不動産投資の「実質利回り」と「表面利回り」の違いとは?投資で成功するコツも解説!

利回りは、投資金額に対する収益割合を示した数値です。不動産投資の場合、物件取得費に対する1年間の家賃収入の割合を指します。不動産投資における収益性を判断する重要な要素ですが、利回りにも種類があり、それぞれの意味合いや違いを正しく理解すれば、投資の成功に近づくでしょう。今回は不動産投資に関心のある方に、不動産投資の「実質利回り」と「表面利回り」の違いをはじめ、不動産投資の種類や収益物件の見極め方、不動産投資で重要な出口戦略について解説します。

不動産経営の成功率は?!

不動産投資の利回りとリスクについて

  • 不動産投資の利回りとリスクについて
  • 不動産投資の収益には利回りが深く関係しますが、不動産投資にはいくつもの種類があり、それぞれに程度の異なるリスクが存在します。利回りの仕組みをスムーズに理解するために、まずは不動産投資の大まかな種類やメリット、収支面について見ていきましょう。

  • 不動産投資には3つの方法がある

    不動産投資と呼ばれる投資には「実物不動産投資」「小口化投資」「証券化投資」の3つがあります。この3つの投資の大まかな特徴は以下の通りです。

    特徴
    実物不動産投資 ・一般的な不動産投資で、賃貸物件を貸し出し家賃収入を得る方法
    ・所得税や相続税などで節税効果が得られる
    ・株取引などの金融商品に比べ、収入が安定しやすい
    ・長期間の運用が前提で、老後の資金作りの代名詞でもある
    ・金融機関から借り入れを行い、自己資産を大きく超える投資が可能
    小口化投資 ・対象の不動産を購入、小口化し投資用不動産として複数の投資家に販売
    ・投資家は購入した口数に応じた収益が得られる
    ・「賃貸型」「匿名組合型」「任意組合型」の3種類に分かれる
    ・少額から投資可能で運用を任せられ、プロが選定した不動産に投資できる
    証券化投資 ・J-REIT(不動産投資信託)など不動産を対象とした金融商品を購入
    ・証券投資となるため、配当控除がないことを除き株式投資とほぼ同じ
    ・2001年頃から始まった投資手法で、不動産の流動性の低さを緩和している
    ・投資対象の不動産は購入(取得)せず、運用も運用会社が行う
    ・数万円の元手から始められ、分散投資が可能
    不動産投資にイメージされるのは、「実物不動産投資」による不動産の賃貸経営でしょう。不動産投資先の投資先は、以下の選択肢に分かれます。

    ・区分マンション
    ・一棟マンション、アパート
    ・戸建て
    ・民泊
    ・駐車場

    投資先や物件によってメリットや利回りが異なるため、複数の候補を比較し自分に合った投資先を選ぶことが大切です。また、資産運用によって資産を増やす手段も有効です。不動産投資では、融資を受けることでレバレッジ(自己資金に対する利益率)の最大化を狙える他、生命保険対策や相続税対策にも役立つなどのメリットがあります。

  • 不動産投資を始める際にかかる費用

    不動産投資は、投資物件を購入するところから始まります。不動産投資の初期費用は、物件取得価格の5〜10%が目安です。不動産投資を新たに始める際、ほとんどの方が金融機関の融資を受け、頭金を支払いスタートするのが一般的です。融資を受けて1億円の賃貸物件を購入(取得)する場合、初期費用の目安は500万〜1,000万円となります。既存の物件を購入する以外に、物件を建築する土地も購入する場合はさらに高額になるでしょう。
    投資を始める際に発生する主な費用は以下の通りです。

