出が増えてしまいます。金利上昇リスクの対応策としては、固定金利の活用が有効です。固定金利であれば融資を受けた時から借金を完済するまで、適用されるローンの利率が変動しません。そのため、金利変動を気にせずに融資を受けられるメリットがあります。加えて、月々の返済額にも変動がないので、収支管理も行いやすくなります。ただし、変動金利よりも固定金利の方が高金利に設定されているため、注意しましょう。

  • 滞納リスク

    家賃滞納は空室と同等に対応を考えておかなければならないリスクです。アパートの規模が大きくなれば、家賃滞納が発生する確率も大きくなります。借主による家賃滞納が発生した場合でも、すぐに退去を命じることはできません。一般的に3ヶ月以上連続で家賃滞納が生じないと、契約の解除事由に該当しないとされているためです。
    家賃滞納の対策としては、敷金の預かりと家賃保証会社への加入を促すことが有効です。敷金は家賃滞納などが発生した場合に家賃に充当できるので、2ヶ月以上預かっておきましょう。また、家賃保証会社とは、借主が家賃を滞納した際に代わって家賃を支払ってくれる会社です。加入には保証料が必要ですが、安心してアパートを貸し出せます。

  • 賃料下落リスク

    賃料下落が生じる主な理由としては、空室が挙げられます。アパートの空室が目立つようになると、募集中の物件の賃料も下げる対応が必要です。インターネットなどにも情報は記載されるため、値下げされた事実は入居されている方にも伝わってしまいます。そうすると、入居中の借主からも賃料を下げて欲しいとの要望が発生してしまうのです。
    アパートで賃料を一度下げてしまうと、その後また賃料を上げるケースは基本的にありません。賃料は一般的にアパートの新築時が一番高く、そこからは徐々に下降します。そのため、当初の賃料でその後の収支を計算するのではなく、賃料が下がることも想定しておきましょう。

アパート経営の黒字化対策:青色申告を活用する

  • アパート経営の黒字化対策:青色申告を活用する
  • 青色申告の活用もアパート経営の黒字化対策で有効です。ここでは、青色申告の基本や申告する際のポイントについて確認しましょう。

  • 青色申告とは

    青色申告とは確定申告の種類の1つで、所得税を正しく納税するために実施する申告納税制度です。青色申告には正規の簿記の原則にしたがって作成された帳簿が義務付けられており、関連書類も保存しなければなりません。売上や経費など日々の取引の記録をもとに、仕訳帳と総勘定元帳を作成する必要があるのです。加えて、確定申告では総勘定元帳をもとに損益計算書と貸借対照表を作成し、確定申告書(B)・青色申告決算書・控除を証明する書類とともに提出します。一定の水準を満たすと判断された場合に、アパート経営などの事業から生ずる所得から最大65万円が控除されます。

  • 5棟10室を目指す

    アパート経営で青色申告の65万円の特別控除を受けるためには、事業規模が一定水準を満たさなければなりません。具体的には5棟10室以上の規模が必要な水準とされており、判定は税務署が行います。アパート以外にも戸建て賃貸や駐車場を所有している場合は、以下のようにカウントして考えましょう。

    ・アパート1部屋:1室
    ・戸建て賃貸1棟:2室
    ・駐車場5台:1室

    例えば戸建てを3棟、アパートを10部屋、駐車場10台分の不動産を所有していたケースを考えてみましょう。この場合、戸建ては3棟6室、駐車場は10台2室となり、合計すると18室のため事業的規模と判定されます。

  • 発生主義で記帳をつける

    最大限に青色申告の特別控除を受けるためには、発生主義で記帳をつけましょう。発生主義とは金銭のやり取りに関係なく、取引が発生したタイミングで費用と収益を計上する考え方です。つまり、発生主義では商品を購入したタイミングで仕訳を行います。また、発生主義は取引の終了を待たずに取引の発生と処分を分けて考えるため、取引で必ずしも金銭が関係するわけではありません。数カ月に一度の精算となりがちな料金も、発生主義によって毎月の会計に均等に配分して計上できるので、正確な損益計算を行えます。
    一方、別の考え方として代表的なのが現金主義です。現金主義とは、現金の受け取りや支払いなどが実施された時点で会計処理を行うルールを指します。現金主義は、不正を行いにくく、取引の管理に対する手間を省けるメリットがあります。ただし、現金主義は現金が実際に動いた時点での認識基準となるため注意しましょう。過去の収益の入金や将来の費用の支払いを現金主義で記録すると、企業会計原則で示される期間損益計算が成り立たなくなる恐れがあるのです。

  • e-Taxや電子帳簿を使用する

    令和2年度分以降から青色申告で65万円の控除を受ける際には、e-Taxや電子帳簿保存の利用が必要になりました。
    e-Taxとは国税庁が運営する、国税の申請や納税などを行えるオンラインサービスです。e-Taxであれば自宅や事務所などから申告や納税などの手続きを行えます。加えて、e-Taxに対応した会計ソフトを利用すれば作業を電子的に行うことができるので、 事務の省力化やペーパーレス化を実現できます。
    また、電子帳簿保存とは帳簿・決算書・国税関係帳簿などを⼀定の要件で電子化して保存することです。経済社会のデジタル化の影響で電子帳簿保存法が改正されたことにより、帳簿書類を電子的に保存する際の手続きなどについて抜本的な見直しがされました。経理の電子化による生産性の向上や記帳水準の向上を目指していることから、企業などで電子帳簿保存をより一般的に活用しようとする動きが活発なのです。
    e-Taxや電子帳簿を利用しなくても青色申告は可能ですが、青色申告の控除額が55万円に下がってしまいます。しっかりと65万円の控除を受けるためには、e-Taxや電子帳簿を使用しましょう。

