相続税が払えない!地主の方が抱える問題を物納制度や延納制度で解決しよう

地主が亡くなった時、保有していた土地の権利は相続人へと移ります。相続人となった方は、地主としての役割を担うことになります。土地や家などの不動産を相続した場合、課せられた相続税の支払いも必要になるでしょう。しかし現在では、地主の方が相続税を支払えなくなるケースが増加傾向にあるといわれます。今回は、相続によって地主となった方が抱える問題と解決策を解説します。特に、相続税の支払いが難しい場合の延納制度や物納制度は覚えておくと便利です。

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相続税が払えない!地主の方が抱える主な理由

  • 相続税が払えない!地主の方が抱える主な理由
  • 相続税の支払いは、原則として現金一括です。地主の方が保有する不動産はまとまった資産と見なされますが、すぐ相続税を支払える現金が手元にない場合、不動産売却による現金化も必要になるでしょう。ここでは、地主が相続税の支払いが難しくなる理由を見ていきます。

  • 現金がない

    相続税が払えない理由によく見られるのは、「相続税を支払える現金がない」ことです。相続税の金額は、相続した土地の評価額に応じて決まります。想定より評価額が高い場合は相続税の支払いが難しくなる他、現金不足に陥る主な理由は以下の2つが挙げられます。

    地主が相続済みの不動産の売却を完全にあてにしている場合
    土地や家などの不動産は、売却しようと思ってもすぐに買い手が現れる保証はありません。購入の希望者がいても、希望売却額などの条件に満たないと売却は難しくなります。そのため、相続税の支払いの際は不動産の売却金のみに頼らず、不動産の売買は時間がかかるという性質を理解しましょう。

    相続した不動産自体の評価額が想定よりも高い場合
    不動産の評価額は常に変動するものです。相続人が想定していた評価額よりも高いことで、相続税の支払いが難しくなってしまうこともあります。

  • 遺産分割協議が進まない

    複数の相続人が存命する場合や遺言書とは異なる相続を行う場合、遺産分割協議を行います。相続人が遠方に居住している場合や、お互いの関係性、それぞれの希望次第では遺産分割協議がなかなか進まないケースもあります。
    なお、相続税の納付期限は「被相続人(故人)が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内」です。期限を過ぎても相続税が未納の場合、財産の差し押さえなどに発展するかもしれません。そのため、遺産相続が決まった段階で、相続税の支払いをスムーズに行いましょう。近いうちに相続が必要になる見通しがあるならば、早いうちに相続税の対応を検討しておくのが得策といえます。

相続税が払えない!地主の方におすすめの対処法

  • 相続税が払えない!地主の方におすすめの対処法
  • 相続税の支払いが難しい場合、相続人の方々が利用できるいくつかの救済制度があります。もしもの時に備えて知っておくと、役立つかもしれません。ここからは、相続税の支払いが難しい方への対処法を紹介します。

  • 相続財産の売却で現金化する

    まずは、不動産や株式など相続財産を売却して現金を工面する方法です。不動産売却のコツとしては、「土地査定を受ける前、法務局から入手できる測量図を用いて土地の詳細情報を得る」「複数の不動産会社に査定を依頼する」などが有効です。社会情勢なども反映する株式に比較すれば、希望に近い金額で売却することも可能でしょう。
    他にも、相続した不動産を売却する際は、「相続登記」の手続きが必要です。相続登記は「相続による所有権登記」とも呼ばれます。土地や建物の所有者を被相続人から相続人へと変更する手続きとなります。
    相続登記自体に期限はありませんが、所有者不明の土地などが社会問題となっている背景から、2024年2月からは相続登記は義務化されます。相続財産の売却の有無に関わらず、早めに済ませておくのが賢明です。なお、手続きは自分で行う方法と、司法書士による代理申請する方法があります。

  • 延納制度を利用する

    相続税を現金で一括して支払えない場合、延納制度を利用して分割で支払うことも可能です。認められる要件にはいくつかありますが、制度を利用できば課税相続財産に占める不動産などの割合に応じて 5~20年ほど支払期限を延長できます。
    延納制度は、一度に多額の現金を用意せずに済むメリットがある一方で、利子も発生します。延納制度の要件や担保の種類、手続きの流れなどは後述します。

