サブリース契約の物件売却は難しい?物件売却を成功させるための方法を解説!
メディアでも度々報じられる「サブリース契約」は、家賃保証とセットでイメージされる方も少なくないでしょう。不動産投資における物件の管理方法の1つであるサブリース契約ですが、家賃保証という魅力的な特長だけでなく、オーナーからの契約解除、物件売却のハードルが高いという課題も存在する契約であるのも事実です。しかしながら、サブリース契約特有の課題に向けた対策を備えておけば、サブリース契約を活用した不動産投資でも充分な恩恵を受けられるでしょう。今回はサブリース契約を利用した物件のメリットやデメリット、売却を成功させるための方法を中心に解説します。
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サブリース契約とは、具体的にどのような特徴を持つ物件の管理方法なのでしょうか。まずは基本的なサブリース契約の仕組みや特徴、他の管理方法との違いを紹介します。
サブリース契約とは?
サブリース契約を利用した物件の管理方法は、次の2つの賃貸借契約で構成されています。
マスターリース契約 物件の大家とサブリース業者の賃貸借契約 サブリース契約 サブリース業者と借主(入居者)の賃貸借契約 物件のオーナーとサブリース業者の間で賃貸借契約を交わし、サブリース業者が大家に代わって借主と賃貸借契約を交わします。そのため、物件の管理や入居者の賃貸借契約や対応はサブリース業者が行う方法です。また、サブリース契約はさらに「家賃保証型」と「パススルー型」の2つのタイプに分かれます。家賃保証型はサブリース契約にイメージされる「賃料保証」があるタイプで、入居状況によらず一定の保証された賃料が受け取れるタイプです。パススルー型は賃料保証がないため空室対策を必要としますが、入居率が増加するとオーナーの収益も増加します。通常の管理委託は物件のオーナーが管理を外注していますが、パススルー型ではオーナーから物件を貸し出されたサブリース業者が管理を外注するタイプです。収益性が管理委託と変わらないのに、オーナーが借主との賃貸借契約の手間を省けるメリットがあるため、多くの不動産オーナーに支持されている管理方法となります。
物件の管理方法は大きく3種類
物件の管理方法は、大きく以下の3種類に分かれます。以下に、主な特徴や違いをまとめてみました。
特徴 自己管理 ・物件のオーナーが借主に物件を直接貸し出す方法。
・賃貸経営の原点であり、物件のオーナーが家賃回収から物件の修繕、保守などすべての管理業務を行う。
・他の管理方法のように管理手数料を支払う必要はないが、資産価値を落とすスピードを速めないための不動産管理に対するノウハウが求められる。委託管理 ・オーナーは借主に物件を直接貸し出すが、間に不動産管理会社が介入し、管理会社による物件設備や入居者向けの対応などの管理業務を一部、もしくはすべてを委託する方法。
・家賃の5%程度の管理手数料が発生する。
・管理会社によって質や対象とする管理内容、設定される手数料もさまざまなため、慎重な比較検討も必要。サブリース ・オーナーはサブリース業者に物件を貸し出し、管理会社が借主に転貸するのを前提とした方法。
オーナーから見た借主は「転借人」と呼ばれる。
・特有の賃料保証があり(家賃保証型の場合)、空室状況によらず安定した収益が得られる。
ただし保証額は見直しが行われ、多くは徐々に保証額が減少する。-
サブリース契約には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。以下に紹介するものが中心となりますが、条件によっては必ずしも当てはまるとは限らないのでご注意ください。
サブリース契約のメリット
サブリース契約における魅力、つまりサブリース契約には次のようなメリットが得られる可能性があります。
・入居者募集から家賃の集金、契約、入退去、修繕まで管理業務をすべて任せられる
・空室や家賃滞納リスクなく、継続的に安定した賃料保証が得られる
・物件の入居率が高いほど、相続税計算における評価額を下げられる
・入居者募集や入退去時の広告費や原状回復費を業者側に一部負担してもらえる(一部の事案に限る)
