アパート経営時に車(車両費)は経費に計上できる?車選びや節税のコツも解説
アパート経営は、物件までの行き来や不動産管理会社との打ち合わせなどに車が必要な場合もあります。そのため、アパート経営時に車の購入費用が経費に計上できるのか、疑問に思うオーナーもいるのではないでしょうか。この記事では、アパート経営における車両費は経費に計上できるのかを中心に、経費の仕組みやメリット・デメリット、計上の仕方などを紹介します。
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アパート経営をしていると、物件までの行き来や不動産管理業者との打ち合わせなどで、車を使う場面が多くあります。そこで使う車の購入費用は、経費になるのかどうか気になるオーナーもいるでしょう。ここでは、経費の仕組みから経費に計上する際の基準について解説します。
経費の仕組み
経費とは、会計上における費用の一部で、事業のため収益を得る目的で使用したお金を指します。「出張費用」「飲食代金」「スマートフォンの料金」など、業務上必要となり発生する費用はさまざまです。
また、経費は法人税場における損金と同等の意味です。しかし、経費は会計上の、損金は税法上の概念として扱われているという違いがあります。なお、損金とは法人税を計算する際に収益から差し引かれる金額のことです。
よく耳にする「経費で落とす」という言葉は、事業のために使用した費用を、事業の経費に計上することを指します。例えば、「出張した際の交通費を経費で落とす」場合は、出張でかかった交通費を事業用の費用として経費計上するという意味です。
事業にかかる税金は収益から経費を引いた「事業所得(所得)」で計算されます。そのため、経費が増えると自動的に事業所得が減り、税額も減少するのです。事業でかかった費用を経費で計上すると、支払う税金を減らすことにつながります。車の購入費用は経費として計上できる?
結論から言うと、車の購入費用は経費として計上可能です。基本的に経費は「事業で使っているものにかかる支出」であれば認められるため、アパート経営の業務で使っている車であれば経費として計上できるでしょう。
アパート経営をしていると、車を使う場面は多くあります。例えば、物件まで行き来するために車を使用したり、業務を委託している不動産管理業者と打ち合わせのために車を使用したりなどです。このように業務に関するさまざまな場面で車を使っているため、車の購入費用も経費として計上できれば大きな節税になります。
ただし、いくら事業をするために購入した車であっても、100%事業のためにしか車を使っていないという方は少ないでしょう。そのような時に出てくるのが「按分割合」です。
按分割合とは、車をどの程度事業に関わることに利用しているのかを示した割合です。毎日車には乗るものの、アパート経営に関する目的で乗るのは週に4回であれば、7分の4なので、約4割をアパート経営の経費として計上可能となります。経費に計上できるかの判断基準
経費に計上できるかどうかの判断基準は「そのお金が事業のために使われたかどうか」です。また、経費として計上するためには証拠を残す必要があります。お金を支払った際の領収書やレシートはしっかりと保存しておきましょう。日付や名前、金額などの記載も要確認です。
経費として計上できる費用でも、交通費などは領収書もレシートもないというケースが考えられます。そのような場合は、出金伝票に記入して管理しましょう。
なお、より形式的な判断基準は以下の通りです。
・損金に算入できる=経費に計上できる
・損金に算入できない=経費に計上できない
注意点として、必ずしも経費が損金に算入できるわけではありません。会計上では会社が支出した全てが費用になりますが、税法上では扱いが異なる部分もあるため、損金にならない場合があるのです。このようなケースは「損金不算入」といいます。経費として計上するメリット
事業のために使ったお金を経費として計上すると、結果的に支払う税金を抑えられる点がメリットです。
世の中の全ての企業は利益が上がらなければ経営が成り立ちません。企業が営業活動をした結果、生み出された成果を収益といいます。その収益から経費を差し引いた金額が利益です。しかし、利益があれば税金を納める必要があり、税金の額は利益が上がるほど増えていくのです。何らかの費用を経費で落とした場合、経費として計上できる額が増え、利益は減少します。つまり、経費が増えると利益が減少するため納める税額が減り、節税につながるのです。経費として計上するデメリット
