オーナーチェンジ物件をなぜ売るのか?購入時は売却理由に注意しよう
収益が出ているにもかかわらず、売りに出されている物件を見ると「何か物件に問題があるのでは」と疑ってしまうこともあるでしょう。しかし、オーナーチェンジ物件の売却理由はさまざまで、理由によって購入しても問題がない物件と、注意が必要な物件に分類されるのです。
この記事では、オーナーチェンジ物件について解説し、問題のない売却理由と注意が必要な売却理由を紹介します。さらに、オーナーチェンジ物件を購入するメリットとデメリット、起こりうるトラブル、購入する際に確認したいポイントについても詳しく解説します。
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オーナーチェンジ物件とは、アパートやマンション、戸建てなどで、入居者がいる状態で売買される物件を指します。この場合、売買によってオーナーだけが代わり、入居者との賃貸契約はそのまま継続されます。物件の購入者にとっては、入居者を探す手間が省け、購入後すぐに収益が見込まれるため、リスクが少なくて済みます。しかし、入居者から預かっている敷金や物件の管理ルールなど前オーナーからの引き継ぎ事項には注意しなければなりません。ここでは、オーナーチェンジ物件の特徴や前オーナーから引き継ぐ権利や義務、そして預かっている敷金の取り扱い方まで解説します。
オーナーチェンジ物件の特徴
オーナーチェンジ物件は、入居者がいる状態で売買される物件を指し、以下のような特徴があります。
・購入前の内見ができない
・入居者はそのまま住み続けられる
・賃貸契約や管理契約は引き継がれる
・入居者がいる状態で購入するため、すぐに家賃収入が得られる
・物件購入と同時に前オーナーから権利と義務を引き継ぐ
・預かっている敷金も前オーナーから引き継ぐ前オーナーから引き継ぐ権利
オーナーチェンジ物件を購入後、次の3つの権利を前オーナーから引き継ぎます。
・賃料を受け取る権利
・契約終了時に建物を返還してもらう権利
・契約終了時に建物を原状回復してもらう権利
上記の通り、オーナーチェンジ物件の購入によって、前オーナーが得ていた賃料を受け取る権利が発生します。また、購入と同時に建物の所有権を引き継ぐため、契約終了時に建物を返還してもらう権利も発生します。最後の原状回復とは、入居者側の問題で劣化した場所を入居者に修繕してもらう権利です。なお、通常使用による劣化や経年劣化の場合は、オーナー側の負担になります。前オーナーから引き継ぐ義務
オーナーチェンジ物件の購入によって、前オーナーから以下の3つの義務を引き継ぎます。
・建物を入居者に賃貸させる義務
・建物を維持する義務
・契約終了時の敷金返還義務
オーナーが代わっても賃貸借契約の内容は引き継がれるため、現在の入居者にこれまでと変わらず賃貸させる義務が生じます。さらに、入居者が安心・安全に住めるように、物件の劣化状況に応じた修繕を実施しなければなりません。最後に、入居者は契約終了時に敷金の返還請求が可能です。基本的に返還義務は引き継がれるため、実際には前オーナーが敷金を受け取っていたとしても、返還義務は新しいオーナーにあるので注意しましょう。預かっている敷金も前オーナーから引き継ぐ
前述した通り、入居者から敷金を預かっている場合は、これも基本的に前オーナーから新しいオーナーが引き継ぎます。ただし、家賃の未納がある場合、その金額は敷金から差し引かれます。例えば、家賃が5万円の物件で、前オーナーが10万円の敷金を預かっていたと仮定します。この物件が売却される際に1か月分の家賃が未納であった場合、引き継がれる敷金は5万円となります。
原則として、敷金は契約終了時点に入居者に返還しなくてはなりません。退去時にトラブルとならないよう、前オーナーに敷金の有無や金額を確認しておくことが重要です。
また、地域によっては敷金の引き継ぎが行われない場合もあるため、物件購入後に退去が発生した際には、新しいオーナーが敷金を返還しなければならないことがあります。この場合、自己資金からの支払いが必要となるため、注意が必要です。このような事例に限らず、オーナーチェンジ物件を購入する際は、敷金の引き継ぎの有無を確認する必要があるのです。-
