オーナーチェンジ物件はなぜ危険?失敗しないためのポイントとは

不動産投資の初心者でも始めやすい物件として、オーナーチェンジ物件が挙げられます。
しかし、オーナーチェンジ物件はメリットだけでなくリスクもあるため、購入する際はその危険性と失敗を防ぐポイントを把握しなければなりません。本記事では、オーナーチェンジ物件が危険といわれる理由や危険を回避するためのポイントなどを解説します。

目次

オーナーチェンジ物件とは

  • オーナーチェンジ物件とは
  • オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売買される賃貸物件のことです。
    投資用のワンルームマンションでよく見られる売買形態で、一般的に投資家間で取引されます。
    居住目的の人には売却できないため、一般的な不動産に比べて間口が狭く、難易度が高い傾向です。
    なお、入居者がいる状態で売買する物件を指す言葉であるため、入居者がいない空室の物件の売買はオーナーチェンジ物件とは呼びません。

オーナーチェンジ物件が危険といわれる15の理由

  • オーナーチェンジ物件が危険といわれる15の理由
  • ここでは、オーナーチェンジ物件が危険といわれる理由を解説します。
    オーナーチェンジ物件はトラブルや想定外の出費のリスクが高いため、投資に失敗する恐れがあります。

  • 入居者がいるため部屋の状態を確認できない

    通常の物件であれば、事前の現地調査で設備や建物に問題がないか確認できます。しかし、オーナーチェンジ物件は入居者がいるため、部屋の状態は基本的に確認できません。部屋の劣化がひどい場合は、入居者の退去時に莫大な修繕費用が発生する恐れがあります。
    また、一般的な入居者であれば部屋の状態を確認しなくても支障はありませんが、中には部屋や設備を雑に扱う人もいるでしょう。その場合、退去時に原状回復費用(物件を入居時の状態に戻すための費用)の負担割合に関してトラブルが発生する恐れがあります。

  • どのような入居者がいるのか状況を把握できない

    通常の物件であれば、オーナーや保証会社の管理のもと入居審査が行われるため、問題のある入居者を回避できます。しかし、オーナーチェンジ物件の場合はどのような入居者が住んでいるか事前の把握が困難です。そのため、購入後に家賃滞納や騒音など収益や周囲の入居者に悪影響を与える不良入居者が入居していると判明する恐れがあります。入居者が家賃を滞納している場合、支払いの督促や法的な対応など面倒な手続きも引き継ぐ必要があるでしょう。
    購入後のトラブルを防ぐためには、入居者情報の細かい確認や売主や管理会社へのヒアリングが必要です。

  • 稼働状況を確認しにくい

    オーナーチェンジ物件は購入時から入居者がいるため、稼働率が常に変動しており、稼働状況を確認しにくい傾向があります。
    稼働率とは、一定期間における賃貸物件の入居割合のことです。
    稼働率が高ければ高いほど継続的な収益を得られる可能性が高まりますが、物件の稼働率は過去の実績に基づいています。物件広告を出す数か月前の稼働率が記載されているケースもあるため、記載されている稼働率と購入時の稼働率が異なる恐れがあります。

  • 空室が多いと利回りが下がる恐れがある

    一棟物件の場合、空室が多いと利回りが下がる恐れがあります。
    一般的に、オーナーチェンジ物件には物件が満室の場合の年間収入を基にした表面利回りが記載されています。しかし、収益性を判断する際は実際の稼働率や初期費用と運用費用を含めた実質利回りの方が正確です。表面利回りを期待して物件を購入すると利益が出ず、予想を上回る経費がかかる恐れもあります。

  • 物件の購入後に瑕疵を発見するケースがある

    オーナーチェンジ物件は中古の収益物件であるため、瑕疵(土地や建物の欠陥)がある恐れがあります。部屋の状態も事前に確認できないことから、物件の購入後に瑕疵を見つけるケースも少なくありません。もし、契約書に書かれていない瑕疵を見つけた場合、民法により引き渡しから1年以内であれば契約不適合責任として前オーナーに修補や損害賠償の請求が可能です。しかし、売主の負担が大きいことから多くの不動産取引では3か月に設定されています。そのため、瑕疵に気づいた時にはすでに契約不適合責任を追及できる期間を過ぎているケースもあります。

