相続した土地の5年以内の売却は注意?相続や土地の売却に伴う税金について解説!
被相続人(故人)の財産に土地や空き地などの不動産がある場合、財産を平等に分けるためには売却し現金に換えることでスムーズに分けられます。しかし相続した土地の売却時、一部のケースでは多額の税金が発生する恐れもあるため注意が必要です。今回は相続発生から相続した土地の売却に関する手続きの流れや売却に伴う税金や諸費用、利用できる特例や優遇措置、具体的な節税方法もご紹介します。将来的に土地の相続も予想される方に役立つ内容となっているのでぜひ、参考にしてください。
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「相続した土地の5年以内の売却に注意」という説もありますが、この理由には売却時に課税される税金の税率に関するものが中心です。まずはこの「5年」に注意すべき理由や土地の放置リスク、相続した土地の売却に対する考え方を紹介します。
土地の相続から5年以内の売却に注意すべき理由
土地の相続から5年以内の売却に注意すべき理由には、売却時に発生する「所得税」「住民税」の税率が関係します。売却時に課せられるこれらの税率は、土地などの不動産の所有期間によって異なります。所得は2種類あり取得から5年以下は短期譲渡所得、5年以上は長期譲渡所得と見なされます。また、期間は相続開始時点から始まるのではなく、相続してからの「所有期間」という点がポイントです。
所有期間 所得税率 住民税率 5年以下(短期譲渡所得) 30.63% 9% 5年超(長期譲渡所得) 15.31% 5% 相続した土地を放置するリスク
相続手続き上、相続登記によって土地等の不動産の所有者が相続人へ移ることで、所有者には固定資産税や都市計画税の納付義務が発生します。現在は相続登記が義務ではないため、課税回避を目的に意図的に土地の相続登記を行わないケースが多発しているのです(2024年4月1日からは相続登記が義務化)。また、相続した土地を売却せずに放置することで次のようなリスクが発生します。
・不動産としての価値が低下する
・固定資産税や都市計画税を納め続ける必要がある
・管理状況によっては自治体から指摘される恐れがある
・土地の権利関係が複雑になる
・10万円以下の過料の対象となる(2024年4月1日~)
・相続人に債権者がいた場合、差し押さえの恐れがある
・事故や不法行為が発生した場合の不動産賠償が受けられない
参考までに、土地を所有し続けることで毎年発生する各税金の算定方法は次の通りです。使途不明の土地を放置するメリットはないことから、早期売却や土地活用が必要といえるのです。住宅用地の区分 住宅用地の特例率 固定資産税 都市計画税 小規模住宅用地 200㎡以下の範囲 価格 x 1/6 価格 x 1/3 一般住宅用地 200㎡超の範囲 価格 x 1/3 価格 x 2/3 相続した土地をすぐに売却した方が良いケース
被相続人の財産に土地(不動産)が含まれる場合、すぐにでも売却した方がいいケースをまとめてみました。土地を売却することで節税効果、一連の相続手続きがスムーズになることもあるので、以下に該当するのであれば売却を検討するとよいでしょう。
・相続税の納税資金を確保できない
・相続した土地が多人数共有状態となり、遺産分割が複雑になっている
・相続税を納税した場合(相続税の申告期限の翌日以後3年に限り利用できる特例がある)
・土地活用が行いにくい
このほか土地を共有状態のまま売却、現金化して分割すると登記費用も節約できるというメリットもあります。相続した土地をすぐに売却しなくとも良いケース
相続した土地の売却に関して、以下に該当する場合は判断を急がなくともよいでしょう。ただし、相続登記を怠るのは罰則対象となるため、相続登記は早急に済ませておくのも大切です。
・相続税が発生しない
・相続税の納税資金を確保できる
・遺産分割がスムーズに決まった
・土地活用を検討している-
実際に相続した土地(不動産)を売却する場合、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。ここでは相続発生から土地を売却するまでの一連の流れをまとめていきましょう。
1.遺言書の有無を確認