家賃収入による収益が上がっている物件を、なぜ売却しようとするのでしょうか。売却理由はさまざまですが、もし以下のような回答であれば前向きに物件購入を検討してもいいかもしれません。
・予定していた売却時期になった
・収益用物件を買い替えるための資金に充てたい
・所有期間が5年を超えている
・相続人が売却している
・引っ越しや病気といった個人的な事情
それぞれの内容を詳細に解説します。予定していた売却時期になった
物件を購入する際に売却時期まで計画しておくことを「出口戦略」といいます。投資額の損失を回避するため、利益がある程度出たタイミングで物件を手放すのが出口戦略の考え方の一つなのです。計画通りに売却できるということは、賃貸経営が順調に進んだ優秀な物件といえるのではないでしょうか。また、不動産の価格が値上がり傾向のときも売却のタイミングですが、どちらのケースにしても物件に問題はないため、安心して購入できると考えてよいでしょう。
収益用物件を買い替えるための資金に充てたい
売却した代金を収益用物件の買い替えに充てるケースは、前向きな理由といえます。例えば、区分マンションを売却した代金を一棟アパートの購入に充てるなどです。この場合も物件に問題があるケースは少ないでしょう。まず手頃な価格の物件から始めて、賃貸経営が順調にいき始めた段階で、規模を拡大したり物件数を増やしたりするケースは、不動産投資ではよくある話なのです。
所有期間が5年を超えている
所有期間が5年を超えた段階で売却する物件の多くは、問題がないといえます。理由としては、土地や建物を売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に該当し、税金が軽減されるためです。対照的に、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税金が高くなります。具体的な税率は以下の表の通りとなります。
税率
区分 所得税 住民税 長期譲渡所得 15% 5%
5年を超えたタイミングで売りに出される物件は、計画的な売却であるケースが多いでしょう。
一方、5年以内に売りに出される物件は、物件に大きな問題がある恐れがあります。購入の際は、不動産登記簿謄本で前所有者の所有期間をチェックする必要があるでしょう。相続人が売却している
相続人が売却するケースも、問題のない売却理由だと考えられます。なお、相続人とは、被相続人の財産を継承(相続)する人を指し、一般的には法定相続人と呼ばれています。
なお、相続人が売却する理由は、主に以下のケースが挙げられるでしょう。
・相続税を納めるために現金が必要
・相続人同士で財産を分けるために、現金化することにした
いずれにしても、相続人が現金を必要としているために売却するのであって、物件に原因がある確率は低いといえるでしょう。特に相続税を納めるために物件を売りに出すケースでは、納税期限が相続の開始があったことを知った翌日から10か月以内と法律で定められています。したがって、売却を急いでいる相続人が多いといえます。相場より少し安くても物件に問題があるわけではなく、単に売り急いでいるケースが多いので、特に気にする必要はありません。相続物件かどうかは、不動産登記簿謄本を確認すれば分かります。オーナーチェンジ物件が相続物件だった場合は、チャンスを逃さず購入するのがおすすめです。引っ越しや病気といった個人的な事情
引っ越しや病気で賃貸経営の継続が困難になるなど、個人的な事情で物件を売りに出すケースがあります。例えば、副業で不動産投資をしていたオーナーが、病気やケガなどで本業の収入を失ってしまい売却するケースです。この場合、ローンを返済するためにやむなく売却するのであって、物件に問題があるわけではありません。物件を購入する際は売却理由を確認し、個人的な事情のケースであれば購入を決断しても問題はないでしょう。
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オーナーチェンジ物件には、前述した問題のない売却理由だけでなく、物件や入居者などに問題があるため売却されるケースもあります。以下の理由に該当する場合、購入後の賃貸経営に支障をきたす恐れがあるため、注意が必要です。
・経営が成り立っていない
