不動産小口化商品で大手が選ばれる理由は?選び方のポイントも解説
副業として家賃収入を得たい、将来のための資産を形成したいなど、不動産投資を行う理由はそれぞれです。多くの資金を必要とする不動産投資ですが、不動産小口化商品であれば少額から投資ができるため、近年では注目を集めています。
不動産小口化商品を取り扱っている事業者は多くいますが、大手が扱う商品を選ぶ方が少なくありません。大手の不動産小口化商品が選ばれる理由としては、実績の多さやサポートなどが挙げられます。
この記事では、不動産小口化商品の基本的な概要や選び方の注意点、大手が選ばれる理由などをわかりやすく解説します。
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不動産小口化商品とは、不動産を小口化して複数の投資家に販売する金融商品です。1口1万円から100万円程度の金額から販売されており、投資額に応じて賃料収入や売却益が投資家に分配されます。
資産運用だけでなく、節税や相続対策として不動産小口化商品に投資する方が増えています。不動産小口化商品は、「不動産特定共同事業」に基づいて販売されており、事業者は許可を得た上で商品を販売しなければなりません。
不動産特定共同事業を行う事業者については以下で解説します。不動産特定共同事業者について
ここでは、不動産特定共同事業法とその事業者について確認しましょう。
不動産特定共同事業者とは、「不動産特定共同事業法(FTK法)」において事業の許可を得た事業者のことです。1995年4月に施行された不動産特定共同事業法は、投資家から得た出資金によって不動産を運用し、発生した収益を配当する事業の仕組みを定めています。
この法律は、適切な運営を事業者が行うことと、投資家の利益保護を目的に施行されました。現在まで、数度の改正が実施されています。
不動産特定共同事業を事業者が行うには、不動産特定共同事業法に基づいて、国土交通大臣あるいは都道府県知事の許可を受けなければなりません。許可を得るための審査では、経営基盤や資本金などが確認されます。
不動産特定共同事業法に基づく事業者は、不動産特定共同事業者の他に、5年ごとに登録の更新を行う小規模特定共同事業者が該当します。現物不動産・REITとの違い
不動産小口化商品は、他の不動産投資とはどういった違いがあるのでしょうか。現物不動産・REIT(リート)の特徴と、不動産小口化商品を比較してみましょう。
現物不動産
実物の不動産に対して投資を行うため、実際に不動産を所有できます。投資家(オーナー)が不動産を運営でき、毎月家賃収入を得ることが可能です。現物不動産は戸建て住宅やマンションといった物件が多く、金融機関からの融資も利用できます。
一方で、不動産小口化商品は現物不動産とは異なり、融資を利用できません。購入のためには十分な自己資金が必要です。また、現物不動産は好きなタイミングで売却できますが、不動産小口化商品は自由に売却・解約ができません。
REIT
REITは元々アメリカで生まれた仕組みで、日本では文字の頭に「J」を付けて「J-REIT」と呼んでいます。不動産を所有する会社の証券を購入する方法で、投資家に所有権はありません。対象はマンションをはじめ、オフィス物件やホテル、テナント物件などさまざまで、不動産の運用は投資法人が行います。
REITの場合は、不動産投資ではなく金融商品として扱われ、融資の利用ができません。
不動産小口化商品がREITと大きく異なる点は、自身で投資物件を選べることです。REITは投資法人が投資物件を選択します。-
不動産小口化商品の形態は、「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸型」の3種類です。現在では主に、匿名組合型・任意組合型の2つが販売されています。それぞれの特徴を確認しましょう。
匿名組合型
投資家と事業者が匿名組合契約を締結して事業者に出資し、出資額に応じて利益が投資家に分配される形態です。事業者が不動産の所有権を持つため、登記も事業者が行います。これにより、投資家の匿名性が保たれる仕組みです。
投資家が出資する形態のため、利益の分配金は雑所得の扱いとなります。そのため、不動産による節税はできません。
匿名組合型の商品は、1口1万円〜10万円程度から投資でき、運用期間も数か月などの短期間です。少額から不動産小口化商品を購入したい方や初心者の方、不動産投資を試してみたい方に向いています。任意組合型
投資家と事業者が任意組合契約を締結し、共同で不動産事業を行う形態です。発生した利益は不動産所得の扱いになります。任意組合型の商品はさらに、「現物出資型」と「金銭出資型」に分類されます。
現物出資型は、事業者から投資家が不動産を小口で購入し、任意組合に出資するタイプです。不動産所有者として、投資家の名前が登記されます。一方で金銭出資型は、任意組合に金銭を出資するタイプです。現物出資とは違い、事業者の名前が登記されます。
任意組合型の商品は出資型に関係なく、不動産を所有していると見なされるため、相続税の節税効果を期待できるのがメリットです。賃貸型
投資家が不動産を小口で購入した後に、事業者に不動産を貸し出す形態です。事業者は貸し出された物件の管理・運営を行い、投資家は不動産所得となる家賃や売却益を受け取ります。不動産の登記に関しては、不動産を所有する投資家の名義が記載されます。