民法の定めにより、被相続人(故人)の財産を相続する権利を持つ方は「法定相続人」と呼ばれます。被相続人の死亡と共に一連の相続手続きは始まり、まずは遺言書の有無を確認します。遺言書にも種類があり「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」の場合は家庭裁判所による検認、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」などがあります。法的効力をもつ遺言書がない場合、相続は法定相続人が相続する仕組みです。なお、被相続人の配偶者は必ず相続人となるほか、一例として以下のような法定相続分が定められています。
存命する法定相続人のケース 法定相続分 配偶者のみ 配偶者100% 子のみ 子100%(複数人の場合均等分配) 配偶者+子 配偶者1/2、子1/2(複数人の場合均等分配) 配偶者+兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 2.相続財産と相続人の調査
相続する権利を持つ相続人が判明したところで、被相続人が遺した財産を調査します。財産には以下のようなものが該当します。
プラスの財産
・不動産(自宅の土地、空き地、山林、事業用不動産など)
・不動産上の権利(借地権や地上権など)
・金融資産(現金や預貯金、有価証券など)
・動産(クルマや家財、貴金属など)
・その他(株式やゴルフ会員権、著作権、特許権など)
マイナスの財産
・借金(ローンや消費者金融などからの借入金、手形債務、買掛金など)
・公租公課(所得税や住民税、固定資産税の未払金)
・預かり敷金や保証金の返還義務
・その他の債務(未払費用や未払い利息、光熱費や医療費などの未払金)3.遺産分割協議
効力を持つ遺言書がない場合、これらの財産は相続人全員の「共有財産」となり、遺産分割協議を行い相続人全員が合意できるまで話し合うことになります。1人でも相続人がいない状況の協議は無効となるため、協議が難航するケースも少なくありません。なお、相続人が財産をどのように相続するかについて、以下のような方法で分配されます。
複数の相続人がいる場合の遺産分割方法(土地があることを想定)
・相続放棄
・換価分割
・代償分割
・共有分割
土地などの不動産は分配しにくい性質上、財産に不動産が含まれる場合は売却(現金化)した金銭を分配する換価分割が選択されるのが通例です。また、不動産の評価方法は相続税評価額を用いると、時価の80%にしかならず不公平が生じます。そのため、相続税評価額と時価に開きがある点に注意し、分配することが大切です。4.相続登記申請
土地や空き地などの不動産を売買、贈与、相続により不動産の所有者を移転する際は「所有移転登記」を行い、この手続きは相続の場合「相続登記」と呼ばれます。不動産は所有者(名義人)以外は売却できないため、被相続人から相続人への名義変更(相続登記)が必須となります。相続登記には主に以下のような書類が必要です。
相続登記申請の必要書類
・登記事項証明書
・相続登記申請書
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
・相続人全員の最新の戸籍謄本
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
・相続関係説明図
・不動産の固定資産評価証明書
相続の方法によって必要書類が異なるため、手続きは司法書士へ依頼するのがスムーズです。5.相続税の申告
相続税は被相続人の死亡、つまり相続開始日翌日から10ヶ月以内に、被相続人が居住していた地域を管轄する税務署への申告が必要です。相続税の対象となるのは遺産総額から葬儀費用、非課税財産や基礎控除額が差し引かれた金額となります。納付期限を過ぎた場合「無申告加算税」「延滞税」が加算され増額される点にも気をつけてください。期限に間に合わない場合は納税額の分納なども可能ですが、土地を売却するのであれば速やかな売却手続きを心がけましょう。相続税に関するペナルティは「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁」も参考にしてください。
6.土地(不動産)を売却
土地を売却する場合、より高値で売却するためにも不動産一括査定を利用するのがスムーズです。自力で買い手を募るのは容易でないほか、インターネット上からこのような一括査定への申し込みが可能です。また、売却だけでなくさまざまな土地活用に関する情報も集められます。なお、土地の売却価格(評価額)は「相続税路線価(路線価)」もしく「倍率表」によって決まります。いずれも詳細は国税庁のホームページに掲載されているので、参考にしてください。また、土地の売却の際は主に以下の書類が必要です。仲介会社などから必要書類を示されるため、指示通りに揃えていきましょう。