  • 物納制度を使う

    相続税の支払いは、可能な限り現金で支払うのが基本です。しかし、現金で相続税を支払うのが難しく、延納も難しい場合は「物納制度」という制度も利用できます。物納制度とは、相続税を現金で支払う代わりに不動産や国債などの「現物」で納める方法です。物納制度には細かな要件や財産の優先順位があり、申請には細かな注意点があります。

  • 税金分を現金で借入する

    相続税の支払いに必要な現金を、銀行などの金融機関から借入する方法です。借入には「相続税の支払いに必要な資金を借入する」「相続する土地を担保にして借入する」方法があります。土地を担保にする場合、「不動産売却前提ローン」などの名称の不動産売却を前提とした融資サービスが便利です。
    この方法は住み替えや相続税の支払い、事業を廃業する時など、土地の売却前でもまとまった金額の融資を受けられるのが大きなメリットです。住宅ローンがまだ残っていても利用できるケースもあるので、覚えておくことをおすすめします。

延納制度を詳しく知ろう!地主の払えない相続税問題を解消

  • 延納制度を詳しく知ろう!地主の払えない相続税問題を解消
  • 延納制度は、相続税の現金での一括納付が難しい前提のもとで、税務署に延納申請が認められた場合に利用できる制度です。延納制度の要件も細かく規定されており、要件をすべて満たすことが条件となります。ここからは延納制度の要件や担保の種類、手続きの流れ、注意点を解説します。

  • 延納制度の要件

    延納制度を希望する場合、以下の4つの要件を全て満たす必要があります。

    ・相続税額が10万円を超えること
    ・金銭(現金一括)で納付困難な理由と納付を困難とする金額の範囲内であること
    ・延納税額および利子額に相当する担保を提供すること(延納税額100万以下で延納期間が3年以下の場合を除く)
    ・相続税の納期限や延納申請期限までに「延納申請書」および「担保提供関係書類」を税務署長に提出すること

  • 延納制度の担保の種類

    延納制度の担保として使用できるものは、相続や遺贈により取得した財産に限りません。相続人自身の財産や、共同相続人、第三者が所有する財産も担保として見なされます。具体的には、以下のようなものが該当します。

    延納税額(相続税額+利子税額)に相当する担保
    ・国債、地方債
    ・税務署長が確実と認める社債その他の有価証券
    ・土地
    ・保険に附した建物、立木、登記される船舶など
    ・鉄道財団、工場財団など
    ・税務署長が確実と認める保証人の保証

  • 延納制度の手続きの流れ

    延納制度の手続きは、以下の順に沿って進め、所轄の税務署に提出する流れです。一連の順序と各手続きのポイントは以下の通りです。

    1. 延納制度の適用可否を確かめる
    まずは延納制度の適用が行えるかを確かめます。要件を満たすことを確認の上、延納に利用できる担保(財産)をそろえます。延納を適用した場合、どの程度の利息が発生するかも計算しましょう。なお、利息が付くのは未払い分のみで、動産と不動産で計算方法が異なります。判断に困る場合、税理士などに相談すると良いでしょう。

    2. 延納申請書を入手
    申請を進める場合、国税庁のウェブサイト「相続税延納申請書」のページから申請書類を入手します。「相続税延納申請書」「金銭納付を困難とする理由書(相続税延納・物納申請用)」「不動産等の財産の明細書」の他、担保とする財産に応じて必要書類をそろえます。

    3. 相続税延納証明書に必要事項を記入
    相続税延納証明書の主な記載事項は以下の通りです。記載には、詳細な補足事項も定められているので、国税庁のホームページなどを確認の上記載するようにしましょう。

    主な相続税延納証明書への記載事項
    ・延納申請税額
    ・金銭で納付することを困難とする理由
    ・不動産の割合
    ・延納申請税額の内訳
    ・延納申請年数欄
    ・利子税の割合
    ・不動産などの財産の明細欄
    ・担保欄
    ・分納税額、分納期限および分納税額の計算の明細欄
    ・その他参考事項
    ・非上場株式等納税猶予からの延納申請における記載要領

