不動産管理会社に支払う管理費(手数料)はいくら?業務内容も紹介!
所有するアパートやマンションを賃貸物件として経営する際は、入居手続きや設備メンテナンスなどの管理業務を行わなければなりません。管理業務は個人で行うことも可能ですが、幅広い業務を一人で行うのは負担が大きく難しいとされています。そのため、多くの不動産オーナーは、管理業務を不動産管理会社に委託しています。
ただし、管理業務を委託する際は、手数料などの管理費がかかります。実際に管理を委託する場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
そこで、この記事では、不動産管理会社に支払う管理費の相場や、管理業務を委託するメリット・デメリットなどについて紹介します。
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不動産管理会社に物件の管理業務を委託する場合、毎月一定額の管理手数料を支払わなければなりません。まずは、不動産管理費や手数料などの相場を把握しましょう。
不動産管理費とは
不動産の経営には、入居者の募集から家賃の回収、設備のメンテナンスなど、さまざまな管理業務があります。これらの業務を1人で行うのは負担も大きく、現実的ではありません。このように不動産の管理業務の遂行が困難な場合は、不動産管理会社に業務を委託すると良いでしょう。
不動産管理会社に管理業務を委託すると、委託手数料がかかります。これを「不動産管理費」と呼びます。不動産経営を始める際は、不動産管理費も含めて収支計画を立てることが大切です。
なお、不動産管理会社に物件の管理業務を依頼する際は、依頼内容に応じて「全部委託方式」もしくは「一部委託方式」のいずれかを選択します。
全部委託方式
物件の管理業務全般を不動産管理会社に委託する手法です。管理業務をすべて委託するため、管理の負担を抑えられ、物件の資産価値や評判などが維持されやすくなります。しかし、管理会社の都合で管理業務の内容が決まるため、入居者の意向が業務内容に反映されづらいというデメリットがあります。
一部委託方式
管理業務の一部を不動産管理会社に委託して、残りの業務は自主管理もしくは専門業者に直接依頼する手法です。不動産管理会社に委託する業務が少ない分、管理手数料を比較的安く抑えやすいことが特徴です。ただし、委託を行わない業務はオーナー自らが行う、もしくは別途専門業者の手配が必要になります。相場は家賃の5%ほどと言われている
不動産管理会社の手数料は、一般的に家賃の金額に応じて決定されます。管理会社や依頼内容によって変動する場合がありますが、基本的には家賃の5%程度です。つまり、月々の家賃収入を100万円とすると、管理手数料は毎月5万円という計算になります。
なお、管理手数料は毎月発生します。空室の部屋がある場合でも管理手数料は発生するため、入居率が低い物件は管理手数料の負担が大きくなる恐れがあります。また、管理会社によっては契約時に「仲介手数料」として家賃1ヵ月分の金額が別途必要になったり、契約更新のタイミングで更新手数料が発生したりするようです。なかには、管理手数料が低く抑えられている会社や、10%と高めに設定されている会社もあるため、料金設定や依頼できる業務などは契約前に確認しましょう。管理手数料の基準は定められていない
管理手数料の設定や管理業務の内容は、公的な基準がありません。不動産管理会社の判断で業務内容や料金の設定は行われます。そのため、「手数料が同じだが業務範囲が異なる」というケースも珍しくありません。
前述したように、不動産管理会社のなかには手数料の安さを売りにしたり、定額制にしたりする不動産管理会社もあり、特に都心や新築物件に多くあります。しかし、手数料の安さだけで不動産管理会社を選ぶのは得策ではありません。管理会社の実績などをよく確認したうえで決めましょう。
なお、管理手数料無料の管理会社は近年増加しているものの、サービスの内容や品質は会社によって異なります。家賃保証や入居者募集の効率化などを重視している管理会社もあるため、管理会社のWebサイトや一括見積りサイト、SNSなどでサービス品質や評判を確認しておくと安心です。-
管理会社によって委託できる業務は異なるとご紹介しました。ここでは、一般的に管理費に含まれていることが多い業務、管理費以外の費用がかかる業務をご紹介します。
入居者に関する業務
不動産管理会社に依頼できる業務として「入居者管理業務」が挙げられます。
不動産経営を行っていても、入居者がいなければ収入がありません。そのため、入居者に関する業務は、家賃収入に大きくかかわるとされています。具体的な業務内容は、以下の通りです。
入居者募集
不動産経営を安定して行うには、入居者の募集が重要です。既存入居者で部屋が埋まっている場合は必要ありませんが、空室がある物件ならば必ず行いましょう。
管理業務を専門的に行っている不動産管理会社は営業力も優れているため、入居者の確保から内見の案内までを行ってくれます。
賃貸借契約の締結や更新
入居者が見つかったあとは、契約を締結させます。賃貸契約は、契約者とオーナーの間で契約交わすだけではありません。必要に応じて、家賃保証会社との契約や、家賃や敷金、礼金などの支払いをしてもらう必要があります。