アパート経営の黒字化対策:法人化を検討する

  • アパート経営の黒字化対策:法人化を検討する
  • アパート経営を黒字化に導くには、事前準備やリスクの認識、青色申告に加え法人化の検討も重要になります。アパート経営の法人化とは、設立した会社にアパートを所有させる方法です。近年は法人設立のハードルが低くなったこともあり、法人によるアパート経営が注目されています。
    では、アパート経営の法人化によるメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。

  • 相続税対策を行える

    相続税対策としてアパート経営の法人化は有利です。個人としてアパート経営を行う場合、個人の財産に比例して相続税の納税額も増えます。また、アパート経営を法人化すれば、建物は法人の所有物として残ります。法人所有のアパートには相続税がかからないため、相続における節税対策として活用できるのです。
    しかし、複数の相続人がアパートを共有名義で相続する場合、権利者の合意が難しくトラブル発生につながるケースが少なくありません。例えば、相続人の意見が合わずに売却や賃貸が困難になったり、共有者と連絡が取れなくなったりするといったケースです。アパートを法人化して引継げば、共有名義での相続を避けられるため不要な争いを回避できます。

  • 税率が低い

    アパート経営の法人化を実施すると、税率も低くなるメリットもあります。個人の場合、税率は高額所得になるほど上昇する累進税率が適用されます。例えば、195万円以下の低所得であれば所得税率は5%ですが、4000万円を超えるようであれば45%に跳ね上がってしまうのです。一方、法人であれば法人税が適用されます。普通法人の法人税は最大でも23.4%に設定されているため、所得税率のように大きく上昇しません。つまり、高額所得者であればアパート経営は法人化した方が所得税の節税対策として機能するのです。

  • 相続資産の分割を行いやすい

    アパート経営を法人化すれば、相続資産の分割も容易です。アパートを法人化すると相続対象の財産は、不動産から株式へと変わります。アパートが個人所有の状態だと、建物を均等に分割して相続することは簡単ではありません。一方、株式であれば均等に分割できます。例えば、600株を2人で分けようとするケースでは、それぞれ300株ずつ相続できます。法人化によって相続対象を分割しにくい不動産から、容易に分けられる株式へ変えられるのです。また、不動産の場合の相続人間に生じる不平等問題も、法人化することで解消できるでしょう。

  • 経費の認められる範囲が広い

    法人化すると、個人よりも経費として認められる範囲が広がります。個人の場合、経費と私的なお金の使い方に厳密に分類しなければなりません。個人は贅沢のためにお金を使う可能性があるため、経費で落とせる費用も限定されます。一方、法人は利益を追求する組織であることから、無駄な経費は使わないという考え方が前提にあります。そのため、経費で認められる範囲は法人の方が広くなり、節税も行いやすいのです。

  • 役員報酬で所得を移転できる

    家族を法人の役員にすると、役員報酬で所得を移転できます。個人の場合、アパート経営で得られた収益は当人のものにしかなりません。1年間で110万円を超える財産を贈与した場合には、相手が家族でも贈与税が発生します。しかし、子供に対して法人から役員報酬を与える形を採用すれば、贈与に該当しなくなるのです。つまり、贈与税の非課税枠も気にせずに資金を移動できるのです。

  • 欠損金の繰越期間が長い

    ほかにも、法人化すると欠損金の繰越期間が長くなるメリットもあります。欠損金の繰越とは、ある年に発生した赤字を翌年以降に繰り越す行為を指します。例えば、今期が200万円の赤字の場合に翌期が100万円の黒字でも、翌期の損益をマイナス100万円とできるのです。大きな赤字を出してしまっても翌期以降も節税できるのが繰越欠損金の特徴です。この繰越が可能な期間は、法人が10年、個人が3年と決められています。そのため、赤字が発生した際は繰越期間が長い法人の方が、節税対策に有利なのです。

まとめ

  • 資産運用の方法としてアパート経営は広く注目されています。アパート経営は不動産投資のなかでも、参入ハードルが低く成功する可能性が高いといわれています。実際に、アパート経営をスタートして、順調に資産を増やしている方も少なくありません。アパートを経営している方の意見を見ても、満足しているといった回答が大半です。また、税金対策を行えて資金的な余裕が生まれるなど、アパート経営のメリットはさまざまです。ただし、アパート経営の黒字化を実現するためには、対策の実施が欠かせません。事前準備を入念に行い、収益化を望める物件を選定しましょう。アパート経営の魅力だけに着目して、無計画に物件を選定しないよう注意が必要です。黒字化のためのポイントをチェックして、アパート経営を成功させましょう。

FAQ

  • Qアイコン アパート経営は何年で元を取れますか

    一般的に、アパート経営で元を取れるのは5年から10年が目安とされています。アパート経営で黒字化を実現するためには、経営をスタートする前の準備が大切です。特に、チェックしておきたい3つのポイントを紹介しています。
    詳細はこちらを参考にしてください。

  • Qアイコン アパート経営でうまく行かないです。プロのアドバイスがほしいです。

    当社では無料でコチラから相談を受け付けております。お気軽にご連絡ください。

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アレップス コンテンツ編集部

アレップス コンテンツ編集部では、アパート経営や不動産投資に関するお悩みを解決すべく日夜スタッフが情報の最新かつ濃密な記事の発信を行っています!

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