相続した家を売却するにはどうすれば良い?メリットや注意点などを解説
地主が亡くなると、相続人となった方は家を相続します。しかし、家の相続は頻繁に発生することではないため、手続きや費用について分からない方も多いのではないでしょうか。中には、相続した家の売却を検討している方もいるでしょう。家を売却する際は、名義変更や不動産業者との契約、家の掃除や引っ越しなどやるべきことはたくさんあります。しかし、家を売ることで得られるメリットもあるのです。
この記事では、相続した家を売却するまでの流れや売却するメリット、売却時の注意点について解説します。また、家の売却時に発生する税金や特別控除についても紹介します。
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相続した家を売却する際は、いくつかの段階を踏んで行われます。では、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。まずは、相続した家を売却する際の流れについて確認しましょう。
相続が発生する
相続は、被相続人の死亡によって発生します。被相続人は「亡くなった人」であり、「故人」とも呼ばれます。一般的に、相続が発生すれば被相続人の葬儀を行いますが、葬儀を行わなくても四十九日の法要は大半の家庭が行うのではないでしょうか。そのため相続人は、その四十九日後に「遺産分割協議」という被相続人の財産を分ける話し合いで決めるケースが多いようです。なお、相続人は「遺産を相続する人」のことで、「家を引き継ぐ人」を指します。
遺産分割協議を行う
被相続人が遺言書を残していた場合は、原則その内容に従うことになるでしょう。しかし、被相続人の遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決定します。その際に、家の相続人も協議で決定されます。
相続人が複数人いる場合、遺産分割協議が終了するまでの間の相続財産は、相続人全員の共有財産です。つまり、協議に参加している相続人全員が納得する形であれば、遺言書による指定相続分と異なっていても問題はありません。なお、遺産分割協議は相続人の誰が進行させても良いことになっています。名義変更を実施する
家の相続人が決定したら、法務局で被相続人の名前から相続人の名前に名義変更手続きをします。これは相続による所有権移転登記、いわゆる「相続登記」の手続きです。相続登記の手続きは必須ではありませんが、相続した家は故人名義のまま売却することはできないため、将来的に売却を考えているのなら相続登記が必要となります。
売却予定がない場合でも、相続登記をしないまま放置するのはおすすめできません。なぜなら、他にも相続人がいる場合、勝手に共有相続登記をされてしまうことや、勝手に第三者に譲渡されてしまうといったトラブルにつながる恐れがあるからです。
また、名義変更が行える法務局は平日しか開いていません。相続登記の手続きには多くの書類が必要となるので、余裕を持って準備しておきましょう。なお、手続きの際は、複雑であることや法務局が平日にしか開いていないことから、司法書士に依頼するケースが多い傾向にあります。不動産業者へ依頼を出す
相続登記の手続きをおえたら、相続した家を売却します。不動産を売却することになるため、仲介をしてくれる不動産業者を探し、媒介契約を結びましょう。仲介を依頼すると、自身が相続した不動産の情報が取引市場に出回ります。 なお、不動産業者の媒介契約には以下の3種類があります。
1. 専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、買い手が見つかりやすいのが特徴です。媒介契約の有効期限は最大で3か月と短いため、不動産業者は力を入れて買い手を探します。この契約では、不動産業者は1週間に1度以上の頻度で、依頼者に進捗状況の報告をする義務があります。
注意点として、依頼者が自分で買い手を見つけて契約を結ぶことはできません、そのため、信頼できる不動産業者を選びましょう。
2. 専任媒介契約
専任媒介契約は専属専任媒介契約と似ていますが、いくつか異なる点があります。中でも大きく異なる点は、専任媒介制約は依頼者が自分で買い手を見つけた場合、不動産業者を介さずに不動産を売却できるということです。
媒介契約の有効期限は最大で3か月、不動産業者は2週間に1度以上の頻度で依頼者に進捗状況の報告をする義務があります。専任媒介契約は、買い手の目途が立っている方向けといえるでしょう。
3. 一般媒介契約
一般媒介契約は、複数の不動産業者に仲介依頼できます。媒介契約の有効期限はなく、不動産業者が依頼者に進捗状況の報告をする義務もありません。また、自分で探してきた買い手と不動産業者を介さず契約締結が可能です。自由度が高い契約ですが、その分買い手が見つかるまでに時間がかかってしまうケースもあります。
