不動産管理手数料はどのくらい?10%程度かかるケースとは
アパートやマンションなどの賃貸物件を所有しているオーナー様にとって、管理業務は大きな負担です。しかし、不動産管理会社への委託を検討しているオーナー様の中には、不動産管理手数料はどのくらいかかるのか、どんな業務を委託できるのか知らない方もいるでしょう。
本記事では、不動産管理手数料の概要や相場、委託できる業務や不動産管理会社を選ぶ際のポイントを解説します。
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不動産管理会社に物件の管理を委託する場合、不動産管理手数料を毎月支払わなければなりません。
ここでは、不動産管理やその手数料の概要を解説します。不動産管理手数料は管理会社に支払う
管理業務には、内見の案内や賃貸契約の対応、家賃の回収・督促・送金や入居者のクレーム対応のほか、建物のメンテナンスや工事の発注などもあります。これらの業務は個人でも行えますが、多岐にわたる業務を一人で行うのは負担が大きく大変です。そのため、多くのオーナーは管理業務を不動産管理会社に委託しています。この管理業務の委託にかかる費用が不動産管理手数料です。不動産管理手数料は不動産管理会社に支払います。
家賃とは別に回収する管理費に管理会社への委託費が含まれる
不動産管理手数料は、毎月の家賃とは別に回収する管理費や共益費から賄われます。本来、共益費は共用部を維持管理するための費用であり、厳密には管理費とは異なりますが、同じ意味として使われるケースも少なくありません。管理費は、家賃と同様に物件を借りている人に対して請求されます。家賃の5%〜10%程度が相場ですが、金額設定には明確なルールが無いため、オーナーによって金額はバラバラです。
用途は以下の通りです。項目 使用例 水道光熱費 廊下や階段やエレベーターの電気、トイレの水道代 保険料 火災保険、損害保険、賠償責任保険 備品 掃除用具、電球、トイレットペーパー 不動産管理手数料 不動産管理会社への委託費 その他 物件の修繕費、害虫駆除費用 -
不動産管理手数料は不動産管理会社や委託する業務の範囲によって金額が変わります。
ここでは、不動産管理手数料の相場を解説します。管理会社によって不動産管理手数料に差がある
不動産管理手数料の料率は法律で定められていないため、不動産管理会社によって不動産管理手数料に差があります。不動産管理会社の中には、不動産管理手数料を1〜3%と低めに設定している会社や定額制にしている会社や管理手数料を無料にしている会社もあります。特に、都心部の物件や築浅の物件は入居需要が高いため、管理手数料が低めに設定される傾向です。ただし、不動産管理手数料の安さだけで不動産管理会社を選ぶのはおすすめしません。格安な不動産管理手数料を売りにしている不動産管理会社は、サービスの質が低かったり別の名目で高額な費用を請求されたりする恐れがあります。委託できる業務の範囲や会社の実力や評判など、費用面以外の要素も考慮して比較検討することが重要です。
管理業務全般を委託する場合の不動産管理手数料は家賃の5%程度
物件管理や入居者管理など管理業務全般を委託する場合、不動産管理手数料は家賃の5%程度が相場です。ここでいう家賃は毎月の賃料だけでなく、管理費・共益費も含みます。例えば、家賃が19万円で管理費が1万円の物件の場合、不動産管理手数料は1万円です。この相場は首都圏や横浜や大阪などの都市部でも変わりませんが、3%を下回っていたり5%を超えていたりする不動産管理会社も存在します。
なお、家賃収入が多くなるほど不動産管理手数料は高くなりますが、空室の場合はその部屋の不動産管理手数料はかかりません。ただし、物件一棟全ての管理業務を委託する場合は入居者の有無にかかわらず毎月支払う必要があります。そのため、入居率が低い物件では不動産管理手数料の負担が大きくなるでしょう。赤字経営になる恐れもあるため、管理会社選びは慎重に進める必要があります。集金管理だけを委託する場合の不動産管理手数料は家賃の3%程度