土地売却の必要書類
・本人確認書類(運転免許証など売主身分証)
・実印
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
・住民票の写し(発行から3ヶ月以内)
・登記識別情報通知(登記済権利証)
・確定測量図および境界確認書
・固定資産税納税通知書
・固定資産評価証明書(最新年度)
・購入時の売買契約書(任意)
・重要事項説明書(任意)7.確定申告
遺産相続に関して、以下に該当するケースでは所得に対する確定申告も必要になります。相続する際に節税目的の特例(詳細は後述)を受けていた場合、揃える書類が異なります。確定申告は自分で申請することも可能ですが、書類の作成方法を含め税理士へ相談するとスムーズです。
・相続した財産を売却した
・収益を生む財産を相続した(賃貸用不動産など)
・相続した財産を寄付した
・相続した財産を換価分割(売却による現金化)で分配した
・未支給年金・死亡保険金を受け取った
また、確定申告には以下の書類が必要です。
・確定申告書AもしくはB
・身分証明書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
・控除証明書(生命保険料や社会保険料など)
・源泉徴収票(給与や年金など)
このほか、事業などで被相続人(故人)に所得があった方の場合は「準確定申告」も必要です。
・個人事業(自営)を行っていた
・不動産収入を受け取っていた
・2ヶ所以上から給与を受けていた
・給与収入が2000万円を超えていた
・公的年金など400万円以上の収入があった-
被相続人の財産を相続した場合、相続税のほか、相続した土地の売却に伴いいくつもの税金が課せられます。いずれも算定基準となる計算式が存在するため、ここでは売却によって課税される税金や各計算式を整理しておきましょう。
相続税
被相続人の財産を相続する場合、財産から葬祭費用や借金などのマイナスの財産(債務控除)を差し引いた額が基礎控除額を上回る時は相続税が課せられます。相続税の計算式と一例は次の通りです。参考(親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか? )
課税遺産額 = 遺産総額(全遺産総額)- 基礎控除額
※基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 相続人の人数)
相続税 = 課税遺産額 × 税率
(例)遺産総額9000万円を3人で相続する場合の課税遺産額
= 9,000万円 -(3,000万円 + 600万円 × 3人)
= 4,200万円
※総額4,200万円を相続人ごとの法定相続分割合分が課税譲渡所得税
相続した土地を売却する場合、売却益(所得)に対して譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税の計算式と一例は次の通りです。譲渡費用にはその土地を譲渡するためにかかった費用を指し、不動産会社への仲介手数料や建物の解体費用などが含まれます。取得価格が分からない時は譲渡価格の5%である概算取得費に置き換え計算されます。冒頭でもふれたように、所有期間は5年を境に税率が異なる点に注意しましょう。
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 所有年数に応じた税率
※譲渡所得 = 土地の譲渡価格 - 土地の取得価格 - 譲渡費用
(例)土地の譲渡価格5,000万円、土地の取得価格3,000万円、譲渡費用200万円、所有年数が5年以上の場合、譲渡所得税は下記のように算出されます。
譲渡所得
土地の譲渡価格 - 土地の取得価格 - 譲渡費用
= 5,000万円 - 3,000万円 - 200万円
= 1,800万円
譲渡所得税
= 1,800万円 × 20.315%
= 365万6700円印紙税
不動産売却における不動産売買契約書は、売却金額によって定める額を印紙税として印紙を貼り、消印のうえ納税を行います。印紙は郵便局やコンビニエンスストアから入手可能です。また売却金額ごとの印紙税(収入印紙の金額)は次の通りです。
