【アパート経営で地獄をみた大家】失敗するリスク10選とその回避法

アパート経営は魅力的なメリットが多い一方で、大きなリスクをはらんでいるのも事実です。経営に失敗して後悔しないためにも、失敗するリスクがどこにあるのか、経営を始める前にあらかじめ把握しておきましょう。この記事では、アパート経営に失敗し得るポイント、およびその回避策について解説します。

不動産経営の成功率は?!

①借入金が多額/過剰でアパート経営の地獄をみる

  • 借入金が多額/過剰でアパート経営の地獄をみるイメージできる写真
  • アパートなどの賃貸経営を始めるには、「あらかじめ所有している土地にアパートを建築する」「土地とアパートを同時に購入する」といった方法があります。いずれにせよ、アパート融資などを利用して、金融機関から購入資金を調達するのが一般的です。その際、借入金の金額があまりにも高額になると、毎月の返済に苦労することになってしまいます。

    過剰な借入金は、それ自体の毎月の返済が負担になるだけでなく、空室や何らかのトラブルが発生した際の対応も難しくしてしまいます。
    アパート経営によって継続的に発生する費用は、固定資産税や管理費、建物の保険料などです。これらは賃料収入の1割程度であることが多いため、通常であればそれほど負担になるものではありません。しかし、ここに多額の借入金が加わると状況は一変します。借入金の返済額が膨れ上がるほど、空室などによる影響を吸収できる余地が減ってしまうでしょう。

    また、アパートローンは、基本的に建物の耐用年数以内で返済期間を組みます。耐用年数とは、減価償却費と呼ばれる、建物の取得原価を費用として配分する会計上の手続きで生じる費用を計上できる期間のことです。
    減価償却資産の耐用年数は、所有する建物の構造によって異なります。例えば、木造の建物の耐用年数は22年ですが、鉄筋コンクリート造であれば47年と大きな差があります。この耐用年数の期間内に減価償却費が費用として計上されることで節税対策になるのですが、耐用年数を過ぎると、これまでよりも高い税金が課せられながら借入金を返済することになります。この点を加味せずに過剰に借り入れてしまうと、後々の返済が難しくなるでしょう。

  • 回避策、アドバイス

    まずは、あらかじめ返済のスケジュールを明確に立てておきましょう。借入金の金額は、今後のアパート経営において困らない金額にとどめるのが鉄則です。 特に、土地と物件を同時に購入する場合は、借入金の金額が高額になる傾向にあります。そのため、キャッシュフローについてしっかりと検討し、返済可能な金額であるか見極める工程が重要です。建物の経年劣化による将来的な家賃の下落や、空室になることも予想したうえで、収支のシミュレーションを行いましょう。

    また、毎月の返済額を小さくすることを目的に、耐用年数を超えて借入金のローンを組もうとしている人は考え直したほうが良いかもしれません。耐用年数を超えた返済期間でローンを組める銀行もあるようですが、減価償却費が計上されなくなることで税金の割合が非常に高くなり、返済の負担が大きくなってしまいます。

②サブリースを理解していない、罠にはまり失敗

  • サブリースとは、不動産管理会社がアパートのオーナーから物件をまるごと借り上げて、そのまま入居希望者に「又貸し」をする管理形態のことです。 オーナーが自主管理をしている物件の場合、入居者の募集からメンテナンスまでさまざまな管理業務を担う必要があります。この点、サブリース契約を結べば、管理会社が管理業務を請け負ってくれるため、アパート経営のノウハウが少ないオーナーにとってはメリットが大きいでしょう。また、アパートをまるごと借り上げることで、空室数に左右されず一定の収入を得られるのも大きな利点と言えます。


    ただし、保証される家賃の金額は、必ずしも一定の金額であるとは限りません。例えば、「空室が長く続いている」「経年劣化によって損傷している部分がある」などの理由が認められた場合、家賃の引き下げや見直しが行われることがあります。
    また、サブリースは管理会社を介すため、入居者が支払った家賃が全額オーナーの手元に渡るわけでありません。家賃保証額は8~9割ほどが相場とされており、自主管理と比較すると物件の利回りはどうしても低くなってしまいます。