    タイミング 費用の種類 補足
    売買契約時 印紙税 売買契約書に添付
    印紙税額の一覧表

    」参照
    決済、引き渡し時 印紙税 金銭消費賃借契約書に添付
    印紙税額の一覧表

    」参照
    登録免許税 抵当権設定登記手続きに必要

    売買による所有権移転
    土地と建物それぞれに固定資産税評価額 × 2%

    抵当権設定
    借入額 × 0.4%
    司法書士報酬 10〜20万円程度
    固定資産税 物件引き渡し日までの日割り計算で算定
    固定資産税評価額×1.4%
    都市計画税 地域や条件で異なる、発生しない地域もあり
    固定資産税評価額 × 0.3%程度
    仲介手数料 物件価格 × 3% + 6万円(消費税別)
    売主がデベロッパーの場合、自己所有の土地に物件を立てる場合は不要
    ローン借入時 ローン手数料 不動産投資ローンの借入のため、金融機関に支払う手数料として5~10万円程度
    ローン保証料 保証会社へ支払う手数料として、
    借入額 × 0%~0.2%程度
    「プロパーローン」を使用する際は不要
    火災保険料
    地震保険料
    約5万~10万円。地震保険料は物件によって異なるため「保険料シミュレーター

    」を参照
    団体信用生命保険(団信) 生命保険会社の生命保険料の借入金利に
    年 + 0.10%~+0.30% 程度上乗せ
    一定期間経過後 不動産取得税 固定資産税評価額 × 3%で計算
    購入後、半年から1年後に納付
    この他、別途振込手数料などの費用もかかります。

  • 不動産投資の経費にあたる項目

    不動産投資を行うと、毎月ランニングコストが発生します。この支出は確定申告時に経費として申告することが可能です。具体的には、以下のような費用が経費として挙げられます。

    ・減価償却費
    ・仲介手数料
    ・租税公課(固定資産税、都市計画税、事業税など)
    ・損害保険料(火災保険料、地震保険料)
    ・管理費、修繕積立金(区分マンションの場合)
    ・修繕費
    ・ハウスクリーニング代
    ・賃貸管理代行手数料
    ・借入金金利
    ・税理士費用
    ・通信費
    ・会議費
    ・接待費
    ・広告宣伝費
    ・共用部の水道光熱費
    ・共用部の清掃費用などの維持管理費
    ・サブリース契約費用(サブリース契約の場合)

  • 不動産投資の収入にあたる項目

    不動産投資における収入は、主に以下の6種類です。

    ・賃料収入
    ・更新料収入
    ・共益費、管理費収入
    ・礼金収入
    ・駐車場使用料
    ・自動販売機設置料

    収入の大半を占める賃料収入がどの程度見込めるかは、物件の空室率や利回りが密接に関係します。実際の収支を考えた場合、年間収入から上記の経費を差し引いた金額が「不動産所得」として手元に残ります。収支が赤字になると、自分が蓄えた財産を食いつぶす形になるため、どのような目的の不動産投資でも需要のある物件選びと適切な賃貸経営が欠かせません。

不動産投資の儲かる仕組みと利回り

  • 不動産投資の儲かる仕組みと利回り
  • 不動産投資の収益は2つあり、それぞれ理解しておくと不動産投資の計画を明確にできます。ここでは、2種類の収益と、収益の割合を示す利回りの仕組みについて見てみましょう。

  • 家賃収入からの「インカムゲイン」

    不動産投資による主な収益源は、購入した物件を賃貸に出して家賃収入を得る「インカムゲイン」によるものです。継続的に得られる収益のため、毎月の収入源となります。また、景気やインフレの影響を受けにくい特徴があります。インカムゲインでの収益を高めるには、家賃収入の金額だけでなく、物件の管理費や固定資産税などの支出面、節税効果などのバランスを改善しなければなりません。インカムゲインに対し、ローン返済も含めたキャッシュフローを軸に良好な状態を目指すようにしましょう。

  • 不動産売却費による「キャピタルゲイン」

    不動産投資では、物件を購入し運用してきた物件を売却した時の売却益を「キャピタルゲイン」といいます。物件の購入費用よりも多い金額で売却できた時の利益を意味します。つまり、その物件で多くのインカムゲインが得られたとしても、売却時に利益が得られなければ、投資が成功したか否かを判断できないのです。不動産の価格は経済動向や社会情勢でも変動するため、プロでも売却タイミングを見極めるのは困難です。キャピタルゲインを狙い投資を行うのではなく、他の投資手法も検討した分散投資が賢明となります。