また、契約は入居開始の際だけでなく、入居後に更新を行います。契約の内容に不備があるとトラブルに発展する恐れがあるため、プロである管理会社に任せた方が安心です。
家賃の集金
家賃の集金がスムーズにいけば問題ありませんが、ときには家賃の入金日を忘れていたり、経済的な理由で支払えなかったりする入居者もいます。そのような家賃滞納者には督促を行わなければなりません。しかし、督促の対応を1歩でも間違えると、入居者から訴えられる恐れもあるため注意が必要です。
入居者からのクレーム対応
不動産オーナーは、入居者が安心して暮らせるようにサポートをしなければなりません。しかし、オーナー一人で入居者全員の対応をするのは難しいでしょう。また、クレームにはさまざまな種類があるため、専門的な知識を持つプロに任せた方がスムーズに対応できるものもあります。精神的・肉体的な負担を考えると、管理会社に依頼するのが得策と言えるでしょう。
退去の手続きや精算
入居者が退去を希望する場合は、退去手続きを行わなければなりません。退去希望者から申出があれば、賃貸借契約書の内容に従い解約を進めます。退去時の立会いでは、室内の劣化状況を確認したり、退去者が室内に忘れ物をしていないか確認したりします。建物に関する業務
不動産管理会社に依頼できる業務の2つめは「建物管理業務」です。具体的には、以下のような業務が該当します。
共有部の定期清掃や点検
清掃、設備管理などは、オプション契約になっている場合もあります。清掃の場合、その頻度やどこまでやるのかなどは、不動産管理委託契約のなかで定められます。管理会社と相談して、清掃を行う範囲を決めましょう。
クリーニングやリフォーム
入居者が退去する際は、室内クリーニングが必要です。オーナーがクリーニングを行っても問題ありませんが、プロに任せた方が丁寧に仕上げてくれるでしょう。
また、設備が劣化したり周辺のニーズに適していなかったりする場合、リフォームを検討することがあるかもしれません。リフォームの際は、業者との打ち合わせや立会いが必要になります。管理手数料以外の費用がかかる業務
ここまでご紹介した業務のすべてが、管理手数料に含まれているとは限りません。一部の業務は管理手数料と別で料金がかかることも多くあります。 例えば、原状回復リフォームや室内設備の修繕などです。発生する頻度が一定でないことから、管理手数料とは別にその都度費用がかかるケースも珍しくありません。
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不動産管理業務を専門の管理会社に委託することは、物件の資産価値や入居率、評判などを向上させる効果が見込める方法です。ここでは、適切な形で不動産管理を委託するメリットについて解説します。
管理の質が高い
管理業務には家賃回収や設備点検、入居者への対応などさまざまあり、個人で対応するとなると大変な労力がかかります。これらの業務を不動産管理会社に委託することで、迅速かつ正確に業務を遂行してもらえます。委託できる作業としては、設備点検や修理業者の選定、手配なども含まれるため、物件の状態維持にもつながります。
管理が行き届いている物件は、入居者や入居検討者からの評判が向上しやすくなります。物件の評判は入居率に影響するため、適切な管理を行うことは、結果的に入居率の安定、家賃収入の向上などにもつながる重要なものとなります。トラブル時に対応を任せられる
入居者から物件の衛生環境、設備などに関するクレームが寄せられた場合、状況確認や業者の手配などは不動産管理会社に委託できます。自主管理では、トラブル時の対応が遅れたり、問題を把握できていなかったりする恐れもあり、より深刻な問題になりかねません。
例えば、家賃滞納が発生した場合、内容証明郵便の送付や明け渡し請求など専門的な手続きを行う必要があります。これらを個人で対応するには、弁護士や家賃保証会社等に別途依頼しなければなりません。しかし、不動産管理会社と契約していれば、家賃の督促などを代わりに実施してくれます。また、管理会社によっては、家賃滞納によって支払われなかった金額が保証されるサービスも備えられています。管理のための手間や時間がかからない
家賃回収や設備管理などの業務を不動産管理会社に委託することにおける最大のメリットは、賃貸物件の管理に使う手間や労力、時間を軽減できることです。
例えば、副業として不動産経営を行っている方は、限られた時間のなかで本業だけでなく副業の不動産管理も行わなければなりません。一部もしくはすべての業務を委託することで、自身の負担を減らせます。また、自宅から経営物件が遠いほど管理業務に要する労力は増えるため、遠方にある物件は不動産管理会社に委託した方がおすすめです。-
不動産管理会社に管理業務を委託する方法は、資産価値の向上を始めとしてさまざまなメリットがあります。一方で、不動産管理会社の選び方によっては家賃収入の減少や管理業務の品質低下といった問題が生じることもあります。ここで、不動産管理を委託するデメリットについて見ていきましょう。
家賃収入が減少する
冒頭でもご説明したように、不動産管理を委託する際は、一般的に家賃の5%ほどの管理手数料が発生します。また、設備管理や清掃などを別料金としている不動産管理会社もあり、委託を行うとその分家賃収入は減ります。