  • 現在の家賃設定や契約内容がそのまま引き継がれる

    オーナーチェンジを理由に、入居者と前オーナーが結んだ賃貸借契約の内容を変更することはできません。そのため、たとえ家賃設定が相場より低くても値上げはできないでしょう。相場に比べて家賃が低すぎる場合は入居者との交渉が可能ですが、契約内容によってはそもそも値上げが不可能な場合も少なくありません。どうしても契約内容を変更したい場合は、購入前に売主に相談し、再契約してもらう必要があります。なお、一棟物件の場合は、部屋ごとに賃貸借契約が異なるケースもあるため注意が必要です。

  • 管理会社がそのまま引き継がれる

    オーナーチェンジ物件では、契約中の管理会社を引き継ぐか、別の管理会社に変更するかの選択肢がありますが、契約中の管理会社を引き継ぐ場合は要注意です。契約中の管理会社のサービス品質が低い場合、入居者満足度が低下し、入居率が下がる恐れがあります。
    また、不動産会社がオーナーから賃貸物件を借りて入居者へ貸すサブリースの場合は、管理会社の変更が困難です。サブリースは賃貸借契約であり、借主のサブリース会社は借地借家法により権利が強く守られています。管理会社を変更するためには契約中のサブリースを解約する必要がありますが、そのためには、契約中のサブリース会社を立ち退かせなければなりません。
    立ち退きには借主の合意や立ち退き料が必要になるため、経済的な負担が増える恐れがあります。

  • 建て替えやリノベーションが難しい

    築古の一棟物件は建て替えやリノベーションによって物件の価値を高められますが、建て替えやリノベーションを行うためには入居者を立ち退かせる必要があります。
    しかし、借主である入居者を立ち退かせるためには借主の合意と立ち退き料が必要です。
    入居者が立ち退きに応じてくれない場合、建て替えやリノベーションを断念せざるを得ないこともあります。建て替えやリノベーションを前提に物件を購入する場合は、全室空室となっている古い物件を購入する方が無難でしょう。

  • 問題のある入居者を退去させるのが難しい

    借地借家法により入居者の権利が保護されているため、たとえ入居者に問題があっても一方的に退去させるのは難しいでしょう。契約解除事由や正当事由がある場合は例外ですが、条件を満たさない場合は立ち退きに関して入居者に合意してもらう必要があります。
    不良入居者を放置すると他の入居者が退去し、収益が悪化する恐れがありますが、入居者との交渉や立ち退き料の用意には大きな労力と費用が必要です。
    そのため、物件を購入する前に不良入居者の有無を確認する必要があります。

  • 連帯保証人と連絡が取れないケースがある

    オーナーチェンジ物件の場合、連帯保証人と連絡が取れないケースもあります。
    最近の入居であればリスクは少ないですが、長期にわたって入居している場合、連帯保証人が亡くなっていたり、連絡先が変わっていたりして音信不通になるリスクが高まるでしょう。
    連帯保証人と連絡が取れないと、家賃滞納の際に家賃を回収できなくなります。
    また、保証会社が連帯保証人になっているケースでは、オーナーが変わると保証契約を引き継げないかもしれません。この場合も家賃滞納の保証を受けられないため、家賃滞納リスクが高まります。
    家賃滞納リスクを抑えるためには、連帯保証人の情報の確認や保証会社への事前の連絡が大切です。

  • 入居者がサクラの恐れがある

    オーナーチェンジ物件には、入居状況詐欺の物件がまぎれている恐れがあります。
    入居状況詐欺とは、実際には空室が多い物件にもかかわらずサクラを事前に入居させて満室を装う詐欺のことです。満室であるため、購入時点の利回りは最大になりますが、サクラの入居者は購入後すぐに退去してしまいます。その結果、購入後に大量の空室が発生し、気づいたときには賃貸経営が困難になるケースも少なくありません。

  • 住宅ローンと比べて金利が高い

    オーナーチェンジ物件は購入時から入居者がいるため、自身が住むための住宅の購入や建築のために金融機関から借りる住宅ローンは利用できません。そのため、購入する際は投資用ローンを利用するケースが一般的です。しかし、住宅ローンの金利の0.5〜2%に対して投資用ローンの金利は1.5〜4%と高いため、総返済額が増えます。総返済額が増えると収益も減少するため、ローンを利用する際は入念なシミュレーションが必要です。