  • 回避策、アドバイス

    サブリース契約による失敗を防ぐためには、まずはサブリースのメリット・デメリットをきちんと把握することが重要です。契約をするかどうかの判断材料として、保証賃料や諸費用の負担の有無なども事前に確認しておきましょう。

    例えば、物件の家賃保証率がどのような根拠によって設定されているかを見極めることは重要です。家賃保証の金額設定は、物件の状態や物件のあるエリアなどによって複合的に決定されるものですが、それらが適正かどうかを判断するのはオーナー自身です。将来的に保証額が下落することも見越して、黒字経営を続けられるかの見通しを立ててみましょう。

③節税目的で始めたが後に大失敗

  • 節税目的で始めたが後に大失敗をイメージできる写真
  • サブリースとは、不動産管理会社がアパートのオーナーから物件をまるごと借り上げて、そのまま入居希望者に「又貸し」をする管理形態のことです。 オーナーが自主管理をしている物件の場合、入居者の募集からメンテナンスまでさまざまな管理業務を担う必要があります。この点、サブリース契約を結べば、管理会社が管理業務を請け負ってくれるため、アパート経営のノウハウが少ないオーナーにとってはメリットが大きいでしょう。また、アパートをまるごと借り上げることで、空室数に左右されず一定の収入を得られるのも大きな利点と言えます。


    ただし、保証される家賃の金額は、必ずしも一定の金額であるとは限りません。例えば、「空室が長く続いている」「経年劣化によって損傷している部分がある」などの理由が認められた場合、家賃の引き下げや見直しが行われることがあります。
    また、サブリースは管理会社を介すため、入居者が支払った家賃が全額オーナーの手元に渡るわけでありません。家賃保証額は8~9割ほどが相場とされており、自主管理と比較すると物件の利回りはどうしても低くなってしまいます。

  • 回避策、アドバイス

    サブリース契約による失敗を防ぐためには、まずはサブリースのメリット・デメリットをきちんと把握することが重要です。契約をするかどうかの判断材料として、保証賃料や諸費用の負担の有無なども事前に確認しておきましょう。

    例えば、物件の家賃保証率がどのような根拠によって設定されているかを見極めることは重要です。家賃保証の金額設定は、物件の状態や物件のあるエリアなどによって複合的に決定されるものですが、それらが適正かどうかを判断するのはオーナー自身です。将来的に保証額が下落することも見越して、黒字経営を続けられるかの見通しを立ててみましょう。

④自己資金なしのアパート経営は地獄が早い

  • そもそも、アパート経営において物件の購入費用からランニングコストに至るまで、すべてを自己資金だけで完結させるオーナーはそれほど多くありません。ほとんどの場合、金融機関から何らかの融資を得て資金を調達しています。

    不動産会社と提携して設計されている不動産投資ローンなどには、頭金なしでフルローンを契約できるものがあります。そのため、自己資金のない状況でも、条件次第ではアパート経営を行うことが可能です。

    しかし、自己資金を全く用意できないと、当然ながら借入金の金額が大きくなり、前述した借入金過剰の問題にも発展しかねません。購入した建物は次第に劣化していき、共用部の修繕費やリフォーム代などがかさみます。その影響もあって空室が発生することも容易に考えられますが、資金繰りの余裕がなければ、こういった一般的なトラブルにも対応しきれなくなり、結果的に経営に失敗してしまうこともあるのです。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    物件やオーナーの年収などにもよりますが、自己資金の目安は物件や建築資金の1~3割程度といわれています。
    借入金の返済額が少なければ月々の返済の負担が減り、空室や多少の出費が生じても耐えられるでしょう。アパート経営のスタートは自己資金なしでも可能かもしれませんが、継続させるためにはある程度の自己資金の備えがあることが肝要です。

    なお、「自己資金の捻出に不安があるけれど不動産投資をしてみたい」という人は、区分マンションを選択肢のひとつとして考えると良いかもしれません。区分マンションの場合、都市部であってもアパート一棟に比べれば金額を抑えられることが多く、投資リスクが少ないというメリットがあります。

