相続した土地を売却した際の税金や特別控除とは?国税庁HPを基に紹介

親などから土地や家屋を相続した時に相続税が課されますが、実は相続した土地などを売却する際にも税金が課されるのです。しかし、相続した土地を売却すると特別控除が適用され、節税対策になるケースがあります。
税制度については専門家への相談がおすすめですが、自分でもある程度把握しておくと手続きのハードルは下がるでしょう。
この記事ではこれから相続した土地を売却する予定がある方、または売却したが利用できる控除・特例はないかと考えている方に向け、「相続した土地を売却する際に課される税金と利用できる特別控除」について、国税庁のHPに掲載されている情報などに基づき解説します。

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相続した土地を売却した際にかかる税金とは

  • 相続した土地を売却した際にかかる税金とは
  • 親などから相続した土地を売却する際は、以下のような税金が発生します。まずは、それぞれの税金について、詳しく見てみましょう。

  • 登録免許税

    例えば、新築で住宅を購入する際、購入された住宅の所有権については購入者の名義を登記する必要があります。「登記」とは、「土地や建物について、その所在や面積などの権利関係を公示すること」です。登記手続きを行うことで、法的に当該の建物や土地について権利を主張できるようになります。登記申請は、当該不動産を管轄する法務局で行いますが、司法書士が代行する場合が多いようです。

    この登記手続きを行う際に、国に納める税金が「登録免許税」となります。土地か建物か、新築住宅か中古住宅かなどで税率が異なりますが、当該不動産が「土地」の場合は以下の通りです。

    内容 課税標準 税率
    売買 不動産の価額 2%
    No.7191 登録免許税の税額表|国税庁


    登録免許税は、税率と「固定資産税評価額」をかけることでその額が分かります。固定資産税評価額は、「固定資産税納税通知書」に記載されている価格です。

  • 印紙税

    個人、または法人が作成する文書について発生するのが「印紙税」です。課税文書の作成者が税額分の収入印紙を貼り付け、消印をすることで納税が完了します。課税文書とは、契約書や領収書といった書類のことです。課税文書は第1号から第20号まで20種類が存在しますが、多くの事業で利用される文書は第1号、第2号、および第17号文書となります。
    印紙税が発生する仕組みは、「課税文書作成者の担税力(税金を納められる能力)に期待値が発生するため」です。そのため、課税文書に記載される額が高額になればなるほど、それだけ大きな金額が動く取引・契約を行える信用があると見なされ、印紙税額も高額になっていきます。

    相続した土地の売買については、第1号文書が該当します。第1号文書は「不動産・鉱業権・無体財産権・船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書」などの種別を含んでおり、不動産売買や土地売買契約に関連する文書です。文書に記載された契約金に対する印紙税額は、以下の通りとなります。

    記載された契約金額 印紙税額
    1万円未満 非課税
    10万円以下 200円
    10万円を超え50万円以下 400円
    50万円を超え100万円以下 1,000円
    100万円を超え500万円以下 2,000円
    500万円を超え1,000万円以下 1万円
    1,000万円を超え5,000万円以下 2万円
    5,000万円を超え1億円以下 6万円
    1億円を超え5億円以下 10万円
    5億円を超え10億円以下 20万円
    10億円を超え50億円以下 40万円
    50億円を超えるもの 60万円
    契約金額の記載がないもの 200円

    No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

  • 譲渡所得税

    土地や建物などの資産を譲渡した際に発生する所得は「譲渡所得」と呼ばれます。この所得に対して課されるのが「譲渡所得税」です。譲渡所得税に関しては、譲渡所得の計算式と譲渡所得税額の計算式の双方を把握しておけば、どれくらいの税金を納めればよいのかが分かります。 まず、譲渡所得についての計算式は以下の通りです。

    『収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 課税譲渡所得金額』
    ※収入金額:土地や建物を売却したことで買い手から受け取る金銭
    ※取得費:売却した土地や建物の購入代金、建築代金や設備・改良費など
    ※譲渡費用:土地や建物を売るために直接かかった費用
    ※特別控除額については後述