集金管理のみを委託する場合、不動産管理手数料は家賃の3%程度が相場です。集金管理では、家賃の集金や滞納者への督促や滞納対応、オーナーへの賃料入金の報告を行います。滞納が解消されなかった場合や空室があった場合は、オーナーが負担しなければなりません。
なお、家賃保証がついている管理形態であれば、家賃を滞納しない信頼できる入居者を見つけてくれます。もし、不動産管理会社が審査した入居者が家賃を滞納した場合はその金額を保証してくれますが、その分不動産管理手数料は高めです。-
一般的な賃貸借契約の場合とは異なり、サブリースの場合は不動産管理手数料が10%を超える傾向です。
ここでは、サブリースの概要やその不動産管理手数料の相場を解説します。サブリースの不動産管理手数料は家賃の10~20%程度
サブリースの不動産管理手数料は家賃の10〜20%程度が相場となります。サブリースであれば入居者の募集や集金や物件管理など全ての管理業務を不動産管理会社が代行してくれますが、その分通常の賃貸よりも割高です。そのため、家賃収入が多いほど不動産管理手数料の負担が大きくなります。利益が出るかどうかは物件の状況によって異なるため、管理業務を任せられるメリットと不動産管理手数料を比べる必要があります。
不動産のサブリースとは
サブリースとは、不動産管理会社がオーナーから物件を借り上げて、入居者へ貸し出す管理形態です。転貸借や又貸しとも呼ばれます。オーナーの物件を不動産管理会社が借りるため、入居者がいなかったとしても不動産管理会社から賃料が支払われます。安定して家賃収入を得られる点や、賃貸経営の業務を不動産管理会社に任せられる点がメリットです。
一方、不動産管理手数料が高い点や礼金や更新料を受け取れない点や入居者を選べない点がデメリットとなります。-
ここでは、不動産管理手数料の範囲内で委託できる業務を解説します。
不動産管理手数料の範囲内で委託できる業務は、入居者への対応に関する業務と建物の管理に関する業務の2つに分けられます。入居者への対応に関する業務
入居者への対応に関する主な業務として、以下の4つが挙げられます。
・入居者の募集
募集図面の作成やチラシのポスティング、不動産ポータルサイトやフリーペーパーへの掲載など、入居者を集めるための広告宣伝活動を行います。内見希望者の対応や物件案内、申し込みや手続きのサポートなども行います。なお、入居希望者との契約が成立した場合は仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料は「家賃の0.5〜1か月分+消費税」が相場です。
・賃貸借契約書の作成
入居希望者が物件に入居する場合は賃貸借契約書を作成し、賃貸借契約を締結します。契約の際は、重要事項の説明や連帯保証人の手配なども行います。
・家賃の集金
入居者から家賃を回収します。入居者の中には家賃を滞納してしまう人もいるため、その場合は家賃を支払うように督促を行わなければなりません。また、家賃保証会社がいる場合は家賃保証会社へ滞納があった旨を報告します。
・入居者の苦情対応
設備の不具合など、入居者からの苦情を受け付け、適切に対応します。
なお、入居者の苦情対応や家賃滞納保証などは基本サービスに入る場合と別料金設定になる場合があります。建物の管理に関する業務
建物の管理に関する主な業務として、以下の4つが挙げられます。
・物件の定期点検・メンテナンス
玄関やエレベーターや駐車場、廊下や外壁などにヒビや傷が入っていないか、電気やガスや水道設備に異常は無いか点検します。設備の老朽化や汚損状況を確認することで、修繕が必要かどうか判断できます。また、消火器やスプリンクラーなどの消防設備が設置されているか、非常ベルや火災報知器は作動するかなど、防災・防犯上で重要な設備の点検も行わなければなりません。さらに、監視カメラが設置されていたり警備員が常駐していたりする場合は警備会社との連携が必要です。
・長期修繕計画の作成
物件を維持するために長期修繕計画を作成します。長期修繕計画とは、賃貸住宅において将来の修繕工事の時期や費用などをまとめた計画のことです。長期修繕計画を基に、修繕積立金の積み立てや点検やメンテナンスを行います。また、作成した後は長期修繕計画を数年おきに見直します。これは、老朽化や工事の実施により修繕項目や工事費が変わることや建築技術や法令が約5〜10年で変わることが多いためです。