委託管理を選択した場合、入居希望者がいればオーナーが賃貸借契約に関わる対応が必要です。しかしサブリース契約の場合、物件の修繕と共にリフォーム業者の選定などもすべてサブリース業者に任せられます。不動産投資につきものである空室対策や賃料不払いといった懸念も必要なく一定の賃料が得られるため、オーナー自身の負担を精神的、肉体的双方から軽減できるメリットが期待できるのです。サブリース契約のデメリット
メリットの一方、サブリース契約には、次のようなデメリットが潜むのを理解したうえで契約する必要があります。
・物件の利回り(投資効率)は、需要が高い物件ほど収益が減少しやすい
・契約当初の賃料の保証額は、一定期間ごとに見直しが行われる(多くは引き下げ)
・一定期間賃料が入らない「免責期間」が設定される(設定内容は案件ごとに異なる)
・空室を減らすために入居審査が緩くなりやすく、借主の質低下が懸念される
サブリース契約の場合、入居者が決まってもオーナーに確認はなく、所有する物件にどのような入居者がいるか把握しにくくなります。サブリース業者としても自社の利益を上げるため、空室をなるべく減らすために入居審査を緩くするためです。質の悪い入居者の割合が多いほど、物件でのトラブルが発生しやすく、設備自体の老朽化や修繕リスクも高まってしまうでしょう。修繕が必要となればサブリース業者と紐づいたリフォーム業者が工事を請け負いますが、この業者が設定する費用は相場よりも高額である場合もあり、物件の収益性を下げ、オーナーの収支状況を悪化させる懸念があるのも事実です。-
サブリース契約の物件が難しいとされるのは、具体的にどのような理由に基づくのでしょうか。ここでは契約を解除するメリットに続き、契約解除を阻む具体的な課題を解説していきます。
サブリース契約を解約するメリット・デメリット
サブリース契約を行った物件の売却が難しいとされる理由は、解約条件の厳しさにあります。より高値で売却するには、サブリース契約の解除が前提となるでしょう。サブリース契約の解除により、以下のようなメリット・デメリットが生じます。
サブリース契約を解約するメリット
・利回りを改善し、収益を上げやすくなる
・物件を売却しやすくなる
・不動産管理会社の見直しができる
サブリース契約を解約するデメリット
・改めて物件の管理方法を決める必要がある
・家賃保証がなくなる
不動産投資においては、投資過程で得た収益を如何に減らさず手放せるか(売却できるか)という出口戦略が重要です。サブリース契約を解除した場合、今後どのような管理方法にするか決める必要があります。サブリース契約には業者に物件の修繕を任せるという性質上、相場よりも高額な費用を請求する悪質なリフォーム業者がタッグになっているケースも少なくありません。委託管理が一般的となりますが、管理会社と共に信頼できる物件のリフォーム業者も選んでいきましょう。課題1.借地借家法が適用される
サブリース契約自体は借地借家法が適用され、物件の本来のオーナーよりも業者側が優遇される契約の下で行われる管理方法となります。そして、この借地借家法では業者が定期的に保証賃料を見直す行為を合法とする判例も出ているのです。保証賃料の見直しを求められた場合、額を変更するにはオーナーからの合意が必要となります。しかし業者からの求めを断った場合、最終的にオーナーは消費者として保護の対象ではないため、減額を拒否できない現状があるのです。そのため、減額する額をできるだけ小さくするよう交渉したり、契約を解約される主張も覚悟のうえで従前の条件での継続を求めたりするのがオーナーが取れる現実的な対抗策となります。
保証賃料の減額に関して、サブリース契約ではこれまでトラブルが続出してきました。このような状況で、2020年12月15日に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を機に、サブリース契約を取り巻く環境にようやく変化が見られます。サブリース新法ともいわれるこの法律では、サブリース契約の勧誘で保証賃料の減額、契約期間中の解除を明示しないことを禁止する内容を含みます。しかし、制定前から続くサブリース契約は今も根強いのも現状で、サブリース業者自体がオーナーより優位な立場であることに変わりはありません。なお、借地借家法が適用されるサブリース契約における物件オーナーとサブリース業者の関係性、課題は「サブリース業者とのサブリース契約に借地借家法は適用される?」で詳細を解説しています。本記事と合わせてこちらも参考にしてください。課題2.オーナーからの解約が容易ではない