・大規模修繕の時期が近い
・入居者や近隣とのトラブルがある
・空室が増える恐れがあるため
・入居者の賃貸借契約満了が近い
それぞれの内容を詳しく解説します。経営が成り立っていない
売主の収支計画が順調に進んでいない場合、経営が成り立たずに物件を売却することがあります。
このケースでは、そのままの状態で物件を引き継いでも、以前と同様に赤字になる恐れがあるため注意が必要です。収支計画通りに運用できない要因としては、近隣の商業施設の撤退や大学の移転など、賃貸ニーズが下がる周辺環境の変化も挙げられます。売主がこのような要因を正直に説明するとは限りません。したがって、周辺環境を含めた物件の状態をしっかり調査する必要があるのです。大規模修繕の時期が近い
マンションやアパートなどの一棟物件の場合、大規模修繕による修繕費が発生する前に売却しようとするケースがあります。このケースでは、修繕費を負担してもなお投資する価値があるかどうかしっかりと見極めなければなりません。修繕費は物件の規模が大きいほどかかります。場合によっては、売主に価格交渉をする必要があるかもしれません。なお、大規模修繕は、修繕箇所によって修繕周期があります。その一部ではありますが、以下の表で確認してみましょう。
推定修繕工事項目 対象部位等 工事区分
(参考)修繕周期
(参考)屋根防水 ①屋上防水(保護) 屋上、塔屋、ルーフバルコニー 補修・修繕 12~15年 ➁屋上防水(露出) 屋上、塔屋 補修・修繕 12~15年 ③傾斜屋根 屋根 補修・修繕 12~15年 ④庇・笠木等防水 庇天端、笠木天端、パラペット天端・アゴ、架台天端等 修繕 12~15年 床防水 ①バルコニー床防水 バルコニーの床(側溝、幅木を含む) 修繕 12~15年 ②開放廊下・階段等床防水 開放廊下・階段の床(側溝、幅木を含む) 修繕 12~15年 入居者や近隣とのトラブルがある
売主の物件管理に問題があったり、入居者の家賃滞納や物件を使用するうえでマナー違反があったりするなど、売主と入居者間でトラブルが起こったケースは注意が必要です。単なる売主と入居者の相性の問題であれば、オーナーが代わることで改善する可能性はあるでしょう。しかし、家賃滞納や物件を使用するうえでのマナー違反は、同じ入居者がいる限り継続して起こる恐れがあるトラブルです。物件を引き継いだことで、同じリスクも引き継ぐことになるかもしれません。
また、売却理由が騒音や異臭などによって発生する近隣とのトラブルのケースでも注意が必要です。これらの情報は、売主や管理会社に問い合わせて明らかにしない限り知ることができないため、購入を検討している場合は慎重に調査する必要があります。空室が増える恐れがあるため
近隣に競合物件が増えたり大学が移転したりして、退去者が増え空室が増えるリスクが高まったなどの理由で売却しようとするケースは注意が必要です。また、物件が古くなり、新築時に比べて入居者が集まりにくいなどの理由で空室リスクが高まったために、売却を検討しているケースも同様に注意しましょう。売却に不利になるような情報は、売主から積極的に教えてもらえない恐れがあるため、購入前に現地調査を行うことが重要です。
入居者の賃貸借契約満了が近い
入居者の賃貸借契約が、近々満了を迎えるタイミングで売りに出されるケースがあります。
賃貸借契約の期限が来ても、入居者が契約を更新する可能性はあります。ただし、オーナーとしての感覚で入居者の退去が見込まれる場合、契約満了を機に売りに出すケースもあるのです。このようなオーナーチェンジ物件を購入した場合、入居者を再募集しなければなりません。そのためには、原状回復のためのクリーニング費用や入居者募集のための広告費がかかってしまうため、購入は事前調査を重ねたうえで、慎重に判断する必要があるのです。-
ここでは、オーナーチェンジ物件の売却理由を確認する手順について解説します。オーナーチェンジ物件の売却理由を確認する手順は以下の通りです。
・不動産会社に購入の検討に必要な資料を要求する
・不動産会社に気掛かりな項目を確認する
それぞれの内容を詳しく解説します。不動産会社に購入の検討に必要な資料要求する
まず仲介の不動産会社に購入の検討に必要な資料を要求することから始めます。購入の検討に必要な最低限の資料は、以下の通りです。