    次に、譲渡所得税額の計算式を見てみましょう。
    計算式は不動産の所有期間によって異なります。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となるのです。所有期間は、不動産を売却した年の1月1日時点における所有期間が適用されます。

    『課税長期譲渡所得金額 × 15% = 税額』

    『課税短期譲渡所得金額 × 30% = 税額』

  • 住民税

    住民税も譲渡所得税と同じく、「土地や建物などの不動産を所有した期間」によって税額が変わります。また、所有期間については「売却した年の1月1日時点における所有期間」が適用される点も同様です。税率は、長期譲渡所得(5年を超える)の場合は5%、短期譲渡所得(5年以下)の場合は9%となります。

    『課税長期譲渡所得金額 × 9% = 住民税額』

    『課税短期譲渡所得金額 × 5% = 住民税額』

  • 復興特別所得税

    以上、4種類の税金と併せて、土地売却に際してはさらに納めなければならない税金があります。それが「復興特別所得税」です。復興特別所得税は、東日本大震災による被害復興を目的とした税制度で、平成23年12月2日に「特別措置法(平成23年法律第117号)」として公布されました。個人と法人それぞれに適用されるため、「復興特別所得税」と「復興特別法人税」の2種類が存在します。ここで解説するのは、個人の場合に適用される「復興特別所得税」についてのみです。

    納税義務者の対象は、「個人の方で所得税を納める義務のある方全員」となります。また、平成25年から令和19年まで、各年分の基準所得税額(給与所得者の場合は平成25年1月1日以降に支払いを受ける給与など)が課税対象です。
    税率は2.1%となり、短期譲渡所得と長期譲渡所得それぞれに加算されることになります。そのため、計算式としては以下の通りです。

    『(課税長期譲渡所得金額 × 15%)× 2.1% = 0.315%』

    『(課税短期譲渡所得金額 × 30%)× 2.1% = 0.63%』

    復興所得税は、土地を所有して5年以内の売却に際しては0.63%、5年を超える場合は0.315%が課されると覚えておきましょう。

相続した土地を売却する際に知っておきたいポイント

  • 相続した土地を売却する際に知っておきたいポイント
  • 続いて、相続した土地売却に際して知っておくと便利なポイントを4点紹介します。相続については、相続人が複数いる場合もあるため、一人ひとりがきちんと理解することが大切です。

  • 土地売却に際して課される税金は全相続人が支払う

    前項で解説した5種類の税金について、土地相続人が複数人存在する場合は、相続人全員で負担することになりますが、土地の名義は手続き上一時的に代表者の名義に変更されます。
    「登録免許税」と「印紙税」について、また「譲渡所得税」と「住民税」「復興特別所得税」については、納税方法が異なるため注意しましょう。
    「登録免許税」と「印紙税」については、代表となる方が立て替えた後に相続人全員で分割するのが一般的です。一方、「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」については、各相続人が確定申告を行い納税します。

    土地相続人が複数存在する場合は、税金の種別に応じて納税方法が異なること、および相続人全員に対して納税義務が発生することを確実に把握しておきましょう。

  • 土地売却により利益が発生したら確定申告を行う

    相続した土地を売却した際に利益(譲渡所得)が発生した場合は、確定申告を行います。

    『収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 譲渡所得金額』

    この計算式に基づき、譲渡所得金額が「プラスとなる場合は確定申告が必要」となり、「マイナスとなる場合は確定申告が不要」となるのです。
    原則、譲渡所得金額がマイナスであれば確定申告は不要ですが、ある条件を満たしている場合は、譲渡所得金額がマイナスであっても確定申告が必要です。その条件とは、「特例・控除を適用する場合」となります。特例や控除を適用する場合、必ず確定申告を行わなければなりません。仮に、上記の計算式から算出された譲渡所得金額がマイナスであっても、何らかの特例・控除を適用した結果としてマイナスになった場合は、確定申告が必要なのです。このケースで確定申告を行わないと、脱税行為に該当してしまいます。

    なお、確定申告を行う期間は、土地を売却した翌年の2月16日~3月15日(年度により変更される可能性あり)です。確定申告の詳細や申告書などの作成方法については、下記公式HPも併せてご覧ください。
    所得税の確定申告|国税庁
    【確定申告書作成コーナー】‐作成コーナートップ