  • 売却時に不利になる可能性がある

    オーナーチェンジ物件は居住目的の人に販売できないため、購入層は投資家や法人など不動産に詳しい人がメインです。居住目的の人は住まいを確保する必要があるため、多少条件が悪くても妥協して入居する人もいます。一方、投資目的の場合はその物件を購入しなければならない理由がないため、条件の悪い物件を無理に買うことはありません。そのため、オーナーチェンジ物件は売れ残りやすく、売買価格が相場よりも安くなる恐れがあります。また、不良入居者がいる物件や欠陥が見つかった物件を購入してしまった場合は、なおさら売却が難しくなるでしょう。

オーナーチェンジ物件の危険を回避するには売却理由も確認しよう

  • オーナーチェンジ物件の危険を回避するには売却理由も確認しよう
  • ここでは、オーナーチェンジ物件の主な売却理由を解説します。
    売却理由に注目することで、その物件に潜んでいるリスクを把握できます。

  • 個人的な事情

    よくある理由として、オーナーの個人的な事情で売却されるケースが挙げられます。
    例えば、住宅の購入や引っ越し、子どもの進学によりまとまった資金が必要になったケースです。
    物件を売却することで数百万から数千万円単位の資金を得られるため、資金確保を目的に売られる場合があります。また、賃貸運営に時間を割く時間がなくなった、病気やケガによりローンを返済できなくなったなどオーナー自身の問題によって売却されるケースもあるでしょう。
    高齢のオーナーの場合は人生の終わりを見据えて、不動産を整理するために売却するケースも少なくありません。個人的な事情を理由に売却されている物件の場合、物件に問題があるわけではないため、購入してもリスクは少ないでしょう。

  • 収益用物件を買い替えるため

    オーナーチェンジ物件を売却し、売却代金を別の収益用物件の購入に充てるケースもあります。
    最初に価格の安い物件を購入し、徐々に物件数を増やしたり規模を大きくしたりする方法は不動産投資でよくある戦略です。この場合も、物件に問題があるわけではないため、購入してもリスクは少ないと考えられます。

  • 当初予定していた売却時期になった

    物件の購入時からこの時期に売却することを前提に投資計画を立てており、その時期が来たというケースです。物件を売却させて投資を終了させる計画を出口戦略といい、最適な時期に売却することで収益を最大化できます。投資計画の予定通りに売却している物件は、スムーズに賃貸経営ができた優秀な物件と考えられます。この場合も物件自体に問題はないため、購入してもリスクは少ないでしょう。

  • 相続人が売却するため

    相続人とは、亡くなった人の財産や権利・義務を引き継ぐ人のことです。
    不動産を相続したにもかかわらず売却している理由として、相続税を納税するための資金の調達や遺産分割などが挙げられます。この場合、相場に比べて売却価格が安くなるケースもありますが、単に売却を急いでいる可能性が高いため、過度に心配する必要はありません。
    なお、不動産登記簿謄本を確認することで物件の所有者が相続により変わっているかどうかがわかります。相場に比べて安いオーナーチェンジ物件を見つけたら、相続物件かどうか確認しましょう。

  • 入居者とのトラブルを抱えている

    入居者とのトラブルの解決が困難であることを理由に、物件を売却している場合は気を付けましょう。具体的なトラブルの例としては、騒音問題やペットの問題、共用部分の利用に関する問題などが挙げられます。このような問題を抱える物件は収益性が低く、トラブルへの対応に苦労する恐れがあるため、購入はおすすめしません。物件の近隣住民とのトラブルが原因の場合も同様で、オーナーが変わっても状況は変わらないため、購入しない方がよいでしょう。
    さらに、立ち退きや賃料増減額請求などの理由で、入居者と裁判を行っている場合も要注意です。
    一般的に、裁判中は家賃の不払いを理由に賃貸借契約の解除や立ち退きをされないように、オーナーに支払うべき家賃を法務局に預けて、家賃を支払った状態にします。たとえ家賃供託中の物件を購入しても、問題が解決するまで供託金は受け取れません。そのため、家賃収入を受け取れず、賃貸経営に深刻な影響を与える恐れがあります。
    こうしたリスクを避けるためには、売主や不動産会社にヒアリングして入居者や近隣とトラブルを抱えていないか確かめることが重要です。