賃貸型の商品は1口100万円ほどで、運用期間は10年以上のものが販売されますが、商品数自体が多くありません。そのため、近年は賃貸型以外の商品が主に販売されています。-
金融商品である不動産小口化商品は、利益を得られるだけでなく損失のリスクも発生するため、それらを考えると大手の不動産小口化商品が選ばれやすいといえます。
では、不動産小口化商品の購入を考える方が大手を選ぶ理由には何があるのでしょうか。主な理由を3つ解説します。サポートが手厚い
大手の不動産小口化商品では、手厚いサポートを提供している事業者が多くいます。資産運用や相続などに関して、投資家に専門家がアドバイスをするコンサルティングサービスを提供しているケースなどです。資産をどのように運用し、守っていけば良いのか不安な方に向いているサポートといえます。
事業者によって取り扱う商品やその特徴は異なりますが、商品購入の他に事業者からの十分なサポートが欲しいという場合は、大手の商品を選ぶと良いでしょう。実績が多い
不動産小口化商品を選ぶ際は、事業者の運用実績を考慮しなければなりません。投資物件の選定や不動産の運用を、商品を販売する事業者へ一任するためです。
商品を扱う事業者が大手であれば、販売実績が豊富にあるでしょう。運用のノウハウも積み重ねてきており、資産運用の観点では安心して任せられます。利益に関しても、想定した通りの利回りを期待できるでしょう。
このような豊富な運用実績も、大手の事業者が選ばれる理由といえます。倒産のリスクが低い
不動産小口化商品を扱う事業者も、倒産のリスクがあることに注意しなければなりません。大手の事業者は経営基盤がしっかりしており、他と比較しても倒産のリスクが低いといえます。
不動産特定共同事業を行う販売事業者は、第1号から第4号事業者まで種類が分けられているのが特徴です。その内の第1号事業者は、他の事業と商品の運用収支を分けて管理しなければならない義務があるため、安全性が高いといえるでしょう。商品の購入前には、事業者の経営状況も確認すると安心です。-
不動産小口化商品を購入する際は、利回りや運用期間、中途解約などに関して把握しておきましょう。以下に、商品を選ぶ時に注意したいポイントを7つ紹介します。
想定利回りを考える
不動産小口化商品には、投資した金額に対する利益の割合である「利回り」が設定されています。利回りの種類は、「表面利回り」と「実質利回り」の2つです。
表面利回りは、表面利回りとは、想定の年間収入を物件の購入価格で割ったものになります。計算式は以下の通りです。
表面利回り = 年間で想定される収入 ÷ 購入価格 × 100
表面利回りの注意点として、諸経費は含まれません。後述する実質利回りよりも数字は大きくなります。
次に、実質利回りです。実質利回りとは、年間収入から固定資産税などの諸経費を差し引いた収益を、物件の購入価格で割ったものになります。計算式は以下の通りです。
実質利回り =(年間で想定される収入 - 諸経費)÷ 購入価格 × 100
商品に違いはありますが、不動産小口化商品の実質利回りに関しては約2〜7%のものが多く販売されています。
不動産小口化商品は、分配金が変動するリスクがあると利回りが高くなりやすく、リスクが低いと利回りも下がるケースが見られます。運用期間を確認する
不動産小口化商品の運用期間は、商品によって異なる点に注意しましょう。匿名組合型は10年以内での運用の商品が多く、反対に任意組合型では10年以上の長期的な商品が多く販売されています。期間は短期と長期のどちらを希望するのか、投資の目的に合った商品を選びましょう。
短期的な運用を目的としている場合は匿名組合型、長期の運用や相続対策を目的とするのであれば任意組合型の商品がおすすめです。ただし、長期運用が可能な商品は運用期間中の売却ができないケースがあるため、購入の際は確認してから決めるようにしましょう。配当金の税区分をチェックする
不動産小口化商品を運用することで得られる配当金(分配金)について、それぞれの型で税区分が分かれることを理解しておきましょう。
匿名組合型の場合は雑所得、任意組合型と賃貸型は共同で不動産事業を行うため、不動産所得の扱いになります。ただし、不動産所得の扱いでも売却金は譲渡所得として扱われるケースもあるため、確認が必要です。手続きで発生する各種手数料を把握する
不動産小口化商品の購入時にかかる各種手数料を把握しておきましょう。商品によって発生する費用は異なりますが、基本的には購入時の手数料や運用時の諸費用などがかかります。以下に、発生する主な費用をまとめました。
購入時の手数料
商品の購入時に別途で手数料がかかるケースがあるため、事前に確認すると良いでしょう。
運用時の諸費用
運用期間中に売却あるいは贈与を行う場合、手続きに事務手数料が発生する商品もあるため注意しましょう。この他、運用のための費用や中途解約でかかる費用などがあります。
購入時の登記費用
任意組合型の商品を現物出資する場合、投資家の名義で登記しなければなりません。金銭出資での任意組合型の商品や、匿名組合型の商品では登記費用が不要です。
上記以外にも、不動産取得税や司法書士への依頼料などが発生するケースがあります。運用時だけでなく、売却時や贈与時などあらゆる状況を想定して費用を計算しておくと安心です。中途解約できる商品を選ぶ