一方、経費として計上するにはデメリットも発生します。
事務負担が増える
事業で使った費用を経費として計上するには、領収書・レシート・振込み証明などの書類を保管しておく必要があります。また、それらの費用は事業の何に使ったのか、使用理由をしっかりと説明できるように管理しなくてはなりません。このように、経費処理には一定の作業が必要となるため、事務負担が増えます。
利益が減少する
経費が増えることで節税につながる、というメリットを紹介しましたが、いくら「経費で落とす」と言っても出費が増えることには変わりありません。経費を増やしすぎると利益が少なくなり、赤字になってしまう恐れがあります。また、金融機関からの借り入れを利用、または予定している場合、事業の赤字は印象が悪く、借り入れ審査に通らないケースもあります。
脱税を疑われる恐れがある
経費かどうか疑わしいものまで経費として計上すると、脱税を疑われる場合があります。経費として計上する際は、正当なものかどうかの判断が重要です。不安がある場合は税理士に確認すると良いでしょう。-
アパート経営のために購入した車の費用を経費に計上する前に、知っておきたいポイントをいくつか紹介します。
車の取得価額について
車の取得価額とは、自動車の購入にかかった金額のことです。注意点として、取得価格には自動車本体の購入価格だけではなく、付属品の費用や納車費用など、さまざまな費用が含まれます。
以下は、車の取得価額に含まれるものです。
・自動車本体価格
・付属品
・納車費用
・中古車の未経過自動車税
・中古車の未経過自賠責保険料
また、以下の費用は取得価額に含まれません。
・自動車環境性能割
・検査登録、車庫証明などの法定費用車の耐用年数について
車の耐用年数とは、車両を取得した日から何年使えるかという「固定資産の利用可能年数」です。税制の公平性を保つために、税務上の法定耐用年数は車両の大きさ・種類・用途などによって定められています。
普通自動車の新車は法定耐用年数6年、軽自動車の新車は4年です。しかし、同じ普通自動車でもタクシーやレンタカーの場合は4年と短くなります。タクシーやレンタカーは運送事業であり、車両の消耗が早いためです。新車・中古車のどちらであるか?
耐用年数は、新車と中古車を比較した場合、中古車の方が短くなります。減価償却費は耐用年数が短いほど経費に計上できる金額が大きくなるため、より多く、あるいは早く減価償却したいと考えるオーナーは、新車よりも中古車を購入した方が良いでしょう。
設定されている中古車の法定耐用年数は、軽自動車が4年、普通自動車が6年です。しかし、法定耐用年数は新車を基準としているため、中古車の詳細な耐用年数を知りたい場合は以下の計算式に当てはめて算出する必要があります。
法定耐用年数を全て経過している中古車
「法定耐用年数 × 20%」
例えば、7年落ち以上の中古車を購入した場合、普通自動車の法定耐用年数が6年であるため、「6年 × 20%= 1.2年」という結果になります。
上記の計算式を分かりやすくすると「6 × 0.2 = 1.2」です。
計算の結果は「1.2年」ですが、2年以内の場合は全て「2年」と見なすとされているため、この中古車の耐用年数は「2年」となります。
法定耐用年数の一部を経過した中古車
「法定耐用年数 − 経過年数 +(経過年数 × 20%)」で算出された数字を12で割ります。
例えば、3年4ヶ月落ちの中古車を購入した場合、計算式は以下のようになります。
6年 – 3年4ヶ月 +(3年4ヶ月 × 20%)
72ヶ月 – 40ヶ月 +(40ヶ月 × 0.2)= 40
40 ÷ 12 = 3.333……
1年未満の端数は切り捨てるので、法定耐用年数は3年となります。カーリースを利用する場合
車を購入した場合は、購入した年に全額経費計上はできず、減価償却によって複数年にわたって計上する必要があります。なお、カーリースを利用した場合は、購入した年に全額経費として計上が可能です。
また、車両の購入費用に加えて、以下の費用も経費として計上できます。
・自動車税
・重量税
・自賠責保険
・任意保険
・ガソリン
・修理、整備、点検、洗車代
・高速道路利用料金
・駐車場代