  • 経営がうまくいっていない

    想定通りに経営が進まなかったため、これ以上損失を出さないために売却するケースもあります。
    オーナーチェンジ物件を売却する理由の大半がこのタイプであるといわれ、こうした物件は購入しても赤字経営となるかもしれません。
    特に、物件の老朽化や地域人口の減少などの問題により空室が多い物件は、利益が期待できないため、購入しない方が無難です。

  • 大規模修繕の時期が近いため

    アパートやマンションなどの一棟物件では、大規模修繕による修繕費が生じる前に売却するケースがあります。この場合、物件価格だけでなく修繕費も負担しなければならない恐れがあるため、事前の確認が必要です。また、修繕費用や部品交換費用に充てるために、入居者が積み立てる修繕積立金がある場合でも注意する必要があります。
    修繕積立金が不足していると、入居者からの一時金徴収や借り入れが求められ、反発や投資計画への影響が生じる恐れがあります。さらに、新築時の長期修繕計画では途中から修繕積立金の増額が決められているケースも少なくありません。修繕積立金の増額は購入者にとって懸念材料となるため、この場合は売却価格が下がるリスクも考えられます。

  • 空室が増加する恐れがあるため

    築年数の経過や競合の増加などの理由で、将来的に空室が増加すると予測されるために売却するケースです。オーナーチェンジ物件ではリフォームやリノベーションなどでの空室対策が難しいため、こうした理由により売却された物件は購入しても赤字経営になる恐れがあります。
    また、物件の契約形態にも注意しましょう。
    賃貸物件を借りる際に結ぶ一般的な契約である普通借家契約の場合は問題ありませんが、定期借家契約の場合は契約期間が満了すると自動的に終了します。そのため、定期借家契約の満了が近い場合は入居者が退去し、空室が増加するかもしれません。さらに、経営は成り立っているものの近隣の施設の移転や撤退により賃貸ニーズの低下が予測される場合も物件が売却されます。この場合、売主が売却理由を正直に説明するとは限らないため、自分で入念な調査を行うことが必要です。

オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利や義務を押さえておこう

  • オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利や義務を押さえておこう
  • ここでは、オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利と義務を解説します。
    借地借家法第31条により、建物のオーナーが変わると売主と入居者が結んだ契約は新しいオーナーに引き継がれるため、賃貸不動産所有に伴う権利や義務が発生します。

  • 3つの引き継ぐ権利

    オーナーチェンジ物件を購入したオーナーは民法の第601条と第621条に基づき、以下の権利を引き継げます。
    ●建物から得られる収入を受け取る権利
    ●契約終了時に建物を返してもらう権利
    ●契約終了時に原状回復をしてもらう権利

    ここでいう物件から得られる収入は家賃だけでなく、共益費や駐車場使用料なども含みます。
    ただし、オーナーチェンジをする以前に滞納していた家賃を請求する権利は前オーナーが債権譲渡しない限り、新オーナーには引き継がれません。

  • 3つの引き継ぐ義務

    オーナーチェンジ物件を購入したオーナーは民法の第601条と第606条と第622条の2第1項に基づき、以下の義務を引き継がなければなりません。
    ●建物を入居者に使用させる義務
    ●建物を修繕する義務
    ●契約終了時に敷金を返す義務

    敷金ではなく保証金の名目で貸主がお金を預かっている場合、契約に結んでいる内容によって引き継ぐ可能性があります。ただし、住宅を借りる際に貸主にお礼として支払う礼金は担保として預け入れるものではないため、新オーナーには引き継がれません。

オーナーチェンジ物件で失敗しないためには?購入前に確認すべきこと

  • オーナーチェンジ物件で失敗しないためには?購入前に確認すべきこと
  • ここでは、オーナーチェンジ物件の購入前に確認すべきポイントを解説します。
    オーナーチェンジ物件を購入する際は、賃貸借契約やレントロールなどを確認すべきです。

  • 賃貸借契約の内容

    オーナーチェンジ物件の場合は賃貸借契約を変更できないため、現在のオーナーと入居者の間で結ばれている賃貸借契約の内容の確認は必須です。家賃や契約期間に加え、更新料や保証人の有無、敷金の取り扱い、退去時の原状回復費用の負担についても確認することが重要です。
    特に、禁止事項や中途解約条項や支払いに関する項目の確認不足はトラブルの元となるため、入念に確認する必要があります。
    なお、契約内容が簡略化や改ざんされていると、正確な把握が難しくなります。トラブルの防止や訴訟対応などの観点から、賃貸借契約書は原本を用意させることをおすすめします。物件や取引条件の重要事項が記載されている重要事項説明書や、入居時点での室内のキズや汚れなどの状態を記入する現況報告書などもあれば安心です。