  • 譲渡所得と税率について

    「譲渡所得税」の項目でも触れましたが、ここで「譲渡所得と税率」について詳しく解説します。譲渡所得を算出する計算式について、改めて見てみましょう。

    『収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 譲渡所得金額』

    収入金額
    不動産売買契約書に記載されている売買代金を指します。買い手から支払われる未経過固定資産税および都市計画税の精算金がある場合は、それらも加算したものが収入金額です。

    未経過固定資産税
    土地や建物などの不動産を売買した譲渡日から、年末(または年度末)までの固定資産税相当分を指します。不動産売買においては、買い手側が自身の負担分を精算金という形で支払います。なお、「未経過固定資産税」という名称ではあるが、不動産売買における「商習慣」であり、税法として規定されている税金ではありません。

    都市計画税
    都市計画事業や土地区画整理事業を行う市町村が、都市計画区域内にある土地や家屋に対して、その事業に必要となる費用に充てるために課する税金です。令和4年4月1日時点では、都市計画税を課税されている団体は全国で644団体(全国市町村の約3分の1)となっています。市街化区域内に土地や家屋を所有している個人または法人に納税義務があります。
    総務省|地方税制度|都市計画税

    取得費
    親がその土地を購入した際の購入代金、購入手数料、相続人が支払った登記費用および登録免許税などを加算した額です。

    譲渡費用
    仲介手数料や測量費など、不動産を売却する際に必要となった各種費用を指しますが、修理費や管理維持費などは該当しません。

    収入金額から、特別控除額を含む上記各種費用を差し引くことで譲渡所得金額が算出されます。

    税率については、土地を売却する年の1月1日時点における所有期間が5年以下か、5年を超えるかで変動することも解説しましたが、改めて確認しておきましょう。
    所得種別 不動産所有期間 所得税率 所得税率
    短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
    長期譲渡所得 5年超 15% 5%

    譲渡所得に各種税率をかけることで、税金額が判明します。
    なお、相続した土地の所有期間については、「相続してから起算」ではなく「親の所有していた期間を含む」という部分がポイントです。そのため、土地を相続してから5年以内に売却したとしても、親が所有していた期間を含めた所有期間が5年を超える場合は、「長期譲渡所得における税率」が適用されることになります。

  • 取得費が不明の場合について

    親が土地を購入した際の金額など、取得費の情報が残っておらず、不明であるケースは少なくないようです。このような場合は、「概算取得費」と呼ばれるものを使用して計算を行います。概算取得費は、「譲渡価額(収入金額)の5%」です。取得費が不明である場合は、収入金額に5%をかけた数字を計算式に当てはめ、譲渡所得金額を算出しましょう。
    なお、一般的に「長期譲渡所得かつ取得費が不明」である土地を相続した場合、かかる税金は売却代金の2割弱程度になる傾向です。

節税対策になる?相続した土地を売却した際に利用できる特別控除とは

  • 節税対策になる?相続した土地を売却した際に利用できる特別控除とは
  • 相続した土地をこれから売却したい、またはすでに売却したという方にとって、節税につながる特別控除制度は重要です。土地相続から3年以内であれば、2種類の節税制度が活用できます。

  • 取得費加算の特例

    「相続または遺贈により取得した土地・建物・株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる」制度を「取得費加算の特例」と呼びます。これは、土地などを相続した方が相続税を納税しており、相続のあった日の翌日から起算して、相続税の申告期限翌日以降3年以内に不動産を売却している場合に限り適用される特例です。

    相続税の申告期限翌日以降3年以内とは
    「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」が相続税の申告期限です。そのため、取得費加算の特例については、「相続開始のあった日の翌日から3年10カ月以内」と呼ぶケースもあります。

    取得費加算の特例を適用する場合の計算式は、以下の通りです。

    『収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 取得費に加算する相続税額 = 譲渡所得金額』

    また、「取得費に加算する相続税額」を算出する場合は以下の計算式で算出できます。

    『その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額/((その者の取得財産の価額)+(その者の相続時精算課税適用財産の価額)+(その者の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額))=取得費に加算する相続税額』