印紙税(収入印紙の金額) 本則税率 10万円以下 非課税 10万円を超え50万円以下 500円 50万円を超え100万円以下 1,000円 100万円を超え500万円以下 2,000円 500万円を超え1千万円以下 10,000円 1千万円を超え5千万円以下 20,000円 登録免許税
土地などの不動産を相続する場合、売却や権利の所在によっては登録免許税が課せられます。この登録免許税は次のようなケースで課税される一方、免除制度も用意されています。
土地の相続で登録免許税が課税されるケース
・相続した土地に相続登記を行う
・抵当権がついた土地の抵当権抹消登記を行う
登録免許税が免除されるケース
・相続登記前に相続人が死亡した
・価額が100万円以下の土地の相続
相続登記のケースで見ると、登録免許税の税率は、不動産価格(固定資産税評価額)の0.4%です。しかし、遺言書に従い法定相続人以外の方が取得した不動産の場合の税率は2%です。土地の売却に伴う諸費用
土地の売却には、各種税金以外にも様々な費用が発生します。主な諸費用、書類の取得手数料などをまとめているので、目安として参考にしてください。
土地の売却に伴う諸費用
仲介手数料 取引を仲介した不動産会社への費用として、
取引額が200万円以下で、取引額の5%
200万円超から400万円以下で、取引額の4%+2万円
400万円超で、取引額の3%+6万円
※別途手数料も発生、売買契約時に50%、引き渡し時に50%を支払う印紙税 売買契約時の売買契約書に貼る印紙代
(例)売買金額が1000万円超から5000万円の場合、1万円
5000万円超から1億円以下の場合、3万円抵当権抹消費用 抵当権抹消にかかる費用
登録免許税
1筆(土地の単位)あたり1,000円
司法書士手数料
手続きを依頼する司法書士へ1、5~2万円(相場)繰り上げ返済手数料
(購入時のローン残債がある場合のみ発生)窓口における繰り上げ返済手数料として3万円、インターネット経由の場合5000~1,5万円(相場) 測量費用
(境界が確定していない場合のみ発生)50~80万円(相場) 書類の取得手数料(1通あたり)
被相続人の戸籍謄本 450円 被相続人の除籍謄本 750円 被相続人の住民票除票 300円(350円) 相続人の戸籍の附票 300円 相続人の住民票 300~400円 相続人全員の印鑑証明書 300~400円 不動産登記事項証明書 600円 固定資産評価額証明書 300~400円 -
土地の相続や相続した土地の売却に税金が課せられることは避けられません。しかし、税負担を軽減させる特例や優遇措置、工夫次第ではさまざまな節税方法も効果的です。適用条件が複雑なものもあるため、内容に関して十分確かめ利用しましょう。
相続税に対する優遇措置
相続財産の額や相続人の生活基盤によっては、多額の相続税が課せられた場合に相続人の生活に支障をきたす場合も想定されます。そのため、相続税に関して負担を減らすさまざまな優遇措置が利用できます。
種類 相続税の課税範囲を減らす 小規模宅地等の特例
財産に対する基礎控除相続税額からの控除 配偶者の税額軽減
未成年控除
障害者の税額控除
相次相続控除
外国税額控除非課税限度額までは相続税が免除 生命保険金
死亡保険金
基礎控除の金額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数取得費加算に対する特例
相続した土地を売却した際の売却益(譲渡所得)には所得税や住民税が課せられます。高額になるほど納税額も増えるため、金額によっては負担が大きくなる恐れもあります。この点について「取得費加算の特例」があり、適用された場合は納税額を減らせる特例です。特例は相続税申告時に納める相続税の一部を譲渡費用に加算し、課税対象となる譲渡所得の総額を減らせます。この特例を適用する場合の譲渡所得は以下の計算式です。
譲渡所得 = 土地の譲渡価格 - 土地の取得価格 - 相続税額の一部 - 譲渡費用
なお、「相続税の一部」は課税遺産総額の中で売却する土地の譲渡価格が占める割合で変動します。特例を利用するには「相続開始日翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却していること」を満たす必要がある点にも注意しましょう。相続による取得した空き家の譲渡に対する特別控除