    4. 所轄の税務署に提出を行う
    相続税の納付期限は「被相続人(故人)の死亡の翌日から10ヶ月以内」となり、期限を過ぎた場合は無効です。期限内の申請が難しい場合、「担保提供関係書類提出期限延長届出書」を忘れずに提出しましょう。

  • 延納制度の注意点

    延納制度を利用すれば、相続税の資金を一度に用意する必要がありません。しかし、延納額の支払いには利子税が発生します。課せられる利子税率は毎年変動し、国税庁のホームページで確認できます。

物納制度を詳しく知ろう!地主の払えない相続税問題を解消

  • 物納制度を詳しく知ろう!地主の払えない相続税問題を解消
  • 物納制度は、相続した相続財産で相続税を支払う方法です。しかし、物納制度が認められる要件はいくつもあり、希望すれば誰でも使えるとは限りません。ここでは物納制度の要件、申請方法、注意点をそれぞれ解説します。

  • 物納制度の要件

    物納制度は主に3つの要件が存在し、全てを満たさなければ利用できません。物納制度を希望する方は、詳細までよく確認しましょう。

    (要件1)相続税が延納制度を使っても現金で納められない状況である
    相続済みの現金や相続人個人の現金で支払える場合や、延納制度であれば現金で支払えると判断される場合は利用できません。物納にも上限額があり、物納できる限度額(物納許可限度額)は、以下の計算で求められます。

    物納許可限度額 = 「納付すべき相続税額」 - 「納期限まで又は納付すべき日に金銭で納付することが可能な金額」 - 「延納によって納付することができる金額」

    (要件2)物納申請を行う財産の種類と順位が条件を満たし、かつ国内のものである
    物納できる財産には、以下の順で優先順位が定められています。上位の財産がある場合、下位の財産では物納できません。

    第1位 (1)不動産、船舶、上場株式、国債証券、地方債証券など
    (2)不動産または上場株式で、「物納劣後財産」に該当するもの
    (例)土地や建物、株式、特定登録美術品
    第2位 (3)非上場株式など
    (4)非上場株式で、「物納劣後財産」に該当するもの
    (例)非上場株式、投資信託などの受益証券
    第3位 (5)動産
    (例)自動車や宝石、美術品、家具など
    物納制度を利用する場合、不動産の評価額はスムーズに売買取引を行う場合よりも安値で評価される点に注意が必要です。なお、「特定登録美術品」とは、相続を開始する段階で登録が済んでいるものが該当します。特定登録美術品の場合、「評価価格通知書」のコピーの提出も必要です。

    (要件3)各種必要書類を期限内に提出する
    相続税の物納制度を利用する場合、国税庁のホームページや税務署の窓口で特定物納申請書と物納手続関係書類などを入手し、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に提出します。必要書類を期限までにそろえられない場合、必ず「提出期限延長届出書」を提出しましょう。
    また、物納を希望する財産が物納にふさわしい「物納的確財産」と判断されることも必要です。物納できる財産であっても、物納に不適格な財産として「管理処分不適格財産」と判断された場合は物納できません。ただし、他に物納できる財産がない場合に限り「物納劣後財産」として、「地上権が設定されている土地」や「法令に違反して建築された建物およびその敷地」も利用できるとされています。

    (補足)管理処分不適格財産
    管理処分不適格財産とは、物納財産として優先順位に記載される財産を保有しているが、さまざまな理由で物納に充てることができない財産を指します。該当するのは、以下のような財産です。

    管理処分不適格財産の例
    ・担保権の設定の登記がされているか、これに準ずる事情がある不動産
    ・権利の帰属で争いが生じている不動産
    ・耐用年数が経過しており、通常使用が難しい不動産
    ・境界が不明瞭な土地
    ・共有財産
    ・訴訟事件に発展するリスクの高い財産
    ・譲渡制限のある株式
    ・共有者全員による物の許可申請が行われていない株式
  • 物納制度の申請方法