サブリース契約が解除しにくいとされる理由は、オーナー主導での解除が容易ではない性質の契約に基づくためです。サブリース契約を解除するには、業者から解除の理由が「正当事由」として認められなければいけません。
正当事由として認められるケース
・オーナー自身、親族が物件に居住(使用)する
・サブリース物件のローン返済が困難なため、物件の売却が必要である
・物件が行政側の再開発事業対象となり、売却しなければいけない状況である
・老朽化のために物件を取り壊す必要がある
・業者側の損失を補填する形でオーナーが立ち退き料を支払う
業者によって、実際にサブリース業者が設定する正当事由は異なります。しかし、解除には上記のような正当事由が必要となる一方で「管理方法を見直し収益性を改善したい」「オーナー自身が居住する物件リフォーム費用づくり」というような理由では正当事由として認められません。そのため、もしもの時にスムーズに解除するのは容易ではないことを理解したうえで、契約を結ぶのが必須となります。課題3.契約に「中途解約条項」がない場合も
サブリース契約の解除は、契約書に中途解約条項があり、「6ヶ月前の解約予告」というような記載があれば中途解約は可能な契約です。先ほどの解除が容易ではないという課題に続き、サブリース契約では、通常の賃貸契約や委託管理のような契約の「中途解除」の条項があるとは限らないのも理解しておかなければいけません。不動産投資を行う際は、契約前に業者側から物件を運用した場合の収益予測や事業計画に関する説明を受けます。複雑な専門用語が飛び交うために戸惑うこともあるかもしれませんが、もしもの時に備え契約途中の解約に関しては特に慎重に確認しておきましょう。
サブリース契約に潜むその他の課題
上記のデメリット以外にも、サブリース契約にはさまざまな課題が潜んでいます。サブリース契約に存在する主な課題は以下の通りです。
・勧誘関係(誇大広告、過度な勧誘行為)
・保証賃料関係(業者側からの一方的な家賃の減額請求リスク)
・家賃入金関係(業者の経営状況が悪化した場合、家賃入金が行われない恐れがある)
・免責期間(新築や入居者の退去時など、一定期間家賃保証がない期間が設定される)
・解約関係(解約条件が厳しく、解約理由が正当事由として認められにくい)
・中途解約関係(業者側から一方的に契約解除を通知されるリスク)
・出費関係(原則、大規模修繕工事や退去後の原状回復費用はオーナー負担)
・業者の経営破綻(業者が倒産すると、不払い分の入金はほぼ困難)
・借主(入居者)の質が良いとは限らない
このような課題があるのも事実ですが、必ずしもサブリース契約が悪い契約とはいえません。サブリース契約のノウハウを有する専門家に相談できる体制を整えておけば、運用を続けながら安定した収益を享受できるでしょう。-
ここでは、サブリース物件を売却する手順について解説します。物件の売却は通常よりも難航する見通しとなるため、物件の収支状況が赤字の場合、売却の決断はできる限り速やかに行うのが無難です。
物件のサブリース契約を「解約」「維持」どちらにするか選択する
物件の売却に向けて動き出す場合、まずはサブリース契約を「解除」「維持」どちらで売却を進めるかの選択が必要です。より高値で売却するには契約解除がほぼ必須となりますが、解除条件は厳しく、最終的に維持したまま売却を行うことになるケースが少なくありません。サブリース契約が付いた物件は投資家からも敬遠されやすく、同等レベルの賃貸物件の査定価格より低くなるのが一般的です。しかし、解除したうえで売却できる可能性とはいいきれません。そのため、今回は解除したうえでの売却手順を解説していきます。
サブリース契約書の内容を確認する
サブリース契約は、案件ごとに契約書の内容が異なる性質を持つため、まずは契約書の内容について以下の事項を重点的に精読します。