・レントロール
・修繕履歴
・登記簿謄本
・固定資産税納税通知書
・建物の損害保険料が分かる資料
・管理費が分かる資料
上記の資料がすぐに出せない物件は、ずさんな管理のケースがあります。また、売却準備が整っていない物件かもしれないため、焦って購入を決断せず、冷静に購入を見送るという決断も必要です。なお、資料の中のレントロールとは、賃貸物件の賃貸借条件を一覧表にしたものです。敷金や家賃、契約日や契約期間などの契約条件や、借主の属性などが記載されています。不動産会社に気掛かりな項目を確認する
次に、気掛かりな項目を不動産会社に確認します。例えば、以下のような内容です。
・入居者の中にトラブルメーカーはいないか
・賃料の減額を交渉中の入居者はいないか
・近隣とのトラブルはないか
・賃貸借契約満了が近い入居者は多くないか
賃料の減額を交渉中の事実について、不動産会社には基本的に重要事項説明義務はありません。
しかし、買主に聞かれた場合、不動産会社は調査して説明する義務があるのです。何も聞かなければ重要事項説明でも説明されないため、買主は気掛かりな点をすべて不動産会社に尋ねることが望ましいです。仲介する不動産会社は、本来買主を守るために存在します。したがって、気掛かりな項目はすべて不動産のプロに調べてもらいましょう。-
オーナーチェンジ物件には、主に以下のようなメリットがあります。
・入居者を募集する手間が省ける
・すぐに家賃収入を得られる
・初心者向けで始めやすい
・新築物件と比べて価格が安い傾向にある
・収支計画が立てやすい
・ローン審査が有利になるケースがある
・前オーナーの経営ノウハウを引き継げる
それぞれの内容を詳しく解説します。入居者を募集する手間が省ける
すでに入居者がいる状態のオーナーチェンジ物件では、入居者募集などに手間と時間を費やす必要がありません。入居者の募集には、手間と時間がかかります。不動産会社と契約して入居者の募集を行うのが一般的ですが、入居希望者がすぐに見つかるとは限りません。新規物件は人気が高く比較的早く入居者は決まりますが、中古物件の場合は難航する傾向にあります。状態によっては、入居者募集前に修繕やリフォームが必要な物件もあるでしょう。リフォームが必要となれば、工事終了まで入居できないため、家賃の発生も先送りになります。このことから、オーナーチェンジ物件では、物件を購入したらすぐに賃貸経営をスタートできるのが大きなメリットです。
すぐに家賃収入を得られる
オーナーチェンジ物件は、購入した段階ですでに入居者がいて稼働している状態です。したがって、すぐに家賃収入を得られるのがメリットといえます。賃貸経営では、固定資産税や管理費など、物件の維持にかかる経費は家賃収入から支払うのが基本です。もし、入居者募集から始めなければならない物件であれば、入居者が決まり家賃収入が得られるまでの間の経費は、自己資金を充てなければなりません。しかし、オーナーチェンジ物件は、その心配が不要なのです。また、物件維持にかかる経費もそれまでの実績からある程度の金額が割り出せるため、投資計画を立てやすいというメリットもあります。
初心者向けで始めやすい
前述した通り、オーナーチェンジ物件には入居者がいるため、賃貸契約の内容を検討したり入居者の募集や審査をしたりする必要がありません。そのため、入居者がいない物件だけを購入した場合と比べて、不動産投資を始めるのにかかる時間やコストを大幅に削減できるのです。したがって、初心者向けで始めやすいというメリットがあります。
新築物件と比べて価格が安い傾向にある
オーナーチェンジ物件は、言い換えれば中古物件です。そのため、新築物件と比べて価格が安い傾向にあるのがメリットです。ただし、周辺の相場より高い家賃で貸し出されている物件の場合、周辺の中古物件より高値で販売されるケースがあります。そのため、新築物件よりは安くても、中古物件の価格を横並びで比較して、賃貸経営するにあたって有益な物件なのか十分確認する必要があるでしょう。
収支計画が立てやすい
オーナーチェンジ物件は、購入した時点ですでに入居者がいる状態から賃貸経営が始まります。
したがって、すぐに家賃収入が得られ、その金額も明確になっているのが特徴です。