    物納制度を申請する際は、「相続税物納申請書」「物納財産目録」に加え、手続きに関係する書類の提出が必要です。保有している財産によって、必要書類が異なるため注意しましょう。各書類をそろえ、記載を済ませたら税務署に提出します。

    主な物納制度の申請書類
    ・相続税物納申請書
    ・物納財産目録
    ・金銭納付を困難とする理由書(作成に要した資料のコピーも添える)
    ・物納劣後財産等を物納に充てる理由書(物納劣後財産を物納する場合)
    ・物納手続関係書類(物納制度を申請する財産の種類によって変動)

    申請の流れとしては、以下の通りです。

    物納制度の申請の流れ
    1. 物納申請財産を選定
    2. 物納手続関係書類をそろえ、記入
    3. 物納申請書、物納手続関係書類の提出
    4. 補完通知書などを参考に、必要に応じて書類の訂正や不足書類の提出
    5. 管轄する財務局による物納申請財産の現地調査を受ける
    6. 財産の収納にあたり、期限内に必要な措置の実施
    7. 物納許可もしくは物納却下を受ける

  • 物納制度の注意点

    物納制度を利用する場合は、知っておくべき注意点もあります。実際に物納申請が認められるのは容易ではなく、制度自体も複雑といえます。主な物納制度の注意点は以下の通りです。

    物納制度の利用を選択する期限がある
    物納制度が認められるのは「相続税の納期限又は納付すべき日」までに申請が行われている必要があります。物納制度を希望する場合、相続開始日から10ヶ月以内に物納申請書を税務署に提出しましょう。なお、別途手続きを行えば提出期限の延長も可能です。

    申請しても却下もある
    物納制度を希望しても、税務署に申請を却下されるケースもあります。申請が却下されると、納付期限から却下されるまでの期間にも利子税が課せられます。却下されるかもしれないことも想定の上で、物納申請が妥当かどうか吟味することが大切です。

    必要書類の修正や訂正には時間がかかると利子税も生じる
    物納申請に伴う必要書類の記入に時間がかかり、当初の納付期限に提出が間に合わないこともあります。期限を過ぎてしまった場合や物納申請を取り下げた場合は延滞税が発生します。延滞税は利子税よりも高い税率のため、物納申請を迷う場合は税理士などの専門家に早めに相談すると安心です。

控除制度を活用しよう!地主の払えない相続税の負担を軽減

  • 控除制度を活用しよう!地主の払えない相続税の負担を軽減
  • 相続によって突然地主になり、状況次第では相続税の支払いに対応できないこともあるでしょう。延納や物納以外にも、相続税の支払いが困難な方向けの7つの控除制度があります。うまく控除制度を利用すれば、支払額を抑えられるかもしれません。ここからは、それぞれの控除制度について解説します。

  • 基礎控除

    相続税の基礎控除は、相続した遺産の総額から一定額を控除できる制度です。控除できる基礎控除額は、3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)で算出します。なお、法定相続人とは配偶者(法律上の夫または妻)と血族相続人としてみなされる方です。血族相続人は、以下の順で優先順位が決定されます。

    第1位
    子、直系卑属の代襲相続人です。直系卑属には、被相続人(故人)から見て直系の下の世代で、子どもや、孫、ひ孫が相当します。元配偶者との間の子どもが亡くなっており孫がいる場合、代襲相続人として孫が子どもに代わる相続人となります。

    第2位
    親、直系尊属の祖父母です。直系尊属は、被相続人から見て直系の上の世代(親や祖父母、曽祖父母)を指します。

    第3位
    兄弟姉妹(傍系血族)、代襲相続人です。傍系血族には、甥や姪、伯父伯母なども相当します。
    なお、具体的な基礎控除額の計算例は、以下の通りです。

    (例1)法定相続人が3人の場合
    3,000万円 +(600万円 × 3)= 4,800万円

    (例2)法定相続人が6人の場合
    3,000万円 +(600万円 × 6)= 6,600万円

    このように、法定相続人の数が多いほど基礎控除の額は大きくなります。存命する法定相続人が複数いる方ほど活用したい制度といえます。

  • 配偶者控除

    配偶者控除は、被相続人(故人)の配偶者が相続した遺産のうち、課税対象額 1億6,000万円までは無税となるものです。この額を超えても、配偶者の法定相続分相当額までは課税されません。ただし、配偶者控除には以下の要件を満たすことが必要です。