  • 実質利回りとは

    実質利回りは「NOI利回り」「ネット利回り」「純利回り」などともいわれ、不動産経営にかかるさまざまな収支を考慮し、算定する利回りです。物件購入時の仲介手数料や不動産取得税を物件購入額に含め、購入後の経費や各種税金分の費用を家賃収入分から差し引きます。実質利回りの計算式は、次の通りです。

    実質利回り(%)=(年間家賃収入 - 年間諸経費)÷(物件購入価格 + 購入時の諸経費)×100

    具体的な計算方法について、例を挙げてみましょう。
    物件価格1億円、月間の家賃収入が満室状態で70万円、年間管理費5% 年間ランニングコスト200万円の物件の場合は以下のようになります。

    年間家賃収入 = 70万円 × 12 = 840万円
    年間諸経費 = 年間家賃収入 x 5% = 840万円 x 5% = 42万円
    =(840万円 - 42万円 - 200万円)÷ 1億円 × 100 = 5.98%

    不動産投資で投資先を決めるには、後述する宣伝広告などに掲載された表面利回りから、この実質利回りの数値を計算することが重要です。表面利回りは、家賃収入の金額をベースに計算します。そのため、表面利回りが高くとも、支出としての経費が多ければ実質利回り、つまり実際の手取りは少なくなるのです。
    賃貸経営を行う際は、物件を管理するための費用をはじめ、さまざまな諸経費を考慮し物件を見極めましょう。

  • 表面利回りとは

    表面利回りは「グロス利回り」「年利回り」とも呼ばれ、投資用物件広告に掲載されている利回りの大半が表面利回りです。表面利回りは以下の計算式を用います。

    表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100

    事例1
    物件価格1億円、月間の家賃収入が満室状態で70万円の物件の場合

    表面利回り(%)=(70万円 x 12ヶ月)÷ 1億円 × 100 = 840万円

    また、空室状況を考慮した場合の事例は以下の通りです。宣伝広告の表面利回りを、満室時(想定利回り)の数値を掲載していることもあるため、慎重に判断しましょう。地域差にもよりますが、アパートの場合は10%が目安です。

    事例2
    一部屋の家賃5万円、総戸数8戸のアパートで現状入居者が6戸(2戸空室)の場合

    年間家賃収入 = 5万円 × 6戸 × 12ヶ月 = 360万円
    表面利回り(%)= 360万円 ÷ 5000万円 × 100 = 7.2%

  • (補足)その他の利回り

    実質利回りと表面利回りの他に、不動産投資では以下に示すようなその他の利回りが示されることもあります。それぞれの利回りの意味を正しく理解しましょう。

    キャッシュフロー利回り
    物件にかかる年間のキャッシュフローを投資額で割った数値が、キャッシュフロー利回りです。ローンの借入額は人によって異なるため、同じ実質利回りでも最終的な手取りは変動します。キャッシュフロー利回りは、この点を考慮した利回りとなっています。

    キャッシュフロー利回り=(年間賃料収入-年間経費-借入金元本返済額-税金)÷投資額
    ※税金 = 利益 × 税率 =(実質利回り - 減価償却費)× 税率

    想定利回り
    想定利回りは、物件の満室状態を想定(予想)して求めた家賃をベースに、年間賃料合計収入を販売価格で割った数値です。

    想定利回り(%)= 満室想定年間賃料収入 ÷ 販売価格

    自己資本利回り
    自己資本利回り(CCR)は、年間家賃収入を自己資金で割った数値です。多くは融資を受けローンを返済しながら経営を行うため、物件価格ではなく自己資金を用いた時の利益を計算できます。投資効率の良しあし良し悪しを判断するためには、投資額を何年で回収できるかの見極めが重要です。

    自己資本利回り(%)={年間合計家賃収入 -(年間支出 + 年間借入額)}÷ 投資自己資金 × 100

利回りが良い不動産投資先を探すポイント

  • 利回りが良い不動産投資先を探すポイント
  • 続いては、実際に利回りが良い不動産投資先を探すポイントを5点紹介します。物件の利回りは家賃収入を左右する重要な要素です。利回りの数字以外にも以下の点を押さえておきましょう。