⑤安易に追加投資して大失敗、借金地獄

  • 購入したアパートの築年数が経過して空室が目立つようになると、家賃収入よりも返済金額が上回ってしまうことがあります。この問題に対する打開策として、投資物件の追加購入という方法があります。不動産投資は家賃収入を財源としているため、収益源である物件が多くなればなるほどリスクを分散させつつ多くの利益を手に入れることができるからです。

    しかし、すでに所有している物件が赤字経営になっている場合、赤字の金額を追加の物件で補填し黒字に好転させるには、一般的には1棟や2棟程度では不十分だとされています。
    また、追加投資のための自己資金が足りず、購入費用に多額の借入金を要することになるでしょう。1棟目の物件の返済が順調ではない場合は、月々の返済額がさらに膨れ上がることになり、大きなリスクへとつながります。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    資産規模を拡大させる方法として、追加投資ではなく買い替えという方法をとることもひとつの方法です。追加投資に失敗してしまう要因は、自己資金が得られにくいことにあります。そのため、既存のアパートを一度売却して自己資金を蓄えてから、改めて新たなアパートを1棟買うことで、ローンの割合を減らしながら資産規模を拡大させることができるでしょう。

    ただし、すでに不動産投資が赤字になっている場合は、売却額が希望に沿わなくても売却せざるを得ない状況に陥るかもしれません。また、売却を検討するには最低でも数ヶ月を要するため、早急に自己資金を調達したいという場合にはおすすめできません。

⑥賃貸需要や立地を見誤って空室地獄

  • 賃貸需要や立地を見誤って空室地獄をイメージできる写真
  • 「周辺環境が悪い」「立地が悪い」などが理由で、賃貸需要を満たせないことがあります。
    高層マンションなどは建設に対して制限があるものの、アパートの場合はそれほど多くの制限が設けられておらず、多少不便な土地でも建てられます。ただし、建設できるからといってその場所に一定の需要があるとは限りません。そのため、「価格が安かったために購入したものの、駅から遠い立地の影響で空室がずっと続いている」といった理由で、経営不振に陥ることがあります。

    また、どのような物件に需要があるのかは、その地域の特色や入居者の世帯状況などによっても大きく変化します。例えば、周辺に小学校や幼稚園、病院などが多く、ファミリー世帯に人気のエリアがあるとします。そのような場所にワンルームや1Kのような単身者用のアパートを投資しても、需要を満たせているとは言えません。入居するターゲット層や周辺の地域性などを正しく考慮しなければ、効率的に投資物件を選ぶことは難しいでしょう。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    賃貸需要のあるエリアについて考える際、「人口移動数」を指標にする方法があります。当然のことですが、人口流入の少ない地域に投資をしても、物件が満室になる可能性は低いでしょう。人口流入が激しく、人口に対して物件数が少ない地域ほど、アパートへの需要が高まると考えるのが一般的です。

    これに加え、周辺環境についての事前リサーチは欠かせません。物件のエリアが決まっている場合は、プロである不動産会社へのヒアリングがおすすめです。
    実際に赴くことが難しい場合や広い範囲を検索したい場合は、ポータルサイトを利用するのもおすすめです。賃料相場や空室情報などを公開していることもあるため、自分で多くのデータを収集することができます。

⑦高利回り物件に飛びついて大失敗

  • 利回りとは、投資金額に対する年間収益の割合を指します。投資物件を選ぶ際の判断材料となる利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類が挙げられます。

    表面利回りは、物件の購入価格に対する満室時の年間家賃収入の割合を示すものです。一方、実質利回りは、物件購入時にかかるすべての費用に対する、年間の家賃収入から諸経費を差し引いた利益額の割合を指します。そのため、表面利回りよりも現実的に物件の状況を把握することができる指標です。

    ただし、高利回りの物件だからといって、必ずしも良い物件であるとは限りません。例えば、新築物件が人気である日本の不動産市場では、多少不便な立地であったとしても、新築物件ならば入居者を集めることはそれほど難しくありません。