なお、一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があります。明示型は依頼者が不動産業者に対して「他に媒介契約を結んだ不動産業者」を報告しますが、非明示型は報告しないのが特徴です。物件の調査が実施される
不動産業者と媒介契約を結ぶと、物件の調査が実施されます。これは不動産の価格を決めるためのものです。不動産の価格は、「種別」「土地・建物の面積」「築年数」「使用状況」といったさまざまな要因によって決まります。そのため、現地調査・法務局調査・役所調査・近隣の市場調査を行ったうえで、物件の売却価格が決定するのです。
売買契約を締結する
買い手が見つかったら売買契約を締結します。不動産の売買は大きな金額の取引であるため、売買契約書などの書類をしっかりと準備しましょう。
以下は、一般的な売買契約締結当日の流れです。
1. 売り手と買い手の顔合わせ
2. 売却する不動産の説明
3. 売買契約書の確認、記入と押印
4. 手付金を受け取る
後のトラブルを避けるため、少しでも疑問や気になることがあった場合は、必ずその場で確認しましょう。残金決済を行う
残金決済とは、手付金以外の残代を決済すること、またはその決済日を指します。多くの場合、引き渡しの日に売買代金(残金)を支払ってもらうことになるでしょう。しかし不動産売買の場合、売買契約時に手付金を支払い、物件の引き渡しは約1か月後となります。支払いの主な内訳は固定資産税などの税金関係、売買の残代金、登記費用、仲介手数料です。売り手・買い手・銀行の融資担当者・不動産業者・司法書士が集まり、しっかりと確認をしながら決済を行います。
引き渡す
設備関係の説明書や家の鍵を準備し、できるだけきれいな状態で買い手に物件を引き渡します。決済日当日までに物件の片付けや電気・水道・ガス代などの契約解除、引っ越しを済ませておきましょう。なお、決済や引渡しは法務局や銀行などの兼ね合いから、平日の午前中に行われるのが多い傾向にあるようです。
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相続した家を売却すると、トラブル回避につながり、費用や手間も省けます。もし、不要な物件を所有していた場合は売却を検討してみても良いかもしれません。ここでは、具体的なメリットを4つ解説します。
平等に分配できる
不動産の相続人が複数いる場合、トラブルが起こりやすい傾向にあります。理由として、分配が簡単な現金とは異なり、不動産の場合は物件を平等に分割できないからです。そのため、相続人同士で納得するまでしっかりと話し合い、誰が相続するかを決定する必要があります。
このような場合は、換価分割をおすすめします。換価分割とは、動産を売却することによって得られた利益を分割する方法です。現金を分割するため、相続人同士のトラブルにつながりにくく、平等に分配できます。維持費がかからない
家を売却すると、税金や保険料などの維持費がかからないのもメリットの一つです。一方で、使用していない家をそのまま放置していると、多くのデメリットが発生するでしょう。特に、平成26年11月には「空き家等対策特別措置法」が成立し、空き家に対する取り組みが強化されています。
この法律における主な取り組みは以下の通りです。
・空き家の実態調査
・空き家所有者に対する適切な管理指導
・空き家跡地についての活用促進
・適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定可能
・特定空家に対する助言・指導・勧告・命令が可能
・特定空家に対する罰金や行政代執行が可能
空き家を放置していると「特定空家」に指定され、罰金の発生や行政指導を受ける恐れがあります。加えて、特定空き家に指定されると、居住用建物に対する固定資産税の優遇措置がなくなるデメリットも発生してしまうのです。そのため、空き家は放置せず売却することをおすすめします。維持管理の手間を省ける
たとえ空き家でも、周辺住民に迷惑をかけないように外観を保つ必要があります。そのためには、定期的なメンテナンスや庭の手入れをしなくてはなりません。維持・管理費には思った以上に費用がかかる場合もあるため、「家を相続した結果多くのお金がかかってしまった」というケースも少なくないのです。
しかし、費用が掛かるからといって相続した家の維持管理を怠ると、トラブルに巻き込まれる場合があります。管理不足によって財産が毀損されると、債権者が債権回収できなくなったり、受遺者が遺産をもらえなくなったりするため、相続放棄者の管理責任として損害賠償請求されるリスクが出てくるのです。また、倒壊した外壁によって通行人がけがをした場合には、被害者から損害賠償請求される恐れもあります。そこで、家を売却することによってこのようなリスクは減らせるでしょう。トラブルを回避できる