また、さまざまな経費や固定資産税もそれほど大きく変動するわけではないため、収支計画が立てやすいというメリットがあります。ローン審査が有利になるケースがある
オーナーチェンジ物件は、購入する際のローン審査が有利になるケースがあります。金融機関によるローン審査では、申し込んだ人の属性や経済力だけでなく、対象物件の収益性もチェック対象になります。審査の結果、申込者の属性や経済力に問題がなく、加えて対象物件が将来にわたり一定の収益が見込めると判断されれば、ローンを組める可能性が高まります。オーナーチェンジ物件の多くは、これまで安定した家賃収入を得ていたという実績があるため、ローン審査で有利になる可能性があるのです。ただし、空室が多かったり家賃が低かったりといったマイナスポイントがあると、ローン審査に通りにくくなってしまうため注意が必要となります。
前オーナーの経営ノウハウを引き継げる
オーナーチェンジ物件は、物件だけでなく前オーナーの経営ノウハウも併せて引き継げる点がメリットといえます。例えば、駅からは遠く、通勤や通学には不便なのに常に満室の物件には、何かしら前オーナーの工夫があるはずです。購入を検討している物件が、条件が悪いにもかかわらず常に満室の物件の場合、前オーナーからどのような取組をしてきたのか聞き取りをすることをおすすめします。
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ここではデメリットについて解説します。デメリットは主に以下の7つになります。
・内見ができないため室内の状況を把握しにくい
・入居者との賃貸借契約における条件の変更ができない
・住宅ローンが使用できない
・どのような入居者がいるか状況把握が難しい
・物件購入後に入居者が退去してしまう恐れがある
・リノベーションや建て替えが難しい
・入居者のほとんどがサクラの可能性があるため注意が必要
それぞれの内容を詳しく解説します。内見ができないため室内の状況を把握しにくい
オーナーチェンジ物件は、内見ができず室内の状況を把握しにくい点がデメリットです。
すでに入居者がいる状態のため、事前に内見ができず室内の状況を把握できません。そのため、外観の確認や書類を通じて室内の状況を推測することしかできないのです。物件の構造に問題があったり設備が老朽化していたりする場合、購入後に修繕やリフォームが必要になることがあります。トラブルを避けるため、内見できない場合は事前に専門家に住宅診断を依頼し、大きな問題がないか調査を依頼しましょう。また、売主に過去の修繕履歴や現在修繕依頼がないかなどを確認して、物件の状況を把握する必要もあります。入居者との賃貸借契約における条件の変更ができない
オーナーチェンジ物件を購入した場合に変更になるのはオーナーだけです。入居者と前オーナーが締結した賃貸借契約はそのまま引き継がれます。新しいオーナーは、正当な理由がなければ契約内容を変更できないので注意が必要です。例えば、物件の価値を高めるまたは保持する目的でリフォームを検討しても、入居者に対して立ち退きを要求するのは簡単ではありません。さらに、周辺の家賃相場上昇を理由に、契約で定めている家賃を変更するのもかなり難しいでしょう。
住宅ローンが使用できない
オーナーチェンジ物件を投資目的で購入する場合は、住宅ローンを利用できません。これは、住宅ローンが居住用の住宅購入を目的としており、投資用物件には適用されないためです。投資用物件の購入には、アパートローンなどの投資用ローンを利用します。ただし、投資用ローンは、住宅ローンよりも金利が高くなる傾向にあります。また、融資条件も厳しいため、十分な自己資金と綿密な資金計画の立案が重要です。
どのような入居者がいるか状況把握が難しい
入居者情報の把握が難しい点も、デメリットです。例えば、前オーナーの入居審査基準があまい場合、トラブルメーカーが入居しているケースが考えられます。また、外からでは分からないものの、ゴミだらけの部屋にしてしまっている入居者などもいます。入居中の物件は中を見ることができません。さらに、自分で入居審査をしたわけではなく引き継ぐだけなので、どのような入居者がいるのか状況把握ができないため、購入には慎重にならざるを得ないのです。