    また、初期投資を安く抑え、新築で相場通りの賃料で満室となれば、利回りが良い物件と言えるでしょう。ただし、経年によって「新築」という好条件が失われてしまった場合は、空室が発生しても、なかなか新しい入居者が見つからないといった事態になりかねません。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    高利回りの物件は、地価の安い地方にある、初期投資や管理コストの抑えられる中古物件に多い傾向にあります。ただし注意すべきは、いずれの利回りの計算方法においても、満室であることが条件になっているということです。
    実際には、賃貸経営において空室を抱えることは容易に発生する事態です。特に地方エリアの中古物件であれば、なおさら空室のリスクを考慮する必要があるでしょう。

    また、利回りの算出方法は賃貸需要を反映しているわけではないため、利回りの評価が実態と大きく異なる可能性があります。アパートを効率良く経営するためには、利回りの数字だけを指標にするのではなく、継続的に家賃収入を得られる物件なのか判断するために、地道なリサーチが欠かせません。

⑧入居者が夜逃げ!莫大な退去費用地獄

  • 入居者が夜逃げ!莫大な退去費用地獄をイメージできる写真
  • 入居者と円満な関係を築けられればベストですが、そう簡単にはいきません。アパート経営を行ううえで、入居者とのトラブルは当然起こるものと考えておくべきでしょう。なかには、家賃滞納の末に入居者が夜逃げしてしまうというケースも発生する場合があります。

    もしも家賃を滞納している入居者のなかに、「人の出入りがみられない」「連絡がとれない」「郵便受けに手紙が溜まっている」「ガスや水道のメーターが止まっている」といった兆候があれば注意しましょう。
    なお、夜逃げが疑われる場合、どうしても室内に入って確認してしまいたくなりますが、オーナーであっても勝手に立ち入ってしまうと法律で罰せられてしまう可能性があります。そのため、立ち入る前には保証人や本人、家族などに連絡をとり、警察に同行を依頼してもらうことが必要です。

    入居者と連絡がとれなくなり、何ヶ月も家賃滞納が続いているような状況では、家賃の回収は困難でしょう。また、夜逃げの場合は必要最低限の荷物のみを持ち出す傾向にあり、部屋には処分が面倒な家具や家電などが残されていることが多くあります。これらの撤去費用や、法的措置に踏み切る場合の費用などがかかることを考えると、夜逃げによる経営損失は非常に大きいと言えます。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    夜逃げしていることが確定した場合は、まず入居者の連帯保証人に連絡しましょう。家賃滞納分の支払いや、契約の合意解除の手続きができるかもしれません。連帯保証人とも連絡がつかない、もしくは協力が得られなかった場合には、法的措置を検討する必要があります。

    一方で法的措置をとると、家賃の回収は非常に難しく、決着がつくまでに時間もかかります。原状回復費などの費用はオーナー負担になってしまうため、そもそも夜逃げや家賃滞納のトラブルを回避するための対策が必要です。

    夜逃げや家賃滞納を回避するには、「日頃から入居者とコミュニケーションをとる」「入居審査の条件を厳しくする」「契約時に本人の連絡先だけでなく実家や勤務先の情報も入手する」などの方法が有効ですが、個人では複数の入居者様とのコミュニケーションに限界がありますし、入居審査の条件を厳しくすると、相対的に空室を埋めることが難しくなります。それらを考慮すると、親族や知人に賃貸する場合や自宅の一部を賃貸する場合などを除き、専門の管理会社に委託する方が現実的な選択肢だと言えます。確かに委託費用は発生しますが、そうした費用を含めて賃貸経営をプランニングする方が安全と言えるでしょう。

⑨建物がダサくて空室地獄

  • 空室対策として、特に経年劣化が激しいアパートなどでリフォームやリノベーションを検討しているオーナーも多いのではないでしょうか。しかし、家賃が下落している物件のリノベーションはリスクが高く、費用対効果の高さを担保するには入居者のニーズに沿ったプランを立てることが重要です。

    特に失敗しやすいものが、部屋の印象を大きく左右するクロスの張替えや、デザイン性の高いペンダントライト、シェルフの設置などです。無地のクロスであればそれほど雰囲気を変えることはありませんが、イメージを一新しようとしてデザイン性の高いクロスなどを張り替えてしまうと、人によって好みが分かれてかえって空室が目立ってしまう場合があります。