  • 築年数が浅い物件を選ぶ

    中古物件で特に注意したいのが、物件の「築年数」です。築年数によって、その物件をあと何年運用できるかが決まります。築年数が経過するほど劣化しやすく、必要となる修繕費も増えるからです。そのため、利回りには物件の修繕費や、管理費の金額も関係します。投資物件におすすめなのは、築年数が10〜20年程度の物件です。新築で最も不動産価格が高い状態から10年ほどで不動産価格は下がるため、築年数が一桁の物件は割高になる傾向です。反対に、築年数が30年を超えると、価格はほぼ底値となります。
    物件は古いほど客付けが難しく、適切な宣伝を行っても入居者を集めにくくなります。出口戦略を考えても、物件を売却する際に赤字となるリスクが高まるでしょう。

  • 空室やテナントの入れ替わりが少ない物件を選ぶ

    空室やテナントの入れ替わりが少ない物件ほど収益率が高くなります。参考までに、平均空室期間の平均は4〜5ヶ月で、首都圏ほど空室期間が短く、郊外や地方ほど長期化する傾向です。入居者がいなければ、少なくとも4ヶ月は家賃収入が減ることになります。空室の間は収入が減る一方で、退去時のクリーニングや修繕費、広告費などの支出が増えるでしょう。そのため、物件は空室率が低く、限りなく満室に近い方が最大限の家賃収入が得られるのです。
    この時の注意点として、客付けを行う賃貸仲介会社に任せるだけでは、思うように空室が埋まらないケースもあります。物件オーナーの立場で考えると、満室にするためには次のような対策が求められます。

    ・収益性を考慮しつつ家賃の見直しを検討する
    ・敷金や礼金、更新料を0円にすることも視野に、金額の見直しを検討する
    ・壁紙や床の張替えを検討する
    ・少額リフォーム(Wi-Fiアンテナやセキュリティ対策など)を検討する
    ・入居者の対象を広げる(外国人や生活保護受給者、保証人がいない方など)
    ・客付けを行う賃貸仲介会社との関係性を良好にする

  • 物件エリアの需要に合った物件を選ぶ

    不動産投資で利益を出し続けるには、物件エリアの需要に合った物件を選ばなければいけません。エリアによってどのような物件に需要があるかは異なります。需要に合った物件をそのエリアに提供できてこそ、入居率、つまり利回りの数値を上げられるのです。なお、同程度の賃貸住宅を各エリアで比較した場合、利回りは表のようにエリアによる差がある点も覚えておきましょう。

    予想される期待利回り(表面利回り)

    エリア ワンルーム ファミリー向け
    札幌 5.0% 5.2%
    仙台 5.1% 5.2%
    さいたま 4.8% 4.8%
    横浜 4.5% 4.5%
    名古屋 4.7% 4.8%
    京都 4.8% 4.9%
    広島 5.2% 5.5%
    福岡 4.7% 4.8%
    また、物件そのものの構造だけでなく、物件の駐車場の数や周辺地域の治安の良さや生活していくうえでの利便性も大切といえます。例えば、大学や専門学校、オフィスビルが近いエリアは単身者向けのワンルームや1DK、幼稚園から小中学校、郊外のエリアならばファミリー向けのマンションや戸建てが人気です。紙面やインターネットの情報に頼らず、検討している物件のエリアに出向き、周辺環境をチェックするようにしましょう。

  • 充実した設備の物件を選ぶ

    物件を入居者の目線で考えると、充実した設備の物件は魅力的です。そのため、設備が充実した物件を優先するといった、物件の付加価値を高めるような取り組みも検討したいところです。競合物件がいくつもあるエリアの物件の場合には、近隣物件との差別化は常に意識するようにしましょう。なお、充実という点については、以下のような設備が一例となります。設備投資には費用も伴うため、赤字が広がらないよう慎重に進めることがポイントです。

    ・インターネット回線無料
    ・無料Wi-Fiあり
    ・宅配ボックス
    ・テレビモニター付きインターホン
    ・エントランスのオートロック設備
    ・室内洗濯機置き場
    ・家具家電付き
    ・壁紙を選べる
    ・部屋のカスタマイズ可能
    ・ペット可
    ・フリーレント(入居後一定期間の家賃無料)あり