実は、空き家に関する近隣トラブルは少なくありません。特に相続した家が遠方にある場合、定期的なメンテナンスが難しかったり、様子が分かりにくかったりするでしょう。そのため、自身が気づかないうちにトラブル要因が発生しているかもしれないのです。
以下は、空き家を長い間放置していたことによるトラブルの一例となります。
・建物が老朽化して倒壊してしまう
・庭木の手入れを怠ったために道路や他人の敷地にはみ出してしまう
・外壁の一部がはがれ落ちて近隣の家に落下する
居住中の家からの飛来物であれば、家の持ち主に損害賠償責任が問われませんが、管理を怠っていた空き家からの飛来物は相続人が責任を負わなくてはいけません。そのため、トラブルを避けたい場合は家の売却が効果的といえるでしょう。-
家を売却する際にかかる税金は、契約書作成にかかる「印紙税」と売却で利益が出た場合にかかる「譲渡所得税」です。居住している家の売買に関しては、住み替え促進のためにある程度優遇されていますが、居住していない家の売却に関しては、税金が高くなりやすいため注意しましょう。
印紙税
家を売却する際は、買い手と売買契約を結ぶために売買契約書を作成します。契約書作成にあたって課税されるのが印紙税です。印紙税は、物件の売却金額に応じて課税されます。
なお、物件の契約金額ごとの本則税率と軽減税率は以下の通りです。契約金額(売却価格) 本則税率 軽減税率 10万円超、50万円以下 400円 200円 50万円超、100万円以下 1,000円 500円 100万円超、500万円以下 2,000円 1,000円 500万円超、1,000万円以下 10,000円 5,000円 1,000万円超、5,000万円以下 20,000円 10,000円 5,000万円超、1億円以下 60,000円 30,000円 1億円超、5億円以下 100,000円 60,000円 5億円超、10億円以下 200,000円 160,000円 10億円超、50億円以下 400,000円 320,000円 50億円超 600,000円 480,000円 所得税と住民税
住民税と、復興特別所得税を含む所得税をひとまとめにしたものが「譲渡所得税」です。譲渡所得税は、不動産を売却したことによる利益(譲渡所得)が発生した場合に、その利益に対し一定の割合で課税されます。
譲渡所得税の金額を算出するためには、譲渡所得の金額を計算する必要があります。
・譲渡所得の計算式
不動産の売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
計算式における取得費とは、売却した不動産を取得した際にかかった購入代金と、維持管理費などを含めた費用です。また、譲渡費用は不動産売却時に支払った費用です。
譲渡所得の金額が分かれば、譲渡所得税がどのくらい課されるのかも分かります。以下は、譲渡所得税の税率です。所有期間 所得税 住民税 合計税率 短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9% 39.63% 長期譲渡所得 5年超え 15.315% 5% 20.315% 軽減税率 10年超え 10.21% 4% 14.21% -
相続した家を売却する際は、特別控除を活用できる可能性があります。上手に利用すれば所得税を大幅に減らせるため、事前に適用条件などを確認しましょう。
居住用財産の3000万円特別控除
「居住用財産の3000万円特別控除」とは、相続後に居住している不動産を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円が控除される特例です。大きな控除額なことから、場合によっては譲渡所得税や住民税をゼロにできる可能性もあるため、とても魅力的な制度といえます。
なお、居住用財産の3000万円特別控除の適用条件は以下の通りとなります。
・自分が住んでいる家屋、または家屋共に敷地や借地権を売却すること
・家屋を取り壊した場合、売却まで住居以外に使用していないこと
・取り壊した日から1年以内に契約をすること
・居住しなくなってから3年目の12月末までに売却すること
・売主と買主が親子や夫婦などの関係ではないこと
・売却した年に住宅ローン控除を受けていないこと
あくまでも日常的に居住し、生活の拠点になっている場合に適用される控除であるため、別荘として使用している場合や、この特例を受けるためだけに居住した場合は対象外となる点に注意しましょう。相続空き家の3000万円特別控除
「相続空き家の3000万円特別控除」は、正式名を「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。相続後に居住せず空き家になった不動産を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円が控除される特例です。こちらも、場合によって譲渡所得税をゼロにできる可能性があります。適用条件は以下の通りです。