・中途解約事項
・契約期間
・維持管理や修繕費用の負担区部
・サブリース業者側が、契約違反した場合の解約に関する事項
契約解除を実現するには、業者側にオーナーの解除理由を正当事由として認められる必要があります。契約書のどの条項に基づく解約通知であるか示さなければいけないため、契約書の内容を隅々まで理解するところから始めていきましょう。サブリースを解除した場合のリスク、対応を把握する
サブリース契約を解除した場合、物件を管理する存在が不在となるほか、解除に伴うリスクや対応も把握しておく必要があります。解除に伴う具体的なリスクや対応が必要になることは以下の通りです。
リスク
・違約金を支払う資金を確保できるか
・家賃保証が消滅するため、受け取れる家賃収入が下がるリスクがある
必要な対応
・今後の物件管理方法の決定、委託管理の場合新しい不動産管理会社との契約が必要
・サブリース業者が不在となるため、現在の入居者との新たな賃貸借契約締結が必要
・空室があれば再度、仲介会社の検討など入居者募集を実施
契約解除を実行するには、契約解除に伴う費用を用意できる資金があるかという点です。
新たな管理会社を探す場合、物件管理を任せてきたサブリース業者に対する不信感からオーナー自身で物件を管理しようとするかもしれません。しかし、これまでの物件管理がずさんであった場合は解除後に多額の修繕、メンテナンス費用が必要となるケースも想定されます。正しいノウハウをもって物件を管理していくためにも、不動産管理会社による委託管理を選択するのが無難です。契約解除通知書を準備する
解除に向けた準備が整えば、いよいよサブリース業者に契約解除を通知する契約解除通知書を準備していきます。解除通知の方法は書面が原則で、口頭では受け付けていない場合や、「言った言わない」という話になりかねないためです。また、作成した書面は相手が受け取った証拠が残る内容証明郵便で送るのがベストです。
契約解除通知書では「サブリース契約書の第何条に基づく解約通知か」「解除希望日(いつの日付をもって解約するか)」の2点がポイントです。契約解除通知書には法的に定められたひな形はありませんが、インターネット上に参考になるひな形が公開されているのでこちらを参考に作成してください。サブリース業者に契約解除を申し出る
サブリース業者に契約解除を申し出たところで、業者側の反応(主張)は次の3パターンが想定されます。
・正当事由として認める
・正当事由として認められない
・立退料や違約金を支払えば、契約解除を認める
解除してからの売却を希望しても「解除理由が正当事由に該当しない」「違約金を準備できない」という場合は解除できません。解除できるかのポイントは、「正当事由」として認められるか否かです。立退料や違約金に関しては、オーナー側の主張を正当事由として容認するための補完的な意味合いがあります。この場合の金額は業者によってさまざまです。資金繰りが悪化しすぎてからでは、解除したくてもすぐに金策できない恐れもあります。解除も視野にある場合、手続きを先延ばしにせずできる限り早期に決断するのも解除をスムーズに進めるうえで重要です。売主であるオーナーとサブリース業者、見つかった買主の3者でサブリース契約の承継内容に関する合意書を作成し、不動産会社の仲介を通じ売買契約を締結する流れとなるのを覚えておいてください。また、物件の売却を依頼する不動産仲介業者では、物件売買に関する事柄だけでなくサブリース契約の解除に関してもアドバイスをしてくれるかもしれません。サブリース業者側の主張だけで安易に判断せず、味方になってくれる専門家と共に解除手続きを進めていきましょう。複数の不動産会社に査定を依頼する
ここからは、通常の不動産売買手続きと同じように売却手続きを進めます。より高値で売却するためにも、複数の不動産会社に物件を査定してもらい、予想売却価格(どの程度の価格で売却できるか)調べていきます。また、同時にその物件のローンの借り入れ先であった金融機関から残債証明書を手に入れ、ローン残高を確認してください。予想売却価格よりローン残高が少なければ、通常の不動産売却、ローン残高のほうが大きいならば任意売却手続きとなります。任意売却手続きは手続きが複雑なため、弁護士や任意売却の依頼先である不動産会社に相談しながら進めていきましょう。