    注意点として挙げられるのは、本特例を利用できる方の条件に明示されている「その財産を取得した人に相続税が課税されていること」です。令和3年時点では、相続税の課税対象者は9.3%となっており、100人中9人程度しか対象ではありません。そのため、本特例が利用できる方は多くない、という点は把握しておくべきでしょう。
    「取得費加算の特例」について、詳細は国税庁HPも併せてご覧ください。
    No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

  • 3,000万円特別控除

    親から相続した空き家を取り壊して土地を売却する場合、要件を満たしていれば「3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産にかかる譲渡所得の特別控除の特例)」の対象です。その名の通り、記事内で何度か挙げている計算式において、3,000万円を差し引けるため、大きな節税効果が期待できます。要件に当てはまる場合は、令和5年12月31日までに売却すると控除を受けることが可能です。

    本特例において対象となる土地(被相続人居住用家屋の敷地など)は、相続開始の直前に被相続人が住んでいた建物の土地、またはその土地の上にある権利を指します。そのため、被相続人が住んでいた建物についても以下の要件を満たす必要があります。

    ・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
    ・区分所有建物登記がされている建物でないこと(分譲マンションなど)
    ・相続の開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

    本特例を受けるための要件は、省略して記載すると以下の通りです。

    ・売った人が相続または遺贈により、被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地などを取得したこと
    ・次のイまたはロの売却したこと
    イ:相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともにその敷地などを売ること
    ロ:相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取り壊しなどをした後に、被相続人居住用家屋の敷地などを売ること
    ・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
    ・売却代金が1億円以下であること

    より詳細な要件および手続き方法などについては、以下、国税庁公式HPも併せてご参照ください。
    No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

特別控除以外に活用できる節税対策について

  • 特別控除以外に活用できる節税対策について
  • 前項では、「土地の相続から3年以内」という条件付きの節税対策を紹介しましたが、この条件から漏れてしまっている方もいるでしょう。そういった方でも利用できる可能性がある節税対策について、5点紹介します。

  • 1,000万円特別控除(平成21年および平成22年に取得した土地について)

    仮に、親が平成21年または平成22年に土地を購入していた場合、それぞれ平成27年以降、平成28年以降に売却することで1,000万円の控除を受けられます。本特別控除を受けるための要件は以下の通りです。

    ・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間に土地などを取得していること
    ・平成21年に取得した土地などは平成27年以降に譲渡、平成22年に取得した土地などは平成28年以降に譲渡すること
    ・親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地などではないこと
    特別な間柄とは、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含む
    ・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済および所有権移転外リース取引により取得した土地などではないこと
    ・譲渡した土地などについて、収用などの場合における特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税繰り延べなど、他の譲渡所得の特例適用を受けないこと

    手続き方法や申請書類など、詳細な情報については以下、国税庁HPも併せてご覧ください。
    No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除|国税庁

  • 低未利用土地などの100万円特別控除

    令和2年7月1日から令和4年12月31日までの期間において、都市計画区域内にある一定の低未利用土地などを500万円以下で売却した方のうち、要件を満たしている場合は100万円の控除を受けられます。なお、低未利用土地とは居住用や事業用、その他の用途に利用されていないまたは利用の程度が周辺地域と比較して著しく劣っている土地や、その土地の上にある権利を指します。
    本特例を受けるための要件は、以下の通りです。

    ・売却した土地が都市計画区域内にある低未利用土地などであること
    ・売却した年の1月1において、所有期間が5年を超えること
    ・売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係でないこと
    ・売却金額が、低未利用土地などの上にある建物などの対価を含めて500万円以下であること
    ・売却後に、該当の低未利用土地などの利用がされること
    ・本特例を受けようとする低未利用土地などと一筆(土地登記簿上の一区画)であった土地から前年、または前々年に分筆(一筆の土地を分割して数筆の土地とすること)された土地、またはその土地の上にある権利について、前年または前々年にこの特例の適用を受けていないこと
    ・売却した土地などについて、収用などの場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税繰り延べなど、他の譲渡所得の課税特例適用を受けないこと