・工事・リフォームの発注
物件の状態によっては、工事やリフォームが必要なこともあるでしょう。その場合は発注先の業者を選び、工事が必要な部分を指定して実際に工事が行われるまでを仕切ります。-
一部の費用に関しては、オーナーが自費で負担する必要があります。
ここでは、不動産管理手数料の範囲外になる委託業務を解説します。室内にある設備の修理費
エアコンやトイレや換気扇など室内にある設備の修理費は、オーナーの自己負担です。 台所や浴室やトイレなどの修理には10万円以上かかる場合もあるため、あらかじめ予算を確保しておきましょう。ただし、不動産管理会社のプランによっては不動産管理手数料内で修理費を一部保証してくれる可能性があります。
なお、入居者が自ら設置した設備や入居者の故意・過失で故障した設備はオーナーが費用を負担する義務はありません。
そのほか、賃貸借契約により補修や交換が入居者負担になっている残置物(前の入居者が撤去・処分せずに残した物)も同様です。原状回復の費用
入居者が退去する際は、次の入居者が快適に使えるように、部屋の原状回復を行います。原状回復とは、入居者の故意や過失によって生じた傷や汚れを修繕・クリーニングし、元の部屋の状態に戻すことです。基本的に、入居者の故意や過失によって生じた損傷や賃貸借契約で入居者負担になっている事項は、入居者が費用を負担します。
ただし、経年劣化による損傷や通常の日常生活で生じる傷や汚れの修繕・クリーニング費用はオーナーが負担しなければなりません。
原状回復費用は、部屋の大きさや汚れの度合いによって金額が変わりますが、単身者向けの物件の場合は修繕一回につき10万〜15万円が相場です。
なお、不動産管理会社のプランによっては不動産管理手数料内で数万円の原状回復費用を保証してくれる可能性があります。-
ここでは、不動産管理会社を選ぶ際のポイントを解説します。
不動産管理会社を選ぶ際は、不動産管理手数料に含まれる委託業務や解約手数料の有無を確認しましょう。手数料に含まれる委託業務を確認する
不動産管理会社を選ぶ際は、不動産管理手数料に含まれる委託業務を確認することが重要です。特に、不動産管理手数料が相場よりも低い場合は必要な管理業務が別料金扱いになっている恐れがあります。
また、不動産管理の一部として滞納保証や死亡保証や早期解約違約金保証などを提供している不動産管理会社も珍しくありません。相場より割高になるかもしれませんが、こうした保証を利用することにより、不動産経営におけるさまざまなリスクを軽減できます。
不動産管理手数料だけに着目せず、トータルのコストとメリットを比較することが大切です。解約手数料が発生するか確認する
想定外の費用を請求されないように、前もって解約手数料の有無を確認することも大切です。物件管理を委託したものの、退去者が増加したり空室が解消されなかったりして満足できない場合もあるでしょう。
不動産管理会社を変更する場合は解約が必要ですが、契約期間内に中途解約すると数か月分の不動産管理手数料や家賃を違約金として支払わなければならない恐れがあります。契約する際は、管理委託契約書に記載された解約条項を確認して、解約手数料の有無や金額を把握しましょう。-
不動産管理手数料は、不動産管理会社へ管理業務を委託する際に発生する費用で、毎月の家賃とは別に回収する管理費や共益費から賄われます。管理業務全般を委託する場合は家賃の約5%、集金管理のみを委託する場合は家賃の約3%、サブリースの場合は家賃の約10〜20%が相場です。委託できる管理業務は入居者への対応や建物の管理など幅広いですが、室内にある設備の修理費や原状回復費用は不動産管理手数料に含まれません。不動産管理会社を選ぶ際は、不動産管理手数料に含まれる委託業務や解約手数料の有無の確認が重要です。信頼できる不動産管理会社を選んで、入居者の満足度向上や空室リスクの軽減につなげましょう。
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