    また、ペンダントライトやシェルフなども、人によって好みがまちまちであるうえに、備え付けの家具を増やすことでコーディネートの自由度が下がってしまうという側面もあります。デザイン性の高いものはおしゃれで人気があるように思いますが、人によってイメージが左右されやすいものはできるだけ避けたほうが無難でしょう。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    経年によってリノベーションが必要になった場合は、「和室から洋室への変更」「ユニットバスやキッチンなど水回りの交換」「オートロックや監視カメラの追加」などがおすすめです。

    近年の日本では、一般的なイメージに違わず、和室よりもフローリング敷きの洋室に人気が集中しています。和室はベッドやキャビネットなど大型の家具などを置きづらく、使い勝手が悪いという理由で敬遠されつつあるようです。また、水回りが古びていることも入居者にとってはマイナスなイメージとなりやすいため、優先してリノベーションを行いましょう。

    さらに、セキュリティ対策をアピールポイントとして考えているなら、オートロック門扉の設置やセンサーライト、カメラの設置などがおすすめです。特にアパートは、構造上エントランスを構えていないため、マンションなどと比べてセキュリティ対策に不安を持つ人も少なくありません。セキュリティ機能を共用部などに備えれば、入居希望者に対して効果的なイメージアップを図れるでしょう。また近年は社会情勢も相まって、留守中や非対面で荷物の受け取りが可能な宅配ボックスなども人気ですので、特に一人暮らし向けの物件では積極的に導入を検討してもいいかもしれません。

    ただし、こうした設備の導入は、エリアや物件、建物のグレードによって正解は異なります。管理会社に委託している場合はともかく、自主管理の場合、日頃から情報収集をして、本当に必要で費用対効果の高い設備を判断できるようになっておく必要があります。

⑩かぼちゃの馬車問題で借金地獄

  • かぼちゃの馬車問題で借金地獄をイメージできる写真
  • 2018年5月に、シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズという不動産会社が破産したことがメディアに大々的に取り上げられました。

    スマートデイズは、2018年3月の時点で負債額が60億円にのぼっていました。サブリース事業が破綻しオーナーへの賃料が未払いとなったことで、借入金の融資を受けていたオーナーたちは次々と負債を抱えていくことになります。

    スマートデイズの経営悪化の直接的な原因は、資金繰りの悪化でした。シェアハウス「かぼちゃの馬車」は短期間で物件数を増やしたものの、入居率は5割にも満たない状況が続いたため、赤字経営が続いていました。それに加え、非常に緩いローン審査による不正融資に銀行が加担していたこともあり、より多くの個人投資家(オーナー)が経営に参画してしまったことでさらに被害が広がっていきました。

    この事件では、翌年の2019年に銀行に対して調停を申し立て、さらに翌年の2020年に「オーナーが『かぼちゃの馬車』の土地と物件を手放せば、ローンの借金を相殺する」という内容で決着がつきました。一見すると円満的に解決されたようにも思えますが、事件発生から2年が経過しており、この間に自己破産をしたオーナーもなかには存在したのです。

    このような組織ぐるみで行われた事例は、スマートデイズに限らずほかの企業でも行われていたことが明らかになっています。シェアハウス投資による「かぼちゃの馬車事件」問題は、決して他人事として片付けることはできません。

  • 【 回避策、アドバイス 】

    「かぼちゃの馬車」事件は、銀行などを含んだ組織ぐるみで不正が起こり、オーナーが甚大な損害を被った事件です。この事件の教訓として言えることは、不動産投資の経験があまりない投資家は特に、企業から示された情報を簡単に鵜呑みにしないこと、また、著名な企業だからといってすぐに安心しないこと、といったことでしょう。

    まず、「投資物件の採算性がとれているかどうか」を把握しましょう。サブリース契約の場合、家賃保証を行うサブリース業者は賃貸需要の得られる土地にアパートを建設するのが基本ですが、「かぼちゃの馬車」事件では採算が度外視されていました。そのため、業者の売り込みだけで検討するのではなく、自分自身で物件の賃貸需要やメリット・デメリットを見極めることが重要です。また、物件だけでなく、サブリース業者の経営状況やコンプライアンスなどの確認も欠かさないようにしましょう。