    「令和2年7月1日から令和4年12月31日までの期間に売却した土地」という条件はあるものの、500万円以下の土地という要件があるため、多くの方が利用できる可能性の高い特例です。
    No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除|国税庁

  • ふるさと納税

    任意の自治体へ寄付を行うことで、寄付金額から2,000円を差し引いた額の住民税控除および所得税還付を受けられる(いずれも翌年)「ふるさと納税」も、節税対策として有効です。単に節税対策となるたけではなく、生まれ故郷や思い入れのある地域など、個人的に応援したいと思える自治体に対して寄付を行えるという精神的満足感や返礼品をもらえるというメリットもあるため、余裕のある方は積極的に利用してみてほしい制度といえます。なお、ふるさと納税には「控除上限額」が設定されている点に注意が必要です。控除上限額は以下の計算式で求められます。

    『負担金2,000円+(個人住民税所得割額×20%)/(100%-住民税基本分10%-(所得税率×復興税率1.021))=控除上限額』


    ふるさと納税の詳細については、以下、総務省公式HPも併せてご覧ください。
    総務省|ふるさと納税ポータルサイト

  • 取得費関連資料の準備

    親が土地を購入した時の資料といった取得費を明示できるものがないと、取得費不明のまま譲渡所得金額を算出しなければなりません。もちろん、先述したように取得費が不明でも算出は可能ですが、本来の課税額よりも高い額の税金が課される恐れがあるため、できる限り取得費が分かる資料を準備しておくことをおすすめします。

    以下に、取得費が分かる資料と、取得費として加算できる費用をそれぞれ次の通りです。

    取得費が分かる資料(資料として有効かどうか税務署に確認しに行く工程が必要)
    ・購入当時の不動産業者などからもらう売買契約書の写し
    ・通帳の出金履歴
    ・住宅ローンの金銭消費賃貸借契約書
    ・抵当権設定額
    ・市街地価格指数から算定可能な土地の取得費(一般財団法人日本不動産研究所公表)

    取得費として加算できる費用
    ・相続における不動産登記費用
    ・取得時の仲介手数料
    ・取得時の売買契約書に貼り付けた印紙代
    ・取得時の登録免許税
    ・取得時に司法書士へ支払った手数料
    ・取得時の不動産取得税
    ・取得時に支払った立退料および移転料
    ・取得に際する測量費用
    ・取得に際する建物の取り壊し費用
    ・購入時の整地、埋め立て、地盛り費用および下水道、擁壁の設置費用

  • 譲渡費用の計上

    以下に記載する各種譲渡費用についても、できる限り全てを計上することで節税につながります。なお、譲渡費用として計上可能かどうかを最終的に判断するのは税務署になる、という点には注意が必要です。

    譲渡費用として計上可能な費用
    ・売却時の仲介手数料
    ・売買契約書の印紙代
    ・売却に際して掲載した広告料
    ・売却に際して必要となった測量費用
    ・売却時に際して必要となった鑑定料
    ・売却に際して借家人に支払った立退料
    ・買い手の登記費用(負担した場合)
    ・建物の取得費と取り壊し費用(土地売却に際して建物を取り壊した場合)
    ・売買契約解除の違約金(既存の売買契約より好条件の契約を締結した場合)
    ・建物の補修費用
    ・買い手との交渉に際して必要となった交通費および通信費など
    ・借地権を売却する際に地主の承諾を得るために支払った名義書き換え料など

    譲渡費用として認められない費用
    ・抵当権抹消費用
    ・遺産分割において必要となった支出
    ・移転先家屋の購入費、修繕費、移転費など
    ・譲渡資産の維持管理費など
    ・引越し費用

相続した土地を売却する際の流れについて

  • 相続した土地を売却する際の流れについて
  • 最後に、相続した土地を売却する際の流れを紹介します。また、有効な遺言書がある場合の対応や法定手続きについても併せて見てみましょう。

  • 1.遺産分割協議

    相続人が複数存在する場合は、全相続人で「遺産分割協議」を行います。この話し合いでまとめられた内容は、「遺産分割協議書」という証拠文書として残る重要な文書です。遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印による押印が必要となるため、遠方にいる相続人や交流の少ない相続人がいる場合は協議自体が難しいかもしれません。自力では困難だと感じた場合は、専門家である司法書士などに依頼するとよいでしょう。