  • 入居者の入居期間

    物件の価値を判断する際は、入居者の入居期間を確認しましょう。
    賃貸の平均居住期間は単身層が約3年、ファミリー層が約5年といわれ、高齢者は6年以上居住している人が多い傾向です。入居者の入居期間が平均より長い場合、物件の管理が行き届いていて入居者にとって住みやすい環境である可能性があります。
    入居者や近隣とのトラブルもないと考えられるため、購入後も住み続けてくれるでしょう。
    ただし、入居期間が長くても賃貸借契約の満了が近い場合は退去される恐れがあるため、入居者の更新時期も併せて確認することをおすすめします。
    また、あまりに入居期間が長い場合は設備のチェックやメンテナンスが不十分な恐れもあるため、修繕やリフォームの履歴も併せて確認することが重要です。

  • 修繕やリフォームの履歴

    過去の修繕やリフォームの履歴、今後の修繕計画も重要な判断材料です。
    適切な修繕がされていない物件は、建物や設備が劣化していると考えられるため、購入後すぐに修繕費が発生する恐れがあります。給排水設備や配電設備など建物に付属している設備の状態や、交換・補修履歴がわかる資料もあると安心です。
    また、マンションやアパートなどの一棟物件の場合、修繕計画通りに修繕が行われていないこともあります。ずさんな管理が行われている場合、修繕やリフォームの履歴が適切に保存されていないケースも少なくありません。いつどんな修繕をしたか確認することで、物件が適切に管理されていたかどうかが判断できます。さらに、過去に大規模修繕が実施されていない物件の場合は大規模修繕の時期と費用の確認も必要です。修繕の箇所や時期や方法を事前に把握することで、正確な投資計画を立てられ、購入すべきかどうか判断できます。

  • レントロール

    レントロールとは、賃貸物件の契約状況や入居者の属性を一覧にした書類です。
    各部屋の賃貸借契約がまとめられた資料で、各部屋の契約日や家賃、時系列での家賃の推移などが確認できます。実績の確認や投資計画の策定の際に役立つ資料となるため、必ずチェックしておきましょう。また、オーナーチェンジ物件の中には満室経営や高い利回りを偽装するためにサクラを入居させている悪質な物件もあります。こうした入居状況詐欺の被害に遭わないためには、レントロールに記載されている家賃や契約日を確認することが重要です。
    なお、レントロールの作成は法令で定められていないため、公式の書式もありません。
    売主に都合の悪い情報が隠されている恐れもあるため、不明な点は適宜確認しましょう。

  • 外観や共用部分の状態

    オーナーチェンジ物件は基本的に居室内の内見はできませんが、外観や共用部分の確認は可能です。
    エントランスや階段、外壁の状態などを確認することで、物件が適切に管理されているかどうか判断できます。具体的な確認事項は以下の通りです。

    ●エントランスや郵便受けが汚れていないか
    ●ゴミ捨て場は清潔か
    ●外壁に変色やひび割れはないか
    ●植栽はメンテナンスされているか
    ●掲示板や張り紙にクレームや注意喚起はないか

    管理が行き届いていない物件は老朽化が進み、物件の価値が大きく下落します。
    新規の入居希望者に避けられる恐れもあるため、状態が悪い印象を与える物件は購入を控えた方が賢明です。
    また、掲示板や張り紙でクレームや注意喚起がされている場合は問題のある入居者や近隣に不審者がいる恐れがあります。

  • 現在の家賃と周辺の家賃相場

    契約内容の変更が難しいオーナーチェンジ物件において、現在の家賃と周辺の家賃相場の確認は必須です。現在の家賃が周辺の家賃相場よりも低い場合、周辺の物件よりも利回りが下がる恐れがあります。一方、現在の家賃が周辺の家賃相場より高い場合、現在の入居者が退去した後、再募集した際に入居者が集まりにくくなるでしょう。
    また、家賃を下げると購入当初よりも収益が悪くなり、経営状態が悪化する恐れがあります。
    特に、現在の入居者が新築当時から住んでいる場合は家賃が周辺の家賃相場よりも高い傾向です。
    収支計画通りに経営するためにも、周辺の家賃相場を踏まえてシミュレーションする必要があります。