売買契約の締結・引き渡しと決済
売却を依頼する不動産会社が決まったら、オーナーと不動産会社の間で媒介契約を結びます。媒介契約には売却成立時の不動産会社側の報酬額、具体的な売却活動の方針を決める狙いの契約です。売買契約を締結した後は不動産会社が主体となり、売却活動を進めます。物件購入希望者が現れた場合、物件の内覧を行うでしょう。内覧は不動産会社に一任せず、できるかぎり売主であるオーナーも立ち会うのが通例です。買主が決まったら、不動産会社が「物件の最終調査」「買主側の住宅ローン事前審査」を行い正式に不動産売買契約を締結します。契約の際は売主、売主側の不動産会社、買主、買主側の不動産会社の4者が集まり売買契約を行います。売主側の不動産会社で行うのが一般的ですが、売主と買主の都合が合わない場合、「持ち回り契約」という方法で手付金の支払い等の重要事項を決め、署名捺印は別日に行うといった形で進めることも可能です。
決済前までに不動産の権利証を用意し、紛失している場合は司法書士に依頼し「本人確認情報」を作成してもらってください。また、抵当権を抹消するために金融機関に抵当権抹消書類を作成してもらい、抵当権を解除しておきましょう。無事に決済が完了したら、同日のうちに物件現地へ赴き、物件の引き渡しを行います。決済と引き渡しが完了したら、不動産売却は区切りとなります。売却後の手続き
売主となったオーナーは、売却後の手続きとして確定申告を行う必要があります。確定申告によって売却益にかかる税金を減らせます。売却を通じ損失が出てしまった場合も、確定申告によって損失を減らせることも可能です。売却時期によって確定申告(翌年2月16日から3月15日まで)までの日が空いてしまうかもしれませんが、売却手続きの締め作業としても忘れずに行ってください。
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サブリース契約には運用過程のさまざまな手間を省けるメリットの反面、売却時にはさまざまな要因で不利な状況にならざるを得ません。ここでは物件売却時の主な注意点を解説します。
サブリース契約は新しい買主に受け継がれる
ここまでも述べてきたように、サブリース契約の物件は、サブリース契約を維持したままでも売却は可能です。本来は契約解除を希望した場合でも、解除条件の厳しさから契約を維持したままでの売却となってしまうこともあるでしょう。物件に付いているサブリース契約は、売却後の新しい買主にも受け継がれます。物件の取引自体は不動産会社が主導するものと思われますが、後から新旧のオーナー間でトラブルに発展させないためにも、サブリース契約の詳細をきちんと伝えるようにしてください。
通常の物件より査定価格が低い傾向
サブリース物件は、通常の委託管理に比べ管理手数料が割高であり、収益性が低い傾向にあります。委託管理における管理手数料が家賃収入の5%程度であるのに対し、サブリース契約の場合は家賃収入の10%程度と約2倍の差があります。手数料が多く差し引かれるため、双方の管理方法を入居率が同じ場合でみても、サブリース物件は収益性が低いことは明らかです。投資用物件の売却は「収益還元法」を用いて価値を算定しますが、収益が低い物件は評価も低くなります。サブリース物件は評価が低いために査定価格も低いことで、不動産投資における出口戦略の難しさを助長しています。
投資家からの需要も低い
サブリース物件は、売却後も投資用物件として売りに出されます。買主となる投資家からの需要を考えると、サブリース契約解除の難しさや収益性の低さという点で需要は低いのが事実です。そして、空室が少ない状況が必ずしも安泰とはいえません。サブリース契約の物件は業者側に物件のメンテナンスを任せますが、建物のメンテナンスや修繕を請け負うリフォーム業者には悪質な業者も潜んでいるとされます。相場よりも高額なリフォーム費用をオーナーに請求したり、本来必要とされるメンテナンスが行われていなかったりするパターンもあるのです。この場合、実際の築年数よりも資産価値の低い物件となっている恐れもあります。以上のことから、サブリース契約の物件は通常よりも投資対象として所有するデメリットが多く、投資家からの需要も低く売値が付きにくいことも覚えておかなければいけません。
