公務員による賃貸経営は条件を満たせば違法ではない!ポイントを解説
国を挙げて副業が推進されている昨今ですが、国家・地方ともに公務員の副業は禁止されています。つまり、この原則にのっとると、公務員が副収入を得ようとしたり老後の資産にしようとしたりして賃貸経営を行うことは違法行為にあたるわけですが、実際のところは必ずしもそうとは限りません。一定の条件下であれば、公務員でも賃貸経営を行うことは可能なのです。では、なぜ公務員による賃貸経営が違法と思われるのでしょうか。この記事では、公務員が賃貸経営を行う方法やメリット・注意点、そして実際の失敗事例や成功するためのポイントを解説します。
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まずは、公務員による賃貸経営が違法と思われている原因について見ていきましょう。国家公務員と地方公務員、それぞれ区分して解説します。
国家公務員の規定
国家公務員法では、下記に一部引用して記載する4つの条文に基づき副業が禁止されています。
第99条:信用失墜行為の禁止 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。 第100条:秘密を守る義務 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。 第101条:職務に専念する義務 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。 第103条:私企業からの隔離 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員は、国民全員に対して奉仕する立場にあると定義づけられています。ゆえに、副業を行うこと自体が信用を損なう行為であり、職務に専念する義務から外れた行為であるとされているのです。そして、副業を行うことによって情報漏えいの危険性があり、国民全員への奉仕者という立場上営利企業とは相いれない性質を有していることからも、やはり副業は禁止されているということになります。地方公務員の規定
続いて、地方公務員法についても見てみましょう。下記に一部引用する4つの条文に基づき、地方公務員もまた、副業が禁止されています。
第33条:信用失墜行為の禁止 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の色全体の不名誉となるような行為をしてはならない。 第34条:秘密を守る義務 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。 第35条:職務に専念する義務 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。 第38条:営利企業への従事等の制限 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第1項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第22条の2第1項第2号に掲げる職員を除く。)については、この限りではない。
地方公務員も国家公務員とほぼ同様で、副業を行うことは信用を損なう行為であり、情報漏えいの危険性があり、職務に専念する義務から外れた行為とされています。そして、非常勤職員や短時間勤務者など一部職員を除き、全ての地方公務員はいかなる営利企業であっても携わることを禁止されているのです。営利目的での副業は原則として禁止されている
前項までで解説したように、公務員は国民全員、または地方自治体の住民全員に奉仕する立場にあります。その範疇を超えた営利目的の行為はいかなる場合であっても法律で禁止されており、それは賃貸経営も同様です。「利益を得ることを目的とした副業」としての賃貸経営は、先に紹介した法律に抵触するため、原則としては禁止されていることになります。
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法律で副業が禁止されているのであれば、公務員はどのようにして賃貸経営を行うのでしょうか。実は、一定の条件下であれば公務員であっても本職とは別に賃貸経営を行えるのです。
国家公務員については「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)」にてその旨が明記されています。地方公務員については、国家公務員のように国として明確な規則が定められているわけではなく、自治体ごとに規則が定められているようです。しかし、総務省による「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査(2019年4月1日時点)」では、少なくはない件数の兼業が行われていることが判明しています。