  • 賃貸のニーズ

    すでに入居者がいるからといって賃貸ニーズを把握しないのは得策ではありません。
    現在の入居者が退去した際に空室期間が長くならないように、空室率を基に物件の賃貸ニーズを把握することが重要です。空室率が低い物件は多くの部屋に入居者がいると考えられるため、賃貸ニーズが高いと判断できます。また、入居者ターゲットの見極めも大切です。
    例えば、学生やサラリーマンによく入居されている物件の場合、立地や家賃の安さを評価されていると判断できます。ファミリー層や単身女性によく入居されている物件であれば、部屋の広さや設備の充実度やセキュリティ性が評価されていると考えられるでしょう。
    こうした賃貸ニーズを把握することで、入居者を再募集する際に適切な戦略を取れます。
    ただし、十分な賃貸ニーズが期待できても周辺環境の変化によって賃貸ニーズが下がる恐れもあります。

  • 周辺の環境

    物件の周辺環境は入居率に大きく影響します。
    周辺環境に依存した賃貸ニーズを理由に物件を選ぶと、入居者を再募集する際に苦労する恐れがあります。入居者ターゲットが学生の場合、近隣にキャンパスが存在する限り入居が見込まれますが、キャンパスが移転すると入居者の確保が難しくなります。そのため、なるべく幅広い賃貸ニーズが見込める物件を選ぶことが重要です。例えば、徒歩圏内に駅がある物件はさまざまな人にとって嬉しい要素と考えられます。スーパーやコンビニ、飲食店や病院が近くにある物件も入居者募集の際に有利でしょう。さらに、入居者が快適に暮らすうえで周辺の騒音状況も重要な要素です。
    すぐ近くに幹線道路や線路がある物件は、走行音が聞こえたり振動が伝わったりする恐れがあります。こうした物件が防音仕様となっていない場合は、購入を慎重に進める必要があるでしょう。
    周辺の環境を調べる際は、曜日や時間帯ごとに確認するのも効果的です。

  • 売却理由や売主の情報

    投資リスクを下げるうえで、売却理由や売主の情報の把握は必須です。
    オーナー個人の事情や相続などの理由で売却されている場合は問題ありませんが、賃貸経営上のリスクを理由に売却されている場合は購入しない方がよいでしょう。
    また、不動産売買において最も重要なポイントが売主の本人確認です。
    不動産売買では土地取引を目的とした詐欺もあるため、万が一に備えて所有者の名義と登記簿謄本の名義を確認する必要があります。

  • 管理会社の管理状況

    管理会社の管理状況も判断材料の一つです。
    清掃や建物・設備の管理はもちろん、家賃の回収や送金やクレーム対応、広告宣伝活動や契約更新業務などの状況を調べます。サービス品質やトラブル対応力の低い管理会社が管理している場合、入居者の満足度が低下し、収益性に悪影響を与えかねません。
    現在のオーナーにヒアリングして、管理状況に過不足はないか調べましょう。
    また、管理人を常駐させている場合は管理人の対応も確認する必要があります。
    管理人の勤務態度が悪いと入居者の満足度を低下させかねないため、注意が必要です。

  • 物件が売りやすいか・売りにくいか

    居住目的の人に販売できないオーナーチェンジ物件は売りにくいといわれますが、築古物件や立地が悪い物件、ファミリータイプの物件はさらに売りにくいといわれます。
    一般的に、ファミリータイプの物件は単身者向けの物件に比べて専有面積が広めです。
    しかし、広さに応じて家賃も高くなるとは限りません。
    例えば、専有面積が30平米の単身者向け物件と専有面積が60平米のファミリータイプの物件があったとします。
    この場合、ファミリータイプの専有面積は単身者向け物件の倍ですが、家賃が倍になるケースはほとんどありません。このように、専有面積と家賃は比例しないため、利回りが低くなりやすく、投資家から投資効率が悪いと判断されて購入を避けられる恐れがあります。
    また、投資商品であるオーナーチェンジ物件は収益性が融資基準の一つになっているため、利回りが低いと融資を受けにくくなります。その結果、不動産投資ローンを受けられない人は購入したいと考えていても断念せざるを得ない場合もあるでしょう。
    出口戦略に失敗すると、それまでの利益を打ち消すほどの損失を出す恐れがあるため、購入前からその物件の売りやすさを見極めることが重要です。