車を購入した場合と、カーリースの場合でここまで差がある理由は、車の取り扱いです。
車を購入すると、その車両は固定資産として扱われるため、減価償却によって法定耐用年数6年をかけて清算する必要があります。定額法または定率法の方法で、毎年の経費を算出します。算出する手間がかかるだけでなく、清算できない分の経費が数年間残る点が気になる方も多いでしょう。
一方、カーリースは利用者ではなくカーリース会社に保有権があるため、固定資産として扱われません。そのため、減価償却をする必要はなく、カーリース代を全額経費に計上できるのです。また、カーリース代には税金や保険料などさまざまな費用が含まれているので、経費精算の手間を省けます。-
アパート経営のために購入した車を経費計上するには、「減価償却」について理解する必要があります。以下で、減価償却の3つの計算方法を確認しましょう。
減価償却の計算方法①定率法
定率法は、毎年一定の割合で減価償却費が少なくなるように計算する方法です。計算式は「未償却の残高 × 定率法の償却率」となります。
具体的な計算方法は以下の通りです。
車を購入して初年度の場合
「車の取得価額 × 定率法の償却率×車を使用した月数÷事業年度の月数」
車を購入して2年目以降の場合
「(車の取得価額 − 減価償却累計額)× 定率法の償却率 × 車を使用した月数 ÷ 事業年度の月数」
定率法のメリットは、初期の段階での減価償却費が大きい点です。節税対策の一環として購入したものには、定率法を適用するケースが多数あります。減価償却の計算方法②定額法
定額法とは、取得した資産の法定耐用年数の期間内で、毎年均等に減価償却費を計上していく方法です。計算式は「購入価格 ÷ 法定耐用年数」です。法定耐用年数は財務省令によって物品ごとに定められています。計算式が単純で分かりやすいという点が定額法のメリットといえるでしょう。
ただし、事業年度の中途に車を購入し、1年間にわたって車を使用していない場合には、月数按分により計算します。計算式は「車の取得価額 × 定額法償却率 × 車を使用した月数 ÷ 事業年度の月数」です。減価償却の計算方法③リース期間定額法
リース期間定額法とは、カーリースを利用した際に用いる減価償却費の計算方法です。計算式は「車のリース費用の総額 × 車を使用した月数 ÷ リース期間の月数」となります。
ただし、リース期間が1年以内の車や、リース料の総額が300万円以下の車などは、減価償却の対象にはなりません。リース費用を一括でその事業年度の経費として計上します。-
ここでは、アパート経営のために購入した車を減価償却する際のポイントを紹介します。車を購入する際にも意識しておきたいポイントなので、よく確認しましょう。
決算月の翌月の経費として計上する
減価償却は一括で経費として計上はできず、月割り計算します。事業年度の始めに自動車を購入すれば、12ヶ月分をまとめて減価償却費として計上可能です。しかし、12月末が決算であるのに11月に自動車を購入してしまった場合、わずか2ヶ月分しか償却対象になりません。減価償却は車の使用開始日からカウントされるため、車の購入を決算月の翌月に合わせると年内の経費を多く計上できます。
車を下取りに出す場合の所得税に注意
車の下取りとは、ディーラーなどの車両販売店で新しい車を購入する際に、今まで乗ってきた車を売却して引き取ってもらうことです。新車の購入から、今まで乗ってきた車の売却まで同じ販売店で同時にできるため、手間がかからないのがメリットです。下取りは新しい車の購入が前提であり、下取り価格は新車の購入金額と合わせて交渉します。
アパート経営者をはじめとした個人事業主が、下取りで今まで使っていた事業用の車両を手放した際に売却益が出れば、譲渡所得として申告が必要となります。売却益が50万円以下の場合、特別控除の対象となるため非課税です。ただし、売却益が50万円以上になる場合は、所得税の課税対象となるため注意しましょう。購入する車の車種にも注意
スポーツカーやキャンピングカー、クラシックカーなどの趣味性や嗜好性が強い車は、経費計上における税務調査の際に、税務署から指摘が入る可能性があります。このような車を社用車として利用する場合は、事業にどのように役立てられているのか、業務上の必要性、業務とプライベートでそれぞれそれくらいの割合で使っているのかを明確にしておきましょう。