物件購入後に入居者が退去してしまう恐れがある
オーナーチェンジ物件を購入したときは入居者がいて部屋が埋まっていたものの、購入後に退去してしまい家賃収入が入らなくなる危険性があります。どのような物件であっても、空室リスクがゼロということはありません。入居者の更新時期を確認して賃貸借契約が満期に近い入居者がいないか、その入居者は更新をするのか、それとも更新せずに退去するのか、などについて確認する必要があるでしょう。
リノベーションや建て替えが難しい
賃貸借契約は、貸主側から簡単に契約を解除できないようになっています。したがって、入居者を強制的に退去させてリノベーションや建て替えをするのは基本的に難しいでしょう。リノベーションや建て替えを前提に物件を購入しようとしている場合、空室の中古物件を安く購入したほうがよいといえます。
入居者のほとんどがサクラの可能性があるため注意が必要
オーナーチェンジ物件は、入居者のほとんどがサクラのケースもあるため、注意が必要です。売却が決まるまでの短期間に満室で稼働していると見せかけるためサクラを雇い、売却が決まるとすぐ退去させます。物件購入者は予定していた家賃収入が得られないため、初めから困難な状況に直面することになります。さらに、入居者募集の手間やコストが発生し、物件の維持費やローンの返済も自己資金を充てなくてはならず、大赤字を被ってしまいます。
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初心者向けで始めやすいオーナーチェンジ物件ですが、何の知識もない状態で物件を購入するとトラブルに巻き込まれる恐れがあります。リスクを最小限に抑えつつ不動産投資を行うためには、事前にオーナーチェンジ物件で起こりうるトラブルを把握する必要があるのです。オーナーチェンジ物件で起こりうるトラブルは主に以下の3つになります。
・特別な契約条件によるトラブル
・滞納した家賃を回収できない
・大きな修繕が必要な瑕疵の発覚
それぞれの内容を詳しく解説します。特別な契約条件によるトラブル
入居者確保のために、敷金や礼金が不要であったり、退去時のクリーニングや修繕費用がオーナーの負担であったりする特別な契約条件が設定されることがあります。このような物件を購入してしまうと、退去時のクリーニング費用や修繕費用をオーナーが負担しなければならず、トラブルの原因となってしまう場合があるのです。特別な契約条件によるトラブルを防止するためには、賃貸借契約書が一般的なものと比べてどこが違っているかしっかりと確認する必要があるでしょう。
滞納した家賃を回収できない
オーナーチェンジ物件は、オーナーが代わった場合でも、入居者との間で新たに賃貸借契約を締結するわけではありません。次回の契約更新まで、前の所有者との賃貸借契約がそのまま引き継がれます。しかし、賃貸借契約に記載している連帯保証人がすでに他界しているなど、保証能力がなくなっている場合があるので注意が必要です。また、連帯保証人が保証会社の場合、オーナーが代わると保証内容を引き継げないケースもあるため注意しましょう。このようなケースでは、滞納した家賃が回収できないリスクが上昇します。家賃滞納のリスクを軽減するためには、物件購入時に連帯保証人を確認し、保証会社に所有者変更を通知することが重要です。
大きな修繕が必要な瑕疵が発覚してしまう
オーナーチェンジ物件は、入居者がいるため内見できないというデメリットがありました。このようなケースでは、退去時に大きく修繕しなければならない瑕疵が発覚する恐れがあるため、注意が必要です。この事態を防ぐ方法としては、前オーナーや仲介不動産会社からしっかりと現状について報告してもらう必要があります。また、報告内容と実情が違った場合の対応策を決めておくと安心です。なお、万が一の事態に備えて事前に修繕費用を確保しておくと、もし修繕が発生した場合でも余裕を持って対応できるでしょう。
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オーナーチェンジ物件を購入する際に確認したいポイントは以下の通りです。
・レントロールに目を通す
・現地で物件を調査する
・賃貸借契約書を確認する
・入居者の入居期間を確認する