日本各地で所有者不明の空き家増加が社会問題となっている背景から、平成28年度に作られたのが 「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。特例では「被相続人居住用家屋」お「被相続人居住用家屋の敷地等」が対象で、相続した土地に建つ建物や土地を売却した際の譲渡所得が最大3,000万円まで控除される制度となっています。しかし、適用条件も複雑なため、検討する場合は税理士など専門家に相談するのがおすすめです。なお、この特別控除は先ほどの取得費加算の特例との併用はできません。両方の条件を満たす場合、控除額が大きい方を選んでください。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、相続する土地の評価によって相続税の負担を減らせる特例です。対象となる土地と減額割合は以下のようにまとめられます。大幅な節税効果も見込めるため、こちらも検討する場合は税理士など専門家に相談するとよいでしょう。
土地の種類 適用限度枠 生活していた土地
(特定居住用宅地等)限度面積330㎡
減額割合80%事業用途の土地
(特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等)限度面積400㎡
減額割合80%他人へ貸していた土地
(貸付事業用宅地等)限度面積200㎡
減額割合50%平成21年、22年に取得した土地に対する特別控除
相続、売却する土地を取得したのが平成21年1月1日から平成22年12月31日までの場合、5年を超える所有期間がある場合は「平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」が利用できないか確かめましょう。要件を満たす場合、売却益(譲渡所得)のうち1,000万円までは控除されるほか、1,000万円に満たない時は上宇都所得分の金額が控除されます。なお、この特別控除はほかの優遇措置や特例と併用できない点にも気をつけてください。
ふるさと納税を利用した節税
ここまで紹介してきた各制度は適用条件も細かく、条件を満たすか判断するのが容易ではないこともあります。一方ふるさと納税の利用にも節税効果があり、譲渡所得に課せられる所得税に所得控除、住民税に税額控除が受けられ、同時に地方の返礼品も受け取れます。ただし、節税を目的にふるさと納税を利用する場合は以下のような点にも注意しましょう。
・土地(不動産)を売却する年と同じ年にふるさと納税を行う
・返礼品の総額が50万円を超えないよう注意
・日常生活の資金繰りに注意
・控除上限額の所得税「総所得金額等 × 40%」、住民税の基本分「総所得金額等 × 30%」に注意-
相続した土地に関する税金などの制度をまとめてきましたが、土地の相続や税金に関してさまざまな注意点が存在します。相続人同士のトラブルを防ぎ、相続した土地を平等かつスムーズに扱うために覚えておきたい注意点を紹介します。
相続不動産の売却に対する税金は相続人全員に課せられる
相続人間で被相続人の財産の相続方法を決める時に覚えておきたいのが、相続不動産の売却によって課せられる税金は、財産を相続する全ての相続人へ課せられるという点です。相続した土地を売却して現金化してから相続人で分ける場合、一旦ひとりの相続人代表者へ土地の名義を移すことになります。そのため代表者が各税金はまとめて納め、現金として分ける際に相殺するのがスムーズです。後からトラブルにならないよう、遺産分割協議の際は売却のスケジュールを共有しておくとよいでしょう。
土地を取得した際の資料を探しておく
相続した土地を売却するのであれば、土地を取得した際の売買契約書などの資料を用意したいところです。売買契約書にはその土地の取得費用が記載されており、譲渡所得を計算するのに取得費の金額が必要になるからです。不明な場合は売却価格の5%が概算取得費に設定されますが、土地を取得したタイミングによっては取得した土地であれば実際の取得費用のほうが高額のケースもあり、多く計上できる方が譲渡所得の計算上有利になります。
相続した土地を売却する際のポイント
相続した土地をスムーズに売却するために、覚えておきたいポイントをまとめて紹介します。
・土地の売却について相続人全員の同意を得る
・銀行などの窓口担当者を決めておく
・売買契約時の売却額の下限を話し合っておく
・相続登記(名義変更)が済んでいるかの確認