ローンで車を購入した場合の対応
車の購入資金を貸し付ける金融機関サービスを「カーローン」といいます。カーローンの利用者は、借り入れた金額を月々分割で返済していく仕組みです。そのため、まとまった費用がなくても車を購入できます。
カーローンで事業用の車を購入した場合、月々のローンの支払いは経費として計上できません。現金で車を購入した場合と同じく、元金を減価償却して計上する必要があります。しかし、ローンの利息分については、支払利息として別途経費として計上が可能です。ローンによる車の購入費用は固定資産、ローンは負債として計上できるため、月々の支払いを続けていくと徐々に負債が減っていく仕組みとなります。事業年度の間にローンで実際に支払った金額と、申告できる減価償却費は異なりますが、最終的な総額は同じです。-
車のように、購入金額が10万円以上で一定期間以上使えるものは「固定資産」にあたります。固定資産は購入年度に一括で経費計上できないため、減価償却の手続きを行い、毎年少しずつ経費計上する必要があるのです。減価償却を計算するには「耐用年数」を算出します。
新車を購入する場合
新車の耐用年数は、法律上6年と定められています。つまり、車の購入費用を6で割った金額を、6年間にわたって毎年経費として計上可能です。新車を420万円で購入した場合は、毎年70万円を経費に計上できます。ただし、この例は購入した新車を100%アパート経営事業のために使っている場合に限ります。
アパート経営事業以外の私用にも車を使用している場合は、「按分割合」という方法で計上する必要があり、車を使用しているうちの6割ほどはアパート経営事業に使っている、という状態であれば「70万円 × 60%」で、毎年経費として計上できるのは42万円です。金額は税務署によっても違いがあるので、アパート経営事業のために車を使用したことを証明できる領収書などを保存しておきましょう。中古車を購入する場合
先にも解説したように、中古車の法定耐用年数は、新車とは異なります。設定されている中古車の法定耐用年数は以下の通りです。
軽自動車:4年
普通自動車:6年
ただし、中古車は固体によって状態がそれぞれ異なります。見た目もきれいで機能も全く問題のない車両から、車体や内部の傷みが激しい車両までさまざまです。
国税庁の「令和3年9月1日現在法令等」によると、中古車の購入費を経費に計上する場合は、中古車の再取得価格(同じ車種・同じグレードのものを新品で購入するために必要な金額)の50%を超える金額で購入した時にのみ、法定耐用年数が適用されるとあります。
また、中古車は耐用年数が下がることがあり、結果的に1年間の減価償却費をさらに多く計上できる可能性があるのです。経過年数が相当たっているにも関わらず、新品と同じような状態の中古車を買った場合、中古車を購入した方が節税効果を期待できるでしょう。-
アパート経営で確定申告を行う際には、車以外にも経費に計上できるのかどうか迷う項目があります。ここでは、アパート経営の経費として計上できる項目と計上できない項目を紹介します。
経費として計上できる項目
以下は、経費として計上できる項目です。
租税公課
アパートの維持にかかる固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、事業税などです。
保険料
アパートの維持にかかる火災保険、地震保険、水災保険、施設賠償責任保険、孤独死保険 などです。ただし、数年分の保険料を一括で支払っている場合は、対象の年の保険料だけを計算して経費に計上します。
共用部の諸費用
アパートの共用部にかかる水道光熱費や、各種清掃費用です。
防犯費用
アパート一棟で契約している警備や防犯サービスの費用です。
修繕費
建物や住宅附属設備が劣化したり壊れたりした場合にかかる修繕費です。交換費用も含まれますが、修繕は原状回復が基本となっています。性能向上のために費用をかけると「取得原価扱い」になり、経費計上できないので注意しましょう。
管理委託費
不動産管理会社にアパートの管理を任せている場合に支払う費用です。
立退料
立退料とは、オーナー側の事情で入居者に退去を求めた際に、入居者の損害を補うために支払う費用です。立退料には、引越し費用に加えて、転居先で家賃が上昇する場合にはその差額分などが含まれます。
広告宣伝費、仲介手数料