オーナーチェンジ物件の成功には現地調査や過去の経営状況も確認する

  • オーナーチェンジ物件の成功には現地調査や過去の経営状況も確認する
  • ここでは、オーナーチェンジ物件の経営を成功させるうえで重要なポイントを解説します。
    オーナーチェンジ物件の経営を成功させるためには、現地調査や過去の経営状況の把握などが重要です。

  • 現地調査や前オーナーへのヒアリングを行う

    オーナーチェンジ物件を成功させるうえで、現地調査や前オーナーへのヒアリングは欠かせません。
    現地調査を行うことで、物件の状態や周辺環境などを把握できます。物件の状態を調査する際は外壁やエントランスやエレベーターだけでなく、ゴミ置き場や駐輪場・駐車場などの確認も重要です。
    周辺環境を調査する際は、騒音の原因となる施設の有無や生活に必要な施設の距離、周辺の治安状況などを確認しましょう。
    サクラの入居が疑われる場合には、該当する部屋にカーテンが設置されているか、夜間に部屋の明かりが点灯しているかを確認し、居住実態を把握する必要があります。スマートフォンやカメラやメモ帳などを用意して、調査結果を記録として残しておくと、専門家のアドバイスを受ける際に安心です。さらに、前オーナーにヒアリングすることで、売却理由や管理状況、入居者の属性などを詳しく把握できます。ヒアリングする際は、聞き漏らしを防ぐために質問リストを作成しておくことが重要です。入居者の情報や売却理由を深掘りして、回答に不審な点や矛盾点がないか判断しましょう。

  • 過去の経営状況を把握する

    過去の経営状況を把握することで、その物件の収益性やリスクを把握できます。
    家賃収入や空室率の推移、経費や利回りを把握すれば収支計画を立てやすくなるでしょう。
    特に、部屋が複数ある物件の場合は空室が埋まりにくい部屋とその原因を教えてもらうと安心です。
    また、過去に発生したトラブルも確認することで、入居者トラブルや収益性の悪化のリスクなどを予測しやすくなります。可能であれば、修繕履歴や管理会社の情報も調べましょう。 これにより、必要な修繕費や管理費を事前に把握できます。

  • 信頼できる不動産会社から購入する

    好条件のオーナーチェンジ物件を選ぶためにこうした調査を行うのは、オーナーにとって大きな負担です。物件探しに自信がない人は、信頼できる不動産会社から購入することをおすすめします。
    信頼できる不動産会社を探す際は、以下の点を確認しましょう。 これまでの実績 過去の取引実績が多いほどノウハウが蓄積されている可能性が高いため、信頼度も高いと考えられます。自分の投資対象となるエリアや物件種別を得意にしている不動産会社であれば、満足のいく物件を見つけられるでしょう。また、顧客からの口コミや評判などの確認も重要です。

    担当者の質
    誠実かつ丁寧に説明してくれる担当者であれば、信頼して相談できます。
    投資するうえでのメリットだけでなく、リスクも説明してくれる担当者であれば安心です。
    また、レスポンスの早さや専門性の高さも重要になります。

    取り扱う物件の幅広さ
    豊富な物件情報を持っている不動産会社であれば、好条件の物件を見つけられる可能性が高まります。また、多数の物件情報を入手できる不動産会社は情報ネットワークが広いと考えられるため、市場全体の動向や最新の情報も提供してくれるでしょう。
    さらに、経験や実績も豊富であると考えられるため、急なトラブルにも対応できる可能性があります。

オーナーチェンジ物件を購入するメリット

  • オーナーチェンジ物件を購入するメリット
  • ここでは、オーナーチェンジ物件を購入するメリットを解説します。
    オーナーチェンジ物件は入居者を募集せずともすぐに家賃収入を得られるため、不動産投資の初心者でも始めやすいといわれます。

  • すぐに家賃収入を得られる

    オーナーチェンジ物件は購入時から入居者がいるため、すぐに家賃収入を得ることが可能です。
    そのため、安定した収入を確保でき、キャッシュフローに良い影響を与えます。
    不動産投資において、管理費や税金の支払いやローンの返済は家賃収入からまかなうのが一般的です。家賃収入が得られない場合、その間の支払いや返済は自己資金からまかなう必要があります。
    しかし、すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件であればその心配は不要です。