  • 物件購入後のフォロー体制も安心できる不動産会社から購入する

    管理の手間を考えれば、物件を購入した後は物件の管理や入居者対応、客付けを管理会社に任せるケースが大半でしょう。管理会社に毎月管理費を支払う以上、複数の管理会社を比較し物件に対しどのような範囲でサービスを行ってくれるか確かめ検討することが重要です。物件を紹介、販売してくれた会社にそのまま管理を任せるのは得策ではないかもしれません。しかし、複数の管理会社を同程度のサービスで比較した場合、管理費が安い方に任せれば長期的には多額のコストカットができます。
    数ある不動産管理会社の中には好ましくない管理会社が存在する一方、優良管理会社には共通点があるため、以下の5点を基準に安心できる管理会社を見極めましょう。

    ・担当者とのコミュニケーション、連絡がスムーズ
    ・管理物件の入居率80%以上を目安に、管理物件の実績と信頼がある
    ・社内での情報共有体制やトラブル時の対応など、管理体制が整っている
    ・定期的な報告や連絡を行ってくれる
    ・客付けを行う場合、各種広告媒体に掲載し積極的に営業に取り組んでいる

    不動産投資が賃貸収入次第である点を考えれば、どれほど良い物件であっても入居者を募集する手段や取り組みがなければ入居者は集まりません。適切な管理が行われなければ、資産価値を下げる一方です。家賃設定や物件自体の管理も必要ですが、管理会社の対応にも注意して選ぶことが重要となります。

不動産投資の利回りに関する注意点

  • 不動産投資の利回りに関する注意点
  • 高利回りの物件はつい魅力的に思えますが、利回りの数字だけで良しあし良し悪しを判断してはいけません。利回りとともに、投資先の物件を探す際の注意点も把握しておきましょう。

  • 表面利回りだけで不動産投資を判断しない

    公開されている投資用不動産広告を見るとわかるように、肝心の実質利回りはほとんどの物件で記載されていないため、表面利回りを指標にするしかありません。しかし、その物件の実質利回りと表面利回りの数値を比較すると、2つの数値は大きく離れているケースもあります。これが利回りの落とし穴といえるのです。事例を挙げると、劣化や修繕リスクの高い中古物件は購入金額が安めで表面利回りが高く見えますが、購入後のメンテナンスやリフォームに多額な費用が必要となる恐れがあります。つまり、この場合の実質利回りは、想定よりも低くなってしまうのです。
    そのため、表面利回りの数値で候補となる物件の目星をつけ、それぞれの物件の実質利回りを個別に試算するようにしましょう。なお、実質利回りの計算に経費(費用)を含めるのも忘れてはいけません。

  • 高利回りの物件は特に慎重に検討

    不動産広告で高利回りの物件が紹介されているのを見つけると、魅力的に思うでしょう。しかし、高利回りの物件は優良物件とは限りません。そのため、他の物件や相場よりも高い利回りの物件は、特に慎重に検討する必要があります。
    売主の立場で考えると、利回りの高い物件は安値で販売していることが多い傾向です。安値にする理由としては以下が挙げられます。

    ・設備上の不具合が多い
    ・近々大規模修繕を控えている
    ・空室状態が長く続いている
    ・修繕積立金など管理費の設定が低い
    ・何かしらの大きなリスクを抱えている

    この他、オーナーに急にまとまった資金が必要になった、もしくは節税対策で購入した物件が役割を終えたような問題ないケースも考えられるでしょう。物件の購入時点では利回りが高くとも、築年数が経過するほど入居ニーズは低下します。そうなると、入居者を集めるために家賃を値下げせざるを得なくなるため、長期的な運用計画では購入時の利回りが続くことを前提にしないようにしましょう。