契約する内容によって、運用期間中での解約ができない不動産小口化商品があります。中途解約が難しい商品が多い点から、不動産を持つ会社の証券を購入するREITと比較すると、流動性はそれほど高くないといえるでしょう。
商品が中途解約できるかどうか、事業者による買い取りなどが行えるかどうかも確認しておくべきポイントです。相続税対策に有効か事前に確認する
相続税対策としては、不動産の取得が有効とされています。理由は、不動産の相続税評価額が不動産の時価より低く評価されるためです。
不動産小口化商品の場合も、不動産を所有していると見なされる任意組合型を選ぶことで、相続税の節税効果が期待できます。なお、匿名組合型の商品は相続税対策にはなりません。リスク分散のため複数社に投資することを検討する
一つの商品にだけ集中してしまうと、損をした際のリスクが大きくなります。少額から投資できる不動産小口化商品は、リスク分散を行いやすいのがメリットです。そのため、意識して投資先を分散させることで、一つの商品に依存してしまうリスクを減らせます。
不動産小口化商品を購入する際は、できるだけ複数の事業者の商品に投資し、リスクを分散させましょう。他の金融商品と合わせて投資することも可能です。-
不動産小口化商品を選ぶ際の注意点を確認したところで、商品を購入するメリットも把握しておきましょう。具体的なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
少額から投資できる
他の不動産投資と比べて少額から投資できる点は、不動産小口化商品が注目されるメリットの一つです。通常の不動産投資の場合は少なくても数百万円、物件によっては億単位の資金を用意しなくてはなりません。不動産小口化商品と違ってローンは組めますが、借り入れには一定以上の信用力が求められます。
現在、流通している主な商品は匿名組合型あるいは任意組合型ですが、匿名組合型であれば1口1万円程度からの投資が可能です。初めて不動産投資を行うといったケースや、ローンを組むことに抵抗がある方にとって、少額から投資できる点は大きなメリットといえるでしょう。優良物件から選べる
不動産投資において、収益が見込める物件を見極めることは非常に重要なポイントですが、良い物件の選定はプロでないと難しい面があります。
不動産小口化商品として扱われる物件は、プロが選定した選りすぐりの不動産です。長期的な視点で見て価値が下がりにくいと判断した不動産の中から、投資先を選べます。
大型マンションや商業ビルなど市場に流通していない物件も多く、そういった優良物件に投資できるのは不動産小口化商品のメリットの一つです。相続税対策になる
商品を選ぶ際のポイントで述べた通り、不動産小口化商品は現金や有価証券などと比べて、相続税対策として活用できます。ただし、相続税対策として有効なのは任意組合型の商品だけです。相続税対策の目的で商品を購入する際は、任意組合型を選ぶようにしましょう。
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商品を購入することで得られるメリットの他に、デメリットがあるのかも確認しておきましょう。不動産小口化商品には、主に3つのデメリットがあります。
利回りが低い
不動産小口化商品は、現物の不動産投資と比べて利回りが低くなります。理由は、不動産の管理・運用のための費用、各種税金や保険料などが差し引かれるためです。
不動産小口化商品の利回りの相場は約2〜7%ほどですが、商品によって異なるため注意しましょう。多くのケースでは、匿名組合型商品は実質利回り、任意組合型の場合は表面利回りが表記されています。融資が利用できない
現物の不動産投資では、物件を担保に融資を利用するケースがほとんどです。自己資金は少なくても、融資によって高額な物件を購入できます。
しかし、不動産小口化商品は現物不動産とは異なり、融資を利用できません。これは、複数の投資家が不動産を共同所有しているためです。そのため、商品は全額自己資金で購入しなければなりません。
また、不動産小口化商品では元本の保証がないため、不動産投資のリスクを把握した上で自己資金を用意する必要があります。申込倍率が高い
商品数が少なく、申込倍率も高い点が不動産小口化商品のデメリットです。希望者の数に対して、流通している商品数が多くないことから、購入したい時に購入できないケースがあります。
人気が高い商品は特に希望者が多く集まります。基本的に申し込みは先着順となっているため、気になる商品があれば、日頃から募集開始日や商品の情報をチェックしておきましょう。-
不動産小口化商品は、1口1万円から100万円程度に小口化した金融商品で、投資家は投資額に応じた賃料収入や売却益を受け取れます。
不動産小口化商品を購入する投資家が増加している中で、特に選ばれているのが大手の商品です。大手が選ばれやすい理由としては、サポートの手厚さや運用実績、倒産リスクの低さが挙げられます。
不動産小口化商品を選ぶ時は、想定される利回りや運用期間などを確認するようにしましょう。-
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壁紙や床といった、目に見える表の部分だけを改修します。
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