  • 入居者を募集する際の手間とコストがかからない

    一般的な物件の場合、購入時は空室のため、入居者の募集が必要です。
    しかし、入居者を募集するためには募集広告の作成や家賃設定など、多くの手間とコストがかかります。特に、中古物件の場合は新築物件に比べて入居希望者が少ないため、入居者の募集に難航するかもしれません。また、契約時に必要な入居審査や手続きを行うには、専門的な知識や経験も必要になります。一方、オーナーチェンジ物件の場合はすでに入居者がいるため、入居者の募集にかかる手間やコストがかかりません。

  • 経営ノウハウを引き継げる

    前オーナーの経営ノウハウが優れている場合は、その経営ノウハウを引き継げる可能性があります。
    家賃設定や運営方法などをそのまま引き継げるため、賃貸経営の立ち上がりがスムーズになります。
    また、過去の契約やメンテナンスなども確認できるため、管理費やメンテナンス費用などの支出面も予測しやすいでしょう。効率的な運営にもつながるため、高い収益性も期待できます。

  • 投資の計画が立てやすい

    オーナーチェンジ物件はすでに家賃収入が確定しているため、投資計画が立てやすくなります。
    これにより、安定した収益を確保しやすくなり、投資リスクを減らせるでしょう。
    また、将来かかる修繕費や原状回復費用も予測しやすいため、長期的な資金計画も立てられます。
    ただし、あくまで過去の収支実績は参考情報であることに注意しましょう。
    入居者の退去や物件の老朽化により、収益性が変わる場合もあるため、過去の収支実績を踏まえて総合的に判断することが重要になります。

  • 新築物件よりも価格の安い物件が多い

    オーナーチェンジ物件は中古物件であるため、新築物件よりも価格が安い傾向です。
    また、オーナーチェンジ物件は売買契約時に賃貸借契約も引き継がれるため、新しいオーナーは賃借権の制約を受けます。
    賃借権とは、賃貸借契約に基づいて他人の所有物を使用・収益できる権利です。
    これにより、オーナーの物件の使用や投資戦略に制限を受けるため、オーナーチェンジ物件は賃借権の制約がない物件に比べて価格が安く設定される傾向があります。

  • ローンの審査が有利になる可能性がある

    不動産投資ローンは、住宅ローンに比べて審査が厳しいといわれています。
    これは空室リスクや金利変動リスクにより、融資した資金を回収できないリスクが高く、それに伴い審査項目も多いためです。しかし、購入時からある程度の収益が期待できるオーナーチェンジ物件はローン審査において有利に働く可能性があります。
    特に、ローンを抱えていない人の場合はさらに審査に通りやすくなるでしょう。
    ただし、立て続けに物件を購入する場合はすでにローンを抱えているため、審査が通りにくくなる傾向にあります。

まとめ

  • まとめ
  • 入居者がいる状態で売買される賃貸物件であるオーナーチェンジ物件は物件の状態を把握しにくいため、購入後にトラブルが発生しやすいといわれます。
    オーナーチェンジ物件のリスクを回避するためには、賃貸借契約やレントロールや売却理由を確認することが重要です。
    現地調査や前オーナーへのヒアリング、過去の経営状況の把握も重要ですが、難しい人は信頼できる不動産会社から購入することをおすすめします。
    オーナーチェンジ物件の購入を考えている人は、リスクとメリットを踏まえて慎重に検討しましょう。

FAQ

  • Qアイコン オーナーチェンジ物件が危険といわれる理由を教えてください。

    オーナーチェンジ物件はトラブルや想定外の出費のリスクが高いため、投資に失敗する恐れがあります。
    詳細はこちらを参考にしてください。

  • Qアイコン オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利と義務について教えてください。

    借地借家法第31条により、建物のオーナーが変わると売主と入居者が結んだ契約は新しいオーナーに引き継がれるため、賃貸不動産所有に伴う権利や義務が発生します。
    詳細はこちらを参考にしてください。

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アレップス コンテンツ編集部

アレップス コンテンツ編集部では、アパート経営や不動産投資に関するお悩みを解決すべく日夜スタッフが情報の最新かつ濃密な記事の発信を行っています!

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