参考:人事院規則一四―八(営利企業の役員等との兼業) | e-Gov法令検索
営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査(H31.4.1時点) 別添1
ここでは、公務員が賃貸経営を行うための3つの条件について紹介します。条件①5棟10室未満規模の物件
国税庁の「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」によれば、「貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること」「独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること」が事業として取り扱われる基準とされています。
参考:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁
つまり、5棟10室未満であれば事業=営利目的としては認められないため、公務員であっても賃貸経営が可能ということです。条件②家賃収入は年間で500万円未満まで
「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)」によれば、不動産の賃貸料収入の合計が年額500万円以上である場合、営利目的の活動として見なされると明記されています。
ということは、年間の家賃収入が500万円未満であれば事業とは認められないこととなり、公務員であっても賃貸経営が可能となるのです。
しかし、賃貸経営においては支出が大きな課題となります。年間500万円未満の家賃収入でローンや修繕費用、固定資産税といった支出を賄いつつ、利益を出すのは簡単ではありません。年間の家賃収入は500万円を超えないこと、そして家賃収入と支出のバランスを悪くしないことが重要です。
参考:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について条件③管理業務は不動産業者に一任する
公務員には、法律で「職務に専念する義務」が課されています。よって、公務員としての職務に関係のない業務に携わってはいけません。これは、賃貸経営も同様です。
そのため、公務員が賃貸経営を行う場合は、不動産業者に全ての業務を一任することになります。仮に、公務員が賃貸経営に携わってよいとしても、その業務は多岐にわたるため、本職との両立は相当に難しいでしょう。いずれにせよ、賃貸経営はプロに任せることが一番です。-
原則として、公務員が賃貸経営を行えるのは前項にて解説した3つの条件を満たしている場合に限ります。しかし、当人が物件を相続した場合など、条件が満たされていない物件を所有するケースも考えられるでしょう。そのような場合は、一定の手順を踏んで申請を行えば賃貸経営が認められる場合もあります。こうした例外的なケースについても見ていきましょう。
申請書類について
まずは申請に必要となる書類についてです。必要な書類は以下の4点となります。
地方公務員の場合、自治体によって申請方法が異なるケースもあるようです。
・自営兼業承認申請書
・不動産管理の委託契約書
・物件概要書
・貸借条件一覧表(不動産収入管理表)
これら書類の提出先としては、所属部署の所属長、または人事課の担当者が挙げられます。申請のタイミング
申請自体はいつ行っても構いません。しかし、申請してから承認されるまでに時間がかかる場合も想定されるため、できる限り早めの申請が望ましいでしょう。
また、申請したからといって必ず承認されるとは限りません。仮に「物件を相続した後で申請を行い、承認を得られなかった」ケースを考えると、賃貸経営にかかる各種手続きや費用が無駄になり、損失を被るだけになってしまいます。そのため、最も望ましい申請のタイミングとしては、「物件を相続する前」または「賃貸経営を開始する前」の早い段階でしょう。申請が通りやすい物件の特徴
公務員による、条件を超えた賃貸経営の申請許可が下りやすいケースとしては、「相続」および「リロケーション」が該当します。
たとえば、親族の所有していた物件を相続することになった場合、その物件が「5棟10室以上」「想定される家賃収入が500万円以上」という条件下にある可能性は大いにあり得ます。本来、このような条件下にある物件の経営は禁止されていますが、相続によって所有することになった物件を理由に退職勧告をしたり、強制的に物件の売却を迫ったりすることは公務員であってもできません。もちろん申請と承認があってこそ成立するものですが、このような場合は公務員でも、賃貸経営の条件を満たさない物件の経営を行うことが可能です。
もう一つ、申請が通りやすいケースとしてはリロケーションが挙げられます。リロケーションとは、「何らかの理由で当該物件の住人が一定期間不在となるにあたって、当該物件を貸し出すこと」です。リロケーションを行う場合、賃貸借契約の更新を前提とした「普通賃貸借契約」ではなく、契約更新は前提としない「定期賃貸借契約」に基づいて契約を結ぶケースが一般的とされています。