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・マンションではないこと
・売却時の耐震基準に適合した家屋であること
・相続開始直前まで被相続人が居住していた家屋であること
・相続開始直前に被相続人以外で居住していた者がいないこと
・これまで人に貸していないこと
・相続日から3年目の12月末日までに売却すること
・平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売却すること
・売却価格が1億円以下であること
耐震基準のみクリアできていない場合は、耐震リフォームをするか、解体して更地にすることで控除を受けられるようになります。取得費加算の特例
「取得費加算の特例」は、正式名を「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」といいます。家を相続した日から「3年10か月以内」に譲渡した場合、譲渡所得税から一定の額を差し引ける特例です。この特例は、相続した家に居住していた場合と、そうでない場合にも使えます。取得費加算の特例の適用条件は3つあり、以下の全てを満たしている必要があります。
・相続または遺贈によって取得した財産であること
・相続時に相続税が課されており納税していること
・相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却していること
なお、特例を使わない場合と使った場合の譲渡所得税を、算式で比較すると以下の通りです。
・「取得費加算の特例」を使わない場合の譲渡所得税
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
・「取得費加算の特例」を使った場合の譲渡所得税
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用 + 取得費加算額)
このように、取得費加算の特例を使えば相続税額の一定額を「取得費加算額」として差し引きでき、譲渡所得税を大幅に減らせます。小規模宅地等の特例
「小規模宅地等の特例」は、面積が330㎡までの宅地を売却する際に、条件に当てはまればその土地の評価額を80%減額できる特例です。条件はやや厳しくなっていますが、適用となれば相続税を大幅に減額できます。適用条件は以下の通りです。
・宅地を相続した子が、相続の3年前までに自己所有(または配偶者、3親等以内の親族、特別な関係のある法人)の家屋に住んでいないこと
・被相続人(親)に配偶者や同居の親族がいないこと
・その土地を相続税の申告期限まで所有していること
・家を持たず賃貸住宅に住んでいる子などが実家を相続した場合
なお、小規模宅地等の特例を受けると相続税を減らせる一方で、実家を譲渡した際の取得費に加算できる相続税も減ります。つまり、譲渡所得税が高くなってしまう恐れがあるのです。小規模宅地等の特例で相続税を減らした方がお得なのか、特例を受けずに取得費加算の特例を利用する方がお得なのかを、しっかりと検討しましょう。-
相続した家を売却する際はメリットだけではありません。不動産の売却には大きなお金が動くため、注意も必要です。相続した家を少しでもお得に売却したり、税金や他の相続人とのトラブルを避けたりするためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
3年以内の売却を目指す
相続した不動産を売却する場合は、3年以内が目安です。理由としては相続不動産で利用できる取得費加算の特例や、相続空き家の3,000万円特別控除を受けるための条件は、家を相続してから3年としているためです。 どちらもある程度過ぎていても間に合いますが、基本的に不動産の売却手続きには半年以上の時間がかかります。そのため、家の売却は早めに検討し、3年以内を目指しましょう。
不動産会社を見極める
相続した家を売却するために重要なのは、最適な値段でスムーズに買い手を探してくれる不動産会社を見つけることです。相続した不動産には、特例を受けられる期限や相続税の納税期限があります。そのため、これらの期限が有効なうちに売却するには、相続不動産の扱いに慣れている不動産会社を見極める必要があるのです。
しかし、不動産会社は会社によってメイン事業が「賃貸仲介」であったり、「マンション売買」であったりします。それぞれ特性が異なるため、相続不動産の売却に強い不動産会社を見つけて契約しましょう。共有名義の家の売却には全員の同意が必要
共有名義の家を売却する場合は、共有者全員からの同意が必要です。また、この同意には「売ること自体の同意」と「価格の同意」があり、それぞれを共有者全員から得る必要があります。