・外観や共用部分の状態を調査する
・修繕履歴を確認する
・賃貸ニーズを把握する
・周辺の家賃相場を調べておく
・管理会社の管理状況を確認する
・出口戦略のために売りやすい物件・売りにくい物件を把握する
・登記簿謄本を確認する
・サクラを利用していないかチェックする
それぞれの内容を詳しく解説します。レントロールに目を通す
レントロールは、賃貸面積・賃料・契約期間・契約始期などが記載されており、物件の状況が一目で分かる資料になります。レントロールに目を通す際は、契約期間や契約始期などに注目しましょう。なぜなら、契約を何度も更新し、長く住み続けている借主が多い物件は、よい物件の可能性が高いからです。入居者の契約始期を見ると、いつから入居しているのかが分かります。
現地で物件を調査する
オーナーチェンジ物件を購入する際は、現地に出向いて物件を調査するのが鉄則です。入居者がいて満室の物件は、部屋の中を見ることができないため基本的には外からの調査となりますが、もし空室がある場合は部屋の中を見せてもらいましょう。提示された資料通りに入居者は入っているのか、郵便ポストなどを含めて現地で調査します。また、物件の周辺環境の調査も重要です。スーパーなど買い物ができる施設が近くにあるかなども調査する必要があるでしょう。
賃貸借契約書を確認する
オーナーチェンジ物件を選ぶ際は、賃貸借契約書の契約内容を確認します。契約期間の長さや更新に関する規定、禁止事項の有無、借主による中途解約の条件などをしっかりと確認することが重要です。
入居者の入居期間を確認する
入居期間が長い物件は、管理が行き届いていて住みやすい環境である可能性が高いでしょう。また、入居期間は、前オーナーの修繕対応がどうだったか、入居者同士でトラブルがないかなどの指標の一つにもなるため忘れずに確認することをおすすめします。ただし、入居期間が長くても賃貸借契約の満期に近く、購入直後に退去する恐れがあるケースも考えられます。入居期間と併せて入居者の更新時期も確認する必要があるでしょう。
外観や共用部分の状態を調査する
内見ができなくても、外観や共用部分の状態を調査することで、ある程度管理状況を確認できます。例えば、階段やエントランスなどの共用部分が汚れていたり、電球が切れたまま放置されたりしている場合、管理が不十分であると判断し購入を見送る選択肢も考慮すべきです。なぜなら、管理が行き届いていない物件は新たな入居希望者から敬遠される傾向があるためです。
修繕履歴を確認する
修繕履歴の確認も重要なポイントです。大規模修繕の履歴や予定だけでなく、設備などの修繕履歴も確認する必要があります。修繕履歴が残っていない物件は、前オーナーや管理会社の管理がずさんであるといえるため、購入を見送る決断も必要かもしれません。適切な修繕は入居者の満足度や物件の資産価値に影響を与えるため、購入時には過去の修繕履歴を確認することが重要です。
賃貸ニーズを把握する
現在満室の物件であっても、将来的には退去者が出て、入居者を募集することになります。
その際、空室期間を短くするために、地域の賃貸ニーズを事前に把握する必要があります。
また、購入したときには十分な賃貸ニーズがあっても、スーパーの撤退や大学の移転など、周辺環境の変化でニーズが減少する可能性があるため、購入前に周辺環境を十分に調査しましょう。周辺の家賃相場を調べておく
オーナーチェンジ物件に住む現在の入居者が、新築当初から住んでいる場合、家賃は周辺の相場より高めであることがほとんどです。しかし、退去後は値下げしなければ、新しい入居者が見つからない恐れもあります。そうなると、事前に立てた収支計画に大きな狂いが生じることになります。そこで、周辺の家賃相場を調査し考慮しながら、シミュレーションする必要があるでしょう。
管理会社の管理状況を確認する
現在委託している管理会社の管理状況も確認する必要があります。例えば、入居者募集にも強くて入居者間もしくは近隣とのトラブルにも適切に対応してくれる管理会社であれば、変える必要はありません。しかし、ゴミ置き場や共用部分の汚れがひどい、郵便物が散乱している、など定期的に巡回・点検していれば気づくはずの箇所が管理されていないケースもあります。その場合、管理会社の変更も含めた検討が必要となるでしょう。