国家公務員の場合、頻繁に転勤を行うことが想定される他、地方公務員であっても、都道府県庁勤務者の場合は各都道府県内の遠隔地に転勤することがあるでしょう。もちろん、転勤以外でも家庭の事情で一時的に物件から離れることになるケースも考えられます。この際、気になるのが物件に残されている住宅ローンです。たとえば転勤先の賃貸物件で家賃を支払いつつ、ローンを組んだ住宅についても出費が重なると、経済的にそれなりの負担になることが予想されます。その対策として有効なのがリロケーションなのです。
仲介・管理・家賃収集を不動産業者に一任し、無事入居者が決まれば、転勤しても定期的に家賃収入を得られるだけでなく、住宅ローンや不動産業者への支払いにも充てられるでしょう。
転勤、または一身上の都合によって、住宅ローンの残った物件を一時的に手放さざるを得なくなってしまった場合、申請は通りやすいといえます。申請が通りにくい物件の特徴
一方、賃貸経営の主たる目的が「収入を得ること」にある場合、申請許可は下りづらいかもしれません。先述した3つの条件を満たしている状態であれば問題ありませんが、それ以上の条件下にある物件で賃貸経営を行う場合、単に副収入を得たいという理由では申請しても許可されないケースが多いでしょう。
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公務員が賃貸経営を行うメリットは意外にも多く存在します。代表的な6つのメリットについて見ていきましょう。
ローンの審査に通りやすい
公務員という特性上、社会的信用度は高い傾向にあります。なぜなら、民間企業における倒産のおそれと異なり、国家や自治体が崩壊しない限りは職を失う心配はなく、安定して給与を得続けられるからです。ゆえに、ローンの審査に通りやすいというメリットがあります。
低金利での融資を受けやすい
社会的な信用度が高い公務員の場合、審査の厳しい低金利のローンであっても、民間企業のサラリーマンなどと比べると融資を受けやすい傾向にあります。
通常のローンであれ低金利のローンであれ、融資の受けやすさは公務員ならではのメリットといえます。少額で始められる
一般的に、賃貸経営を行う場合は「物件購入価格の3割程度は自己資金が必要」とされています。もちろん、フルローンで経営をスタートすることも可能ですが、後々の返済を想定すると、ある程度は自己資金で賄っておいた方が安心です。
とはいえ、購入価格の3割という自己資金を誰もが準備できるとは限りません。その点、社会的に信用度が高い公務員であれば、融資を受ける際の与信枠が高めに設定されやすく、手持ちの資金が少額でもローンを活用して賃貸経営を始められやすいのです。
当然、自己資金が少なくローンが多いということは、確実な返済計画を立てておかないと後悔することになるため、自己資金が多いのに越したことはありません。それでも、少額から賃貸経営を始められる可能性が高い点は大きなメリットでしょう。不労所得が得られる
厳密な意味合いでの不労所得とは、「不動産業者との契約を行う工程」「自己資金の確保」「融資を受けるための手続き準備」などがあるため若干異なるかもしれません。しかし、賃貸経営を始めて経営が軌道に乗れば、オーナーである公務員の方々は毎月、物件管理は不動産業者に一任した状態で家賃収入を得られます。給与以外の収入が毎月、安定して入ってくることは精神的な余裕にもつながり、本職である公務員としてのパフォーマンスにも良い影響を与えてくれるかもしれません。単に副収入が得られるというだけではなく、生活や仕事への恩恵というメリットとしても考えられるでしょう。
相続税の対策になる
国税庁の「No.4602 土地家屋の評価」によれば、その他の項目に「相続した宅地等が事業の用として使われている場合には、限度面積までの部分についてその評価額の一定割合を減額する相続性の特例」があると定められています。これは「小規模宅地等の特例」とも呼ばれているもので、相続した宅地を賃貸経営に使用する場合、限度面積(200㎡〜400㎡)に応じて相続税が減額される制度です。この制度を活用すれば、相続に際して頭の痛い問題である相続税の対策になるでしょう。
公務員の場合、賃貸経営可能な物件は小規模であるケースが多いと想定されるため、知っておいて損はない制度です。
参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁本業に影響することがない
前提として、公務員は「職務に専念する義務」が法で定められており、本業以外の営利活動に携わることは原則として許されていません。そもそも、週5日フルタイムで勤務をしている公務員の方に賃貸経営を独力で行う余裕もないため、必然的に不動産業者を頼ることになります。不動産業者は物件の所有者である公務員に代わり、仲介・管理業務の一切を執り行ってくれるため、所有者である公務員が行う作業としては、家賃収入の確認と管理状況の報告を受けることくらいです。結果として、本業に影響することがないため、公務員としての業務に専念しながら副収入を得られることになります。