スムーズに売却を進めるために、あらかじめ共有者全員で「いくら以上なら売る」という最低売却価格を決めておくと良いでしょう。最低売却価格を決めておくことで、複数の不動産会社から査定結果をもらった際に、契約先の候補を絞りやすくなります。購入希望者から値引きの要請があった時にも、意思決定しやすくなるでしょう。取得費は引き継がれる
個人が不動産を売却する際には、以下の計算式で譲渡所得を計算します。
譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 譲渡所得
上記の計算式にある取得費とは、売却した不動産を取得した際にかかった購入代金と、維持管理費などを含めた費用です。相続不動産における取得費は、非相続人(親)の購入額を引き継ぐ形となります。つまり、相続した家を売却するためには、親がその家を購入した時の売買契約書を探して、所得費を知ることから始める必要があるのです。所有期間は引き継がれる
相続不動産の場合、所有期間は親の購入日から引き継ぐことになります。つまり、譲渡所得が発生した際には、所有期間に応じた税金がかかるのです。
税率は、「家を売却する年の1月1日時点での所有期間」で判断されます。具体的には、1月1日時点で5年超の場合は「長期譲渡所得」、1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。なお、それぞれの税率は以下の通りです。所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 長期譲渡所得 5年超え 15% 5% 単独登記型は贈与にならないように注意する
遺産分割方法の一つに「換価分割」があり、不動産をはじめとする相続財産をお金に換金し、それを相続人が分割する方法です。換価分割には、税負担軽減の効果があります。
なお、換価分割の種類は「共同登記型」と「単独登記型」に分けられます。共同登記型は、複数の相続人で不動産を共有したまま売却する方法で、分割方法は法定相続を選択します。
また、単独登記型は不動産を特定の相続人が単独所有し、売却後にそのお金を他の相続人に分配する方法です。分割は遺産分割協議を選択します。単独所有物件の売却は、意思決定がスムーズで、所有者本人だけで売却手続きを進められる点がメリットです。
しかし、単独登記型で家を売却し、所有者が受け取った現金を他の相続人に配分すると、贈与行為とみなされる恐れがあるかもしれません。お金の配分が贈与とみなされないよう、対策をする必要があります。具体的な対策として、遺産分割協議書に換価分割目的で遺産を取得することを明記しましょう。単独登記型で家を売却する際は、遺産分割協議の時点で売却方法と分割方法を決めておく必要があります。税金特例の違いに気を付ける
前述の通り、相続した家に居住している場合と、そうでない場合では、受けられる税金特例が異なります。相続した家に住んでいる場合は、使いやすい特例が複数あるため、売却時に節税がしやすくなります。しかし、相続した家に住んでいない場合は利用条件の厳しい特例が多く、売却時の節税がしにくくなるのが特徴です。
取得費が分からない場合は代替資料を探す
取得費とは、売却した不動産を取得した際にかかった購入代金と、維持管理費などを含めた費用を指します。相続不動産における取得費は、非相続人(親)の購入額を引き継ぐ形となるため、親が家を購入した時の売買契約書を探して、取得費を知る必要があるのです。
しかし、売買契約書の紛失などにより、取得費が分からなくなってしまった場合は、別の方法で調べるか、代替資料を用意しなければなりません。以下は、取得費を調べる方法と代替資料の取り方です。
・親が家を購入した時に新築物件だった場合、当時の販売ディベロッパーから売買契約書の写しをもらう
・親が家を購入した時に仲介してくれた不動産会社や売主から、購入当時の売買契約書の写しをもらう
・通帳の出金履歴から家の購入額を推測する
・住宅ローンの金銭消費貸借契約書から家の購入額を推測する
・抵当権設定額から家の購入額を推測する
上記の方法で所得費を調べた場合、後から否認されないようにあらかじめ税務署に相談しておくと良いでしょう。-
この記事では、相続した家を売却する流れや、売却時の注意点などについて解説しました。相続した家を売却する際には、特別控除を受けられる可能性があります。上手に利用すれば所得税を大幅に減らせるため、事前に適用条件などを確認しておきましょう。また、特別控除は相続した家に居住している場合と、居住していない場合では条件が異なり、相続した家に住んでいる方が使いやすい特例が多い傾向にあります。
相続した家を売却することで、維持管理費の削減やトラブル回避など、多くのメリットが得られます。不要な相続物件を放置している方は、売却を検討してみてはいかがでしょうか。関連記事
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