    配偶者控除要件
    1. 戸籍上の配偶者である
    2. 相続税の申告期限までに遺産分割を済ませている
    3. 相続税の申告書を申告期限までに税務署に提出している
    4. 相続税の申告から3年以内である

  • 未成年者控除

    未成年者控除は、相続人に未成年が存在する場合に利用できます。2022年4月1日に成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、現行の控除額は、10万円 ×(18歳 - 相続開始時の年齢)から求めます。未成年者控除にも適応要件があり、以下のすべてを満たすことが必要です。なお、改正前の相続(遺贈)により取得した財産への相続税は従来通りで課せられます。

    ・相続開始日に、日本国内に住所がある
    (*日本国籍を持っており、被相続人か相続人のいずれかが相続開始前の5年以内に日本国内に住所を持つ場合はっている場合は適用)
    ・相続開始時点で未成年者である
    ・相続や遺贈によって財産を取得している
    ・法定相続人である

  • 贈与税額控除

    贈与税額控除は、贈与税と相続税が二重に課税されてしまうのを防止する制度です。前者の贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類あります。暦年課税では、年間110万円の範囲内であれば贈与税が非課税です。暦年贈与の場合、3年以内に納めた贈与税額から、相続時精算課税の場合は選択後に納めた贈与税額から控除額を決定できます。
    後者の相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子供または孫に対して財産贈与した場合、2,500万円を上限に贈与税を非課税にできる制度です。

  • 相次相続控除

    相次相続控除は、過去10年以内に行われた相続で発生する税負担を軽減する制度です。「相次相続」は、相続が短期間で連続して発生することを指します。具体的な相次相続控除の割合は、初回(一次相続)から次の相続(二次相続)が行われるまでの経過年数に応じて控除割合が減少し、具体的には2年以上3年未満で8割、6年以上7年未満で4割などを控除できます。

  • 障害者控除

    障害者控除は、相続人に障害をお持ちの方がいる場合、障害の程度に応じて負担を軽減できる制度です。障害者控除の利用要件には、以下の3つの要件を満たすことが必要です。

    ・財産の取得時に日本国内に住所があること
    ・財産の取得時に障害者であること
    ・財産を取得した人が法定相続人であること

    さらに、障害者は一般障害者と特別障害者に分けられ、それぞれ以下の計算式で控除額が決まります。1年未満の期間がある場合、納税する方が有利になるよう1年に切り上げて計算します。

    一般障害者の控除額
    (85歳 - 相続開始時の年齢)× 10万円

    満85歳になるまで1年につき10万円が控除されます。

    特別障害者の控除額
    (85歳 - 相続開始時の年齢)× 20万円

    満85歳になるまで、1年につき20万円が控除されます。

    万が一控除枠の金額が余ってしまう場合、他の相続人で扶養義務者の税金に限り控除対象に充てられます。扶養義務者とは障害者からみた「配偶者」、「祖父母」「父母」「子」「孫」「兄弟姉妹」「3親等内の親族」いずれかで家庭裁判所が扶養義務を負わせた者です。財産相続の発生時点で障害者手帳を取得済みか申請中の場合は検討すると良いでしょう。

  • 外国税額控除

    外国税額控除は、日本と外国籍の方の財産所在地国との税の重複を緩和するための制度です。適用対象となるのは、「国外財産を取得した人」もしくは「その国外財産にその国の法令により相続税に相当する税が課されている人」となります。この対象者であることを前提に、外国税額控除の要件は以下の3点です。

    ・相続または遺贈により財産を取得したこと
    ・取得した財産は法施行地外(外国)にあること
    ・取得した財産について、現地の法令により相続税に相当する税が課せられたこと

    なお、控除額の計算式は以下の通りです。

    所得税の控除限度額 = その年分の所得税の額 ×(その年分の国外所得金額 / その年分の所得総額)