・控除や特例を利用する場合、適用期限にゆとりをもって売却する
・土地の種類が農地に指定されていないかの確認
・土地(不動産)に担保権がついていないかの確認-
相続や土地(不動産)の売却は関連法規や手続きも複雑で、一般の方が内容を理解するのは難しいこともあるでしょう。相続によって発生する財産や債務、財産に土地がある場合に売却すべきか否かといったお悩みは各専門家へ相談するのが得策です。複数の相談先が挙げられますので、おすすめのケースと共に各相談先を紹介します。
市役所・区役所などの公的機関(無料相談)
各自治体で開催される相続向けの相談は「無料で気軽に相談したい」「書類の書き方を知りたい」「相続全般を知りたい」という方に向きます。市報や広報などに掲載されますが、人気で枠が埋まりやすい場合もあるようです。
銀行(信託銀行)
相続手続きを扱う信託銀行や銀行の資産承継に関する業務の中で、相続に関する相談を受け付けている所もあります。費用が発生し、資産運用や口座開設を勧誘されることもありますが「相続関連の手続きを一括して任せたい」「相続財産を運用(活用)したい」という方向きです。
司法書士
法律上、土地など不動産の名義変更は司法書士の独占業務です。同時に預貯金や株式の名義変更も行えるほか、相続登記の際には司法書士への依頼が基本です。依頼先の専門家がシンプルにまとまるほか、相続税以外の遺言書の検認や遺産分割会議、相続放棄を相談したい方向きでしょう。
弁護士
相続を機に、当事者となる相続人同士で相続に関する意見の食い違いなどからトラブルに発展するケースも少なくありません。話し合いで一度こじれてしまった場合、解決するためには弁護士に仲介に入ってもらうのが得策です。弁護士への相談は有料ですが、法テラスや自治体が主催する相談会であれば多少費用も抑えられます。「相続の話し合いでトラブルになってしまった」「代理で交渉してほしい」などの場合は弁護士への相談を検討しましょう。
税理士
税理士は、相続の中でも相続税に関する専門家です。今回の相続だけでなく将来的な二次相続に関する見通しや節税方法もアドバイスが受けられます。税理士は「相続税全般に関すること」「具体的な節税方法」「故人の準確定申告」などの相談先として最適です。
行政書士
各手続きを専門家に依頼すれば手数料も発生するため、できる限り当事者で相続に関する手続きを行いたい方には行政書士がおすすめです。行政書士は一連の手続きの中でスポット(単発)の手続きを依頼しやすく「戸籍謄本の収集のみ」「遺産分割協議書の作成のみ」といった依頼も可能です。-
今回は相続した財産に土地などの不動産が含まれる場合、相続人で分配するために売却するケースを例に流れや売却時の課税の仕組みを中心に解説してきました。土地は平等に分配しにくい性質上、現換価分割によって現金化したのち分配するのがスムーズとなります。売却時の譲渡所得に利用できる節税方法もあるため、適用の可否や手続きは専門家への依頼がおすすめです。今回の記事を参考に、想定される相続の在り方について検討する機会を設けてみてはいかがでしょうか。
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土地の相続から5年以内の売却に注意すべき理由を教えてください。
土地の相続から5年以内の売却に注意すべき理由には、売却時に発生する「所得税」「住民税」の税率が関係します。売却時に課せられるこれらの税率は、土地などの不動産の所有期間によって異なります。所得は2種類あり取得から5年以下は短期譲渡所得、5年以上は長期譲渡所得と見なされます。また、期間は相続開始時点から始まるのではなく、相続してからの「所有期間」という点がポイントです。
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相続した土地をすぐに売却した方が良いケースはありますか?
土地を売却することで節税効果、一連の相続手続きがスムーズになることもあるので、以下に該当するのであれば売却を検討するとよいでしょう。相続税の納税資金を確保できない、相続した土地が多人数共有状態となり、遺産分割が複雑になっている、相続税を納税した場合(相続税の申告期限の翌日以後3年に限り利用できる特例がある)、土地活用が行いにくい
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