手数料無料の管理会社を選ぶのも良いですが、不動産に必要な業務と不要な業務をきちんと整理して、納得できる内容の不動産管理会社に管理を委託しましょう。管理会社ごとの質に差がある
管理手数料の割合や依頼できる内容が同じでも、不動産管理会社によって業務品質には差があります。例えば、入居者募集の効率や設備点検の頻度が不定期だったりなどです。
このような問題が見られる場合は、管理会社の解約や切り替えを検討した方が良いでしょう。なお、管理サービスの内容や料金設定などは、不動産管理会社のホームページや一括見積りサイトなどであらかじめ確認しておくことをおすすめします。
なお、トラブルを防ぐためには、家賃回収や設備管理といった業務が適切に行われているか定期的に確認することも重要です。すべての業務を委託していたとしても、オーナー自らが物件を定期的に確認し、必要以上の業務を依頼しないようにしておきます。-
管理会社を選ぶ際は、どうしても「手数料の安さ」を気にしてしまいがちです。しかし、手数料の安さだけで判断すると後悔することになるかもしれません。ここでは、その理由をご紹介します。
管理サービスの質が下がると退去につながる恐れがある
管理手数料がいくら安くても、肝心の管理サービスの質が低くては意味がありません。管理会社のサービスの質は入居者満足度に直結し、最悪の場合は解約につながりかねないためです。
退去が頻繁に起これば、オーナーの収益にも大きな影響を与えます。退去時には原状回復費用などがかかるうえに、新たな入居者が見つかるまで収入は得られません。手数料が安くても支出総額が高くつくことがある
「不動産管理を委託すると手数料だけがかかる」というわけではありません。「手数料率が低い会社に委託を頼んだものの、結局出費は多かった」というケースもあります。
そのような事態を避けるためには、管理会社を選ぶ前にトータルでどのくらいの管理コストがかかるかを検討する必要があります。例えば、建物の管理費用や緊急時の対応費用などといった固定費、他にも管理会社の過去の実績などを確認しておきましょう。-
適した不動産管理会社を選ぶには、集客力の高さや管理業務の質を適切に把握して比較検討を行うことが重要です。ここでは、不動産管理会社の比較検討を行う上で把握しておきたいポイントをご紹介します。
客付け力はあるか
客付け力が高い管理会社を選ぶと、委託した物件の入居率向上だけでなく、入居率を持続させる効果が期待できます。情報を探す際には、その会社の仲介実績や所持している物件と立地や築年数などの条件が似ている物件を探して、入居の具合を調べてみると良いでしょう。
管理手数料と管理内容のバランスが取れているか
繰り返しになりますが、管理手数料の高さやサービス内容は管理会社によって異なります。そのため、管理内容に対して管理手数料が適切であるか、きちんと確認しなければなりません。
例えば、家賃管理や工事の手配、入居者募集など一般的な管理業務が基本料金に含まれている場合、手数料は家賃の3%~10%が妥当だと言われています。
また、家賃管理を適切に実施しているかも重要なポイントです。日本賃貸住宅管理協会の統計によると、2021年下期における2ヵ月以上の家賃滞納率は全国平均で1.1%とされています。家賃管理を委託する際には、家賃滞納率を一つの基準にしましょう。担当者の対応は適切か
「定期清掃で物件がきれいに保たれていない」「入居者のクレームに対してレスポンスが遅い」などでは、入居者の満足度は下がってしまいます。退去につながらないようにするためには、担当者の対応もチェックしておきましょう。例えば、「連絡をきちんと返してくれるか」「電話口の対応は丁寧か」などです。
また、管理会社が管理している他の物件を実際に見に行ってみるのも良いでしょう。建物が老朽化していたり、不要品などが散乱していたりという状況であれば、業務の質は高くないことが予想されます。地域密着型か大手企業か
不動産管理会社を選ぶ際は、地域密着型の企業、大手企業のどちらを選ぶかも重要です。
地域密着型の管理会社は管轄地域における客付け力が高く、地域特性に合わせた管理業務を実施していることが主な強みです。基本的にトラブル対応が早く、入居率が維持されやすいという点も特徴になります。しかし、大手企業と比較して規模が小さく、業務が集中した際には対応が遅くなる恐れがあります。仕事の進め方が属人化している会社であれば、担当者によって管理業務の質が偏ることも考えられるでしょう。
また、大手の管理会社は知名度が高く、幅広い地域で安定した客付け力が見込めることが主な強みです。不動産管理と仲介を合わせて実施している会社が多いため、管理物件の入居率が維持されやすいことも挙げられます。ただし手数料が高かったり、基本的にグループ企業で建てた建物しか管理しておらず、途中からの管理に弱かったりするケースもありますので、注意は必要です。また、大手企業は人事異動によって担当者が変わる場合があります。適切に引き継ぎが行われていないと、トラブルが発生する恐れがあるでしょう。-
不動産管理の業務を委託する際には、家賃の5%が委託料金の相場になっています。管理会社によって委託料金はある程度異なっており、同じ料金でもサービス内容は会社によって差があります。そのため、不動産管理会社を選ぶ際は、さまざまなポイントに注意して慎重に選びましょう。
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