出口戦略のために売りやすい物件・売りにくい物件を把握する
不動産投資用物件を選ぶ際は、オーナーチェンジ物件に限らず出口戦略を考慮する必要があります。オーナーチェンジ物件には「売却しやすい物件」と「売却しにくい物件」があります。
「売りやすい物件」
・ワンルームタイプの物件
・築浅の物件
・立地がよい物件
「売りにくい物件」
・ファミリータイプの物件
・築古の物件
・立地が悪い物件
上記の通り、ワンルームタイプよりファミリータイプのほうが売りにくい物件となっています。理由としては、ファミリータイプは面積が広く物件価格が高い、また入居者のターゲットが限定され、空室が長期化するリスクが高いためです。一方、ワンルームタイプで築浅の立地がよい物件は、入居者がすぐ見つかる傾向にあるため、売りやすい物件となっているのです。登記簿謄本を確認する
登記簿謄本とは、登記記録の内容を記載した書類のことで、登記用紙を複写したものです。紙で情報を管理していた時代には登記証明書として原本の写しを交付していたため、原本を転写した文書を意味する「謄本」と呼ばれているのです。一般的に登記簿謄本の所有者履歴が以下のような物件は、よい物件といわれています。
・地主が新築して初めて売る物件
・地主の相続人が初めて売る物件
「地主物件」といわれる物件は、管理が行き届いた優良物件が多い傾向にあるため、購入する価値があるといえます。一方、次々と転売されているような物件は、何かしら問題を抱えている恐れがあるため、購入に関してはより慎重に判断する必要があるのです。サクラを利用していないかチェックする
オーナーチェンジ物件には、サクラを利用して満室経営と偽ったり、賃料を高めに設定した部屋にサクラを入居させ、利回りを高く見せたりする悪質なケースがあります。入居者はあくまで売却が決まるまでの一時的な入居であって、物件の売買が成立した段階で一斉退去されてしまうことが多いのです。このような事態を回避するためには、入居者の賃貸借契約や一部屋ごとの賃料・契約日が記載されている「レントロール」を確認する必要があります。周辺の家賃相場と比較して高めの設定になっていないか、契約日が直近の入居者が多くないかなど、しっかりチェックすることが重要なのです。
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オーナーチェンジ物件の購入する際には、売主の売却理由をしっかり確認する必要があります。
売却理由によっては、購入しても問題のない物件と、何らかの問題を抱えている物件とに分けることができます。また、物件購入に伴うメリットだけでなく、デメリットや起こりうるトラブルについても理解しておきましょう。オーナーチェンジ物件購入のメリット・デメリットを理解したうえでこの記事を参考にすれば、優良物件かどうかを見極められるでしょう。不動産投資を始めたい、もしくはすでに投資しているがもっと拡大したいという人は、選択肢の一つとしてオーナーチェンジ物件への投資を検討してみてはいかがでしょうか。-
オーナーチェンジ物件とはなんですか。
オーナーチェンジ物件は、入居者がいる状態で売買される物件を指します。
オーナーチェンジ物件の特徴はこちらを参考にしてください。 -
オーナーチェンジ物件の売却理由を確認するにはどうすればいいですか。
オーナーチェンジ物件の売却理由を確認する手順は不動産会社に購入の検討に必要な資料を要求する、不動産会社に気掛かりな項目を確認するとなります。
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アパートの自主管理では何をする?業務内容やメリット・デメリットを解説
不動産物件を所有する方の中には、物件を賃貸アパートとして経営したいと考えるオーナー様もいるでしょう。アパートの管理方法には、「自主管理」と「委託管理」があります。これからアパート経営を検討しているオーナー様で、自主管理を考えている方もいるのではないでしょうか。 この記事では、アパートにおける自主管理の概要や業務内容、自主管理するメリットやデメリットを解説します。
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