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公務員が副業として賃貸経営を行うメリットは複数ありますが、同様に、経営を行うにあたって注意しておかなければならない点も複数存在します。特に注意しておきたい7つのポイントについて見ていきましょう。
法律違反によって懲戒処分になるおそれ
公務員による賃貸経営は、あくまでも法的に認められた状態で行うことが必須です。仮に、未申告の状態で賃貸経営を行ってしまった場合や、得た所得を正確に申告していなかった場合など、このような際には法律違反に該当し懲戒処分となるおそれがあります。減給となるケースもあれば、最悪の場合、職を失うケースもあるため、法律に則した状態で賃貸経営に携わるようにしましょう。
確定申告の必要性
公務員として勤務しているだけならば、源泉徴収があるため個人的に何かしらのアクションを行う必要はありません。しかし、副業として賃貸経営を行っている場合、そして年間の家賃収入が20万円を超える場合は、経営開始の翌年から確定申告を行う必要があります。
公務員の方の場合、確定申告に不慣れな場合は多いかもしれません。基本的に、確定申告の期間は2月16日から3月15日です。この間に、直接税務署に赴いたり、オンラインで行ったりして確定申告を済ませます。併せて必要となるのが、「毎月の帳簿付け」「帳簿の証明となる必要書類の保管」「確定申告の書類への記入、またはオンラインでの入力」です。申告が完了したら、5月から6月頃に所得税の納付書が届きますので、忘れずに支払うようにしましょう。
なお、仮に賃貸経営における収支が赤字であっても、公務員としての給与所得と損益通算することが可能であり、黒字の場合は「青色申告」によって最大65万円の特別控除を受けられる可能性があります。
確定申告を行わないと脱税と見なされてしまいますが、適切に行えば問題はないため、しっかりと準備・確認をしたうえで確定申告を行いましょう。
参考:確定申告が必要な方|国税庁
No.2072 青色申告特別控除|国税庁不動産経営における各種リスク
自らが直接携わることはほとんどないとはいえ、不動産を経営するにあたって想定されるあらゆるリスクについては確実に把握しておきましょう。主なリスクと対策は以下の通りです。
リスク 対策 空室 立地や経年劣化について認識しておく 賃料下落 できる限り空室状態を防ぐ ローン返済 自己資金を十分用意しておく 修繕 修繕積立費用を用意しておく 家賃滞納 入居審査の厳しい業者を選定しておく 入居者トラブル トラブル対応に長けた業者を選定しておく 金利上昇 自己資金を十分用意しておく 災害 保険の加入・ハザードマップの確認を行う 申請が下りる前の無許可経営はNG
「申請のタイミング」の項でも述べましたが、申請自体はいつ行っても構いませんし、申請が下りれば賃貸経営を行うことに問題はありません。しかし、申請が下りる前に経営をスタートすることだけは絶対にやめましょう。無許可での経営となり、法律違反となります。
事業規模の拡大は不可能
公務員という特性上、低金利の融資審査に通りやすいというメリットがあるため、リスクが低い状態における賃貸経営の拡大を考える方もいるかもしれません。しかし、公務員は「5室10棟未満」かつ「年間の家賃収入500万円以下」という制約が課されています。相続やリロケーションの場合を除き、この制約を超える賃貸経営の申請を行っても許可されないことが想定されるため、事業規模を拡大することは不可能と認識しておいたほうがよいでしょう。あくまでも「公務員の賃貸経営」において許される範囲で経営に携わることをおすすめします。
大きな節税効果は期待できない
メリットとして、相続税対策になる点は挙げましたが、大きな節税効果はあまり期待しない方がよいでしょう。たとえば、年収が1,000万円を超える方の場合、賃貸経営の収支が赤字であっても損益通算で所得税を抑えることが可能です。しかし、そこまで高い年収ではない方の場合、「節税効果」と呼べるようなメリットは期待できません。
もちろん、節税効果がないというわけではありませんが、節税を謳う不動産業者の言葉を鵜呑みにしないよう気を付けることが重要です。本質は営利事業である点を忘れない
大前提ではありますが、なぜ公務員の身でありながら、賃貸経営に手を出そうと考えるのでしょうか。自問するまでもなく、「給与以外の副収入が欲しいから」という回答が返ってくるでしょう。全くもってその通りであり、賃貸経営の本質は営利事業です。制約はあれど、利益を得るために行うもの、それが賃貸経営となります。