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サブリース物件の売却における「成功」とは、サブリース契約を解除し、より高値での売却を実現することといえるでしょう。最後に、物件の売却を成功させるためのコツをご紹介します。
物件の収支が赤字なら早い段階で売却を決断する
不動産投資では、サブリース契約を利用していない場合にも契約当初の事業計画、収益予測が実現するとは限りません。もし物件の収支で赤字が継続しているならば、できるかぎり早い段階で売却に向けて動き出すのが得策です。このような状況を放置していても、現状は回復に向かいません。売却に向けサブリース契約を解除しようとしても、スムーズに解約できる可能性はほぼないものという認識を持っておくのが良いでしょう。不動産投資は長期運用を前提とした投資手法ですが、運用過程での社会情勢の変化、オーナー自身の都合によって解約を検討したくなることも想定されます。売却できない期間が長引くほど損失の額が増えていくため、ローン返済が困るようであればすぐに行動に移すのが重要です。
サブリース契約の解除を交渉する
サブリース契約の物件の売却を成功、つまり高値での売却を実現するには、サブリース契約の解除に伴う業者との交渉が鍵です。サブリース契約には特有の利回りの低さが課題となりますが、解約できれば通常の不動産売却と同様の条件で売却を進められるのです。解除要件は、サブリース業者ごとに取り決めが異なります。なかには「サブリース解除不可」というケースもあるため、契約時点できちんと確認するようにしてください。
できるだけ空室が少ないタイミングでの売却を行う
多くの不動産物件の売却に共通しますが、物件にできるだけ空室が少ないタイミングが、より高値で売却できる可能性があります。サブリース契約の物件は、通常の物件よりも高値が付きにくいという性質です。そのため、不利な状況であるからこそ、売却にはタイミングを誤ってはいけません。賃貸物件では、オーナーチェンジといわれるように入居者がいる状態でも売買できます。このほか、より高値で売却するコツとしては「物件を所有してから5年以下」「住宅ローンの金利が低金利である」のほか、相続税対策を期待するならば被相続人が亡くなってから3年10ヶ月までの売却を目指したいところです。
サブリース物件に精通した不動産会社へ売却する
より高値で物件を売却するために複数の不動産会社に見積もりを取りますが、サブリース契約を利用している場合、通常の不動産売却とは異なる要素にも気を配らなければいけません。これまでサブリース契約の物件を売却した実績がある不動産会社ならば、サブリース契約特有の売却に向けたノウハウを有しており、スムーズに売却できるでしょう。なお、サブリース契約を維持したままの売却も、解約したうえで売却する場合も、不動産会社だけでなく関連法規に詳しい弁護士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。
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投資用物件におけるサブリース契約を利用した物件の管理は、オーナー側で空室対策や入居者募集などの対応、修繕といった手間をかけない特長の管理方法です。2020年12月にサブリース新法が施行されたとはいえ、サブリース契約自体が物件のオーナーよりもサブリース業者側が有利な条件となる借地借家法が適用となることからも、安易に契約を決めるのは避けなければいけません。解約したい場合の解約条件が厳しい内容であるため、不動産投資に対する一定の知識も必要です。不動産投資では、運用過程で得た収益をいかに減らさず売却できるかという出口戦略で失敗しないことが重要です。今回の記事や専門家の意見を参考に、ご自身に合った管理方法を決めていきましょう。
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