  • 不動産投資を始めるにはセカンドオピニオンも検討

    不動産投資を始める際は、不動産投資会社やFP(ファイナンシャルプランナー)、税理士、実績のある不動産オーナーなどさまざまな専門家からアドバイスが得られます。不動産投資で成功するには、複数の専門家に相談できる環境を整えることが大切です。金融機関から借り入れるローンの金額を考えると、不動産投資は自己資産を大幅に超える資金による投資活動となります。そのため、売買契約は特に慎重に検討するようにしましょう。

不動産投資で成功するコツ

  • 不動産投資で成功するコツ
  • 不動産投資のゴールは運用してきた不動産物件を売却し、その物件で得られた収益が確定することです。最後に、不動産投資を成功させるために欠かせないコツや考え方を紹介します。

  • キャピタルゲインとインカムゲインの両方から出口戦略を見いだす

    不動産投資で儲かる仕組みは、家賃収入のキャピタルゲインと売却費によるインカムゲインで構成されると述べました。不動産投資は賃貸として貸し出し、継続的な家賃収入を得ることが中心となります。しかし、最終的にはその物件への投資を終了させる時が訪れます。最後は売却するのが一般的ですが、不動産投資はいかに損失を出さずに利益を確定するか、という「出口戦略」を物件の購入前から検討しておくことが重要です。大規模修繕が必要な時や、退去から次の入居者が決まるまでの空室期間が長く続く時、景気が回復し物件価格が上昇している時などは売却を検討するタイミングです。売却に焦ってしまうと、金額的に不利な条件で売却せざるを得ない状況も起こりえます。売却で失敗しないよう、計画的に情報収集に努めるようにしましょう。

  • 節税効果を重視するなら税理士に依頼

    不動産投資には以下に挙げるような税金が課せられる一方、節税対策も可能です。

    不動産投資に伴う税金
    ・不動産所得税
    ・所得税・住民税
    ・相続税
    ・贈与税
    ・固定資産税
    ・印紙税
    ・登録免許税
    ・都市計画税

    この中で所得税や住民税、相続税、贈与税、固定資産税は節税の対象となります。しかし、各種制度や手続きについて、一般の方が理解するのは容易ではありません。特に本業が忙しい方や投資規模の拡大を望む方、最大限節税効果を得たい方は、不動産経営や税金項目を得意とする税理士への依頼が安心です。

  • 不動産投資の勉強を行い知識を増やすことも大切

    不動産投資は、数ある投資の中でも難易度が高く、多額の資金を取引する投資です。そのため、不動産投資で成功するには独学で少しずつでも勉強する姿勢が大切です。不動産投資メディアや書籍、投資関連のセミナー、投資家ブログなどはいくつも存在するため、専門用語を理解するのはもちろん過去の失敗事例から不動産投資について学べるでしょう。
    この時、不動産投資とはなにかという理解からはじめ、投資物件の購入方法、具体的な経営方法や出口戦略などを段階的に身につけていくことをおすすめします。

まとめ

  • まとめ
  • 利回りという概念は、不動産投資以外にも多くの金融商品で登場するキーワードです。資産活用を行わない方であっても、仕組みを理解していればで手元の資金を有効活用できるでしょう。
    利回りのポイントとして、不動産投資広告などに掲載されている利回りの数値を、そのまま鵜呑みにしてはいけません。利回り以外にも物件需要や状態、ランニングコスト、将来性といった多面的な視点で検討する必要があります。また、投資期間が長期にわたる点を考えると、信頼できる不動産会社から購入することも重要です。今回の記事を参考にしつつ、自分自身でも投資に関する学びを深め、投資を行った際のシミュレーションを行いましょう。

FAQ

  • Qアイコン 表面利回りとは何ですか?

    実質利回りは「NOI利回り」「ネット利回り」「純利回り」などともいわれ、不動産経営にかかるさまざまな収支を考慮し、算定する利回りです。物件購入時の仲介手数料や不動産取得税を物件購入額に含め、購入後の経費や各種税金分の費用を家賃収入分から差し引きます。

  • Qアイコン 実質利回りとは何ですか?

    表面利回りは「グロス利回り」「年利回り」とも呼ばれ、投資用物件広告に掲載されている利回りの大半が表面利回りです。

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アレップス コンテンツ編集部

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