アパート経営に成功する人としない人

  • ここまで合計10個のアパート経営にまつわる失敗リスクを見てきましたが、アパート経営に失敗してしまう人と成功できる人とでは、どのような点が異なるのでしょうか。経営方法の違いについて、両者を比べながら理解を深めましょう。

  • 物件や管理会社の選び方

    投資物件を購入するためには、さまざまなデータを集めて検討する工程が欠かせません。その際、「競合物件や周辺の環境はどうなっているか」「入居者のニーズに即しているか」などの情報は、自分の目で直接確認してプランを練ることをおすすめします。特に物件の立地は今後の経営を直接的に左右する要因です。何度も買い替える経営手法は現実的ではないため、事前に入念な下調べを怠らないようにしましょう。

    また、管理会社の選び方も重要です。どのような管理がされているのか実際に物件を見て回ったり、管理物件の空室率を調査したりすることもおすすめです。

    この段階で失敗してしまう人は、物件の売り文句をそのまま鵜呑みにしてしまい、事前調査を怠ってしまう傾向にあるようです。不動産業者に一任してしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があるため注意しましょう。

  • 資金計画

    アパート経営には、初期費用の準備だけでなく、継続的な資金計画が重要です。購入時が新築であった場合も、経年によって何年後かにはリノベーションなどの大規模修繕を行う必要も出てくるでしょう。このような支出を想定し、5年後、10年後、などと長期的に無理のない計画を立てることが必要です。

    長期的な計画を立てずに経営すると、大規模修繕などが「想定外の支出」となり、その時点で途端に経営が立ち行かなくなってしまいます。また、災害によるトラブルや家賃滞納など、修繕以外にもトラブルが発生してしまうことは、アパート経営にとって珍しいことではありません。そのため、何か起こったときのために資金計画を入念に立てることは、アパート経営には欠かせないのです。

  • リスク対策

    アパート経営におけるリスクは、空室以外にもさまざまなものがあります。例えば、「基準金利が変動により返済額の負担が増えてしまう金利リスク」「災害により建物が損害を受けてしまうリスク」「老朽化などによるニーズの減少によるリスク」などが挙げられます。

    資金計画の項目でも触れましたが、「何かトラブルが起こってから行動する」のではなく、事前にこれらのリスクがあることを想定して経営計画を立てることが重要です。トラブルが発生する「危険性」と捉えるのではなく、「あらかじめどのような部分にリスクが潜んでいるのか」「そのリスクを最小限にするためにはどのような対策を練る必要があるのか」を考えるのです。

    実際に失敗してしまう人は、「何か起こってから行動する」というパターンが多い傾向にあります。小さなトラブルであれば都度対処できるかもしれませんが、大きな金額の動きが伴うアパート経営においては、先々のリスクまで考えて早めかつ余裕を持った対策を講じることが求められるのです。

まとめ

  • 今回はさまざまなパターンの失敗リスクをご紹介しましたが、成功すれば大きなメリットを享受できるアパート経営は、常にリスクと隣り合わせのものだと言えます。経営の失敗を防ぐためには、入念な情報収集や、今後発生し得る支出を加味した資金計画などが重要です。失敗談から得られる学びは貴重な情報ですので、アパート経営を検討している人はぜひこの記事を参考にしつつ、アパート経営の実現に向けて調査を進めてみてください。

FAQ

  • Qアイコン アパート経営で失敗しないコツはなんですか?

    アパート経営でうまく行かない理由は様々です(詳細はこちらを参考にしてください)。現況をしっかりと理解し、一つ一つ丁寧に対応することが大事です。

  • Qアイコン アパート経営でうまく行かないです。プロのアドバイスがほしいです。

    当社では無料でコチラから相談を受け付けております。お気軽にご連絡ください。

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アレップス コンテンツ編集部では、アパート経営や不動産投資に関するお悩みを解決すべく日夜スタッフが情報の最新かつ濃密な記事の発信を行っています!

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