    外国の法令により課せられる相続税率が日本より多い場合、日本の税率を超える部分の税額は控除できないことになります。また、外国税額控除が認められるのはその年分の国外所得金額のみです。相続人の方で、日本の相続税に該当する制度がある国籍の方はよく確認しましょう。

控除以外の節税方法!地主の払えない相続税の負担を軽減

  • 控除以外の節税方法!地主の払えない相続税の負担を軽減
  • 相続税が支払えない場合、まずは利用できる各控除制度の有無を確認しましょう。要件を満たす控除制度がない場合、次のような方法でも相続税を節税できることがあります。

  • 生前贈与を行う

    被相続人(故人)が亡くなる前に生前贈与が行われていれば、将来相続が発生した時に相続税が課税される財産を減らせます。生前贈与は高い節税効果が得られる他、贈与先の相手も自由に指定できるのがメリットです。ただし、生前贈与には高い節税効果が期待できる反面、行わないほうが良いケースもあります。生前贈与を行う場合、以下のような注意点も把握しておきましょう。

    税務署に生前贈与が否認されることもある
    贈与契約書の作成、金銭を受贈者が普段から使用している銀行口座に振り込むなどの対策が有効です。

    生前贈与加算の対象となり、相続税が発生する
    被相続人(故人)が亡くなる3年以内に生前贈与が行われた場合、その贈与額も相続人の相続財産と見なされます。生前贈与加算の対象は、相続や遺贈により財産を取得した人です。

    定期贈与と見なされた場合、贈与税の対象となることもある
    毎年同じ額の贈与があると定期贈与と見なされることがあるため、注意が必要です。

  • 特例を利用する

    相続税を減額する際には、「小規模宅地等の特例」や「家なき子特例」などの特例も利用できます。小規模宅地等の特例は、一定要件を満たす場合、土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度です。また、家なき子特例は、被相続人(故人)と同居していなかった親族が小規模宅地等の特例を利用できる制度となります。自分が該当するか不明な場合は、税理士など専門家に相談するのもおすすめです。

  • 法定相続人を増やす

    法定相続人を増やすと、非課税となる基礎控除額が増え、課税される税率を引き下げられる場合があります。法定相続人を増やすには、養子縁組を行う方法があります。特に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで法律上の法定相続人を養子として増やせます。相続税以外にも死亡退職金や生命保険の非課税枠も増やせるのもメリットです。
    ただし、あからさまな節税対策での養子縁組の申請と見なされる場合、税務署から却下されることもあります。そのため養子縁組については、他の法定相続人への相談も忘れずに行いましょう。

  • 生命保険を活用する

    生命保険の非課税枠を活用するのも、相続税の節税に効果的です。生命保険以外にも死亡退職金の非課税枠も同じく節税効果が期待できます。生命保険の非課税枠は、生命保険金の金額から「500万円 × 法定相続人の数」を差し引いた額を相続税として計算します。
    死亡退職金の非課税枠については、被相続人が企業に勤めている状態で死亡した際、就業規則に死亡退職金制度の規定がある場合に限り、遺族は死亡退職金を受け取れます。なお、死亡退職金にも非課税枠があり、「500万円 × 法定相続人の数」が限度額です。生命保険や死亡退職金の非課税枠も節税効果が高いので、該当する場合はうまく活用しましょう。

まとめ

  • まとめ
  • 財産相続で地主になった場合、相続税の支払いが必要となります。相続税の支払いは原則現金一括払いですが、金額が高額な場合は資金の調達が難しいケースも少なくありません。しかし、相続税の支払いが難しい場合は、延納制度や物納制度を検討したり、支払額を抑えるために各控除制度も利用できたりします。また、あらかじめ生前贈与や特例を検討しておくことも節税に効果的です。相続税の支払いをスムーズに行うため、税理士などの専門家に相談するなどの対策を心がけましょう。

FAQ

  • Qアイコン 相続税の支払いが難しい場合の対処法はありますか

    相続税の支払いは、原則として現金一括です。相続税の支払いが難しい場合、相続人の方々が利用できるいくつかの救済制度があります。相続税の支払いが難しい方への対処法を紹介しています。
    詳細はこちらを参考にしてください。

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