  • 2.相続登記

    土地の相続においては、公的な手続きを経る必要があります。それが「相続登記」です。簡単に述べると、「土地の名義を親から自分へ変更する手続き」となります。手続きに際しては、必要書類を準備のうえ、「相続する土地を管轄する法務局」に申請を行いましょう。相続人の居住地を管轄する法務局ではない、という点に注意が必要です。
    遺産分割協議や相続登記については、以下、法務局のHPなども併せてご覧ください。
    不動産の所有者が亡くなった:法務局
    【更新版】相続登記チェックシート(遺産分割協議)

  • 3.土地売却

    相続登記を終えたら、不動産業者に査定依頼を行います。机上査定および実地査定のうえ、最も条件の良い不動産業者と媒介契約(不動産の売買を不動産業者に仲介してもらう契約)を結びましょう。土地を購入したいという方が現れた場合に交渉をし、売買契約の締結、そして代金決済と土地の引き渡しまで行ったら土地売却完了です。

    なお、不動産業者に査定依頼を行う場合は、当社でもご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

  • 4.現金分割

    相続人が複数の場合、土地売却で得た現金を相続人間で分割します。分割金額は、遺産分割協議で決定した通りの金額です。

  • 有効な遺言がある場合について

    故人が「有効な遺言」を遺している場合は、原則として遺言書通りの相続・遺産分割を行います。しかし、「遺留分」の主張や、「相続人全員の同意がある場合の遺産分割」などの手法も存在するため、法的に有効な遺言があるからといって相続人同士でトラブルにならないとは限りません。専門家を入れて相談することも視野に入れておくとよいでしょう。

  • 法定相続について

    相続した土地を売却するにあたっては、「法定相続」手続きを経て売却に至るケースもあります。法定相続では、「相続人の範囲」と「法定相続分」が簡潔に定められており、遺産分割協議が不要という点では分かりやすい相続方法といえるでしょう。しかし、法定相続では遺産を「共有」する形になるため、相続した土地を売却すると権利関係が複雑になるといったデメリットが発生します。トラブルに発展しやすいことから、相続人が複数存在する場合において、法定相続を選ぶケースはあまり一般的ではないようです。
    法定相続については、こちらのHPも併せてご覧ください。
    No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

まとめ

  • まとめ
  • 親から相続した土地を売却する場合、合わせて5種類の税金が発生しますが、それぞれの性質や税率、計算式を把握しておくことでどれくらいの費用が必要になるのかあらかじめ分かります。また、各種控除・特例なども適用できる可能性があり、これらの制度は節税効果が期待できるため、活用してみることもおすすめです。
    不明点は司法書士や不動産業者などの専門家へ依頼することも検討しつつ、知識を備えてスムーズに手続きを進めましょう。

FAQ

  • Qアイコン 登録免許税とは何ですか?

    登録免許税は、税率と「固定資産税評価額」をかけることでその額が分かります。固定資産税評価額は、「固定資産税納税通知書」に記載されている価格です。

  • Qアイコン 譲渡所得税とは何ですか?

    土地や建物などの資産を譲渡した際に発生する所得は「譲渡所得」と呼ばれます。この所得に対して課されるのが「譲渡所得税」です。譲渡所得税に関しては、譲渡所得の計算式と譲渡所得税額の計算式の双方を把握しておけば、どれくらいの税金を納めればよいのかが分かります。

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    この記事では、公務員がアパート経営可能な理由、副業禁止の理由、一定規模を超える際の申請手順、申請が許可されやすいケース、公務員がアパート経営をするメリット、注意点についてご紹介します。 しかし、所有している土地でアパート経営を始めるには、いくつかのリスクがあることも覚えておきましょう。それぞれのリスク回避のために適切な対策を行って、効率的な土地活用を行いましょう。 この記事では、土地有りでアパート経営を行うメリット・デメリットについて、そして経営を進める時の流れや必要な資金などについて解説します。

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「タウンのかんり」が選ばれる理由

創業44年、管理戸数50,167件(※2023年1月現在)。

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