「相続したから仕方なくやっている」「転勤に伴い、一時的に空室となるから仕方なく誰かに貸す」という意識ではなく、折角ならば制約内でしっかりと利益を得られるように努めるのがおすすめです。-
事前に申告を行い、許可を得た状態で経営するのであれば問題ありませんが、中には未申告・未許可の状態で賃貸経営を行う公務員の方が存在するのも事実です。2つの事例を挙げつつ、公務員の賃貸経営における失敗の理由を見ていきましょう。
事例①住民税により発覚
ある自治体に勤めていたAさんは、「5棟10室未満」の条件を超える物件を申告せずに経営していました。経営はうまくいっており、常時満室状態で家賃収入は相当な額が入っていたそうです。給与と合わせて所得が増えるため住民税の額も増えますが、勤務先自治体における住民税の納付担当者がAさんの住民税額に疑念を抱きました。調査したところ、Aさんが未申告の状態で制約を超える賃貸経営を行っていたことが明らかになり、減給処分を受けることになってしまったのです。
事例②SNSから発覚
国家公務員として勤務していたBさんは、転勤に伴いしばらくの間住居が空室となるため、ちょうど部屋を探していた知人に一定期間、部屋を貸すことにしました。しかし、この件についてBさんは勤務先には伝えず、管理会社を通して家賃収入を得続けていました。
ある時、部屋を借りていたBさんの知人が、何気なく発信したSNSの投稿がBさんの勤務先に伝わってしまい、Bさんが勤務先に無許可で賃貸経営を行っていることが明らかになったのです。国家公務員法に違反したとして、Bさんは懲戒処分を受けることになり、職を失ってしまいました。無許可副業はほぼ確実に発覚する
以上、2つの事例を紹介しましたが、無許可での賃貸経営はほぼ確実に発覚します。「許可を得るのが面倒だった」「そもそもNGだと知らなかった」では済まされないため、公務員の方が賃貸経営に携わる場合は、必ず、許可を得るようにしましょう。
家族名義での副業NG
所得税法の第12条「実質所得者課税の原則」にはこのように記載されています。
「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する」
参考:所得税法 | e-Gov法令検索
つまり、実質所得者=本人でなければ副業は認められません。家族名義で副業を行ってしまった場合、脱税と見なされるおそれがあります。これは賃貸経営に限らないため、くれぐれも、家族名義での副業を行うことは割けるようにしましょう。-
最後に、公務員による賃貸経営の成功において把握しておきたい3つのポイントについて紹介します。難しくはありませんが、いざ実行するとなると大変な側面もあり、重要でもあるため、しっかりと認識しておきましょう。
高額物件を勧められても慎重に対応する
公務員という特性上、高額の融資が下りやすいため、不動産営業マンの中には高額物件を勧めてくるケースがあります。しかし、高額だからといって空室に代表されるようなリスクが低いとは限らず、折角購入したのはよいものの家賃収入が入ってこず、出費だけがかさむというおそれもあるのです。営業マンの言葉は鵜呑みにせず、立地や周辺環境などを調査し、需要のある物件かどうかを慎重に判断することが重要となります。
不動産投資に関する勉強が不可欠
実際に仲介・管理業務を行うのは不動産業者ですが、投資を行うのは公務員であるあなた自身です。投資するということは、相応のリターンを得ることが最終的な目的になります。結果的に赤字になり、家計が火の車になるようでは投資の意味がないため、事前に不動産投資に関する勉強をしておくことが必要です。必ずしも専門的に勉強することはありませんが、不動産投資の仕組みやどのような物件であれば利益を得やすいのかなど、不動産営業マンの口車に乗せられない程度には知識を蓄えておくとよいでしょう。
信用に足る不動産業者に相談する
物件を購入するにあたって、最も重要といっても過言ではないのが、自分に合った不動産業者を見つけることです。一方的に売りつけようとするのではなく、顧客の利益になり得る物件を紹介してくれて、疑問点や不安点を適格に解消してくれるような業者が理想でしょう。
信用に足る不動産業者を見つけるためには、時間はかかりますが、複数社を比較して最も自分に合っていると思われる業者を選定することが必要です。-
公務員として勤務しながら賃貸経営を行うことは可能です。自身で購入する、あるいは相続やリロケーションであっても、事前に許可をもらい法律で定められた範囲内で経営に携わる分には問題ありません。その際に重要なのが不動産業者選びですが、公務員として勤務しながら良い業者を選ぶのは大変な労力が必要です。当社では、公務員の方でも安心して賃貸経営を行えるように各種ご相談を承っております。これから賃貸経営をスタートしてみたいという方はぜひ、お気軽にご相談ください。
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