アパートの入居者を募集する際にかかる費用です。
建物、設備の購入費
アパートを購入または建築した費用です。ただし、支出した年に全額を経費に計上することはできません。減価償却費として法定耐用年数の期間に按分し、経費に計上します。
借入金の利息
アパートを購入または建築する際に組んだローンの利息分です。ただし、不動産所得が赤字の場合は土地に関する利息分は経費として計上できません。
専門家への報酬
不動産所得を含めた所得税の確定申告を税理士に委託している場合、その報酬も経費計上できます。確定申告は毎年必要となるため、年に1度の税理士報酬が最低限発生する経費と位置づけられます。また、司法書士への報酬や弁護士への報酬なども同様に経費計上が可能です。
事務用品費、通信費
パソコンの購入費用、電話やインターネットなどの通信費です。また、アパート経営における事務業務で使用する事務用品費も計上できます。
貸倒損失、除却損
家賃収入が回収できなかった場合の貸倒損失、賃貸用不動産の取壊し費用(除却損)です。
専従者給与
「専従者給与」とは、同一生計である親族が不動産賃貸業に従事している場合に支払った給与を必要経費として計上できる制度です。専従者給与を経費に計上するには、「青色申告の承認を受けている」「青色事業専従者給与の届出を提出している」といった条件があります。青色事業専従者給与の届出提出期限は、適用を受ける年の3月15日なので注意しましょう。
また、青色申告の適用を受けていない場合でも、一定額を必要経費に計上できる「事業専従者控除制度」があります。経費として計上できない項目
続いて、経費として計上できない項目を見ていきましょう。
土地の購入費
アパート経営の初期費用のうち、土地の購入費は経費として計上できません。理由としては、土地は年数が経過しても価値が減らないと考えられているからです。建物の場合、年数が経てば劣化して価値が減り、売却する際はその分を考慮して取引されます。一方土地は、年数が経過しても地価が同じであれば、購入時に近い価格で取引される傾向が強いのです。
所得税、住民税
アパート経営者が納める所得税や住民税も、経費として計上できません。
借入金の元本
投資用不動産ローンなどにおける借入金の元本は、アパート経営の経費に計上できません。
アパート経営者本人の給与や福利厚生費
アパート経営者本人の給与や福利厚生費は、不動産所得の経費にはなりません。基本的に所得には自分自身の給与という概念がないためです。例外として、白色申告であれば事業専従者としての配偶者や親族の給与は経費に計上可能ですが、その分の配偶者控除が得られなくなるため注意しましょう。
また、福利厚生費の場合も同じです。事業専従者の慰安を目的とした飲食などの料金は経費として認められることがありますが、アパート経営者本人の福利厚生は経費として計上できません。
敷金や証金の返還金
敷金や保証金など、入居者の退去時に返還する必要のある費用は経費計上できません。敷金や保証金は「預かり金」であるためです。ただし、物件の取り壊しなどに伴い賃借人に支払う立退料を負担した場合は、経費として計上できます。-
ここでは、アパート経営時において車以外で経費を節約する方法を紹介します。以下を参考に、お得なアパート経営を目指しましょう。
私用(プライベート)でも使う車なら「家事按分」
「家事按分」とは、一つの費用について「アパート経営」と「使用」での利用割合を算出する方法です。家事按分をすることで、アパート経営のために利用した分だけを経費として計上できます。例えば、アパート経営と私用で使っている携帯電話があり、利用料を経費計上したい場合、家事按分で利用割合を算出すると正しく経費計上できるのです。
節税対策のカギは「青色申告」
節税対策として必須なのが「青色申告」です。多くの優遇措置が得られる青色申告は、不動産所得でも利用可能なため、ぜひ活用しましょう。
アパート一棟の小規模な不動産でも、青色申告で「10万円の特別控除」が得られます。アパートの部屋数が10室以上ある、「一定以上の事業規模」と認められた不動産であれば、最大65万円の「青色申告特別控除」が適用されます。しっかりと必要書類をそろえて確定申告するだけで、65万円の控除を得られるのは大きな魅力といえるでしょう。
また、青色申告は配偶者を含む家族に支払う給与を原則全額経費にできる「青色専従者給与制度」も活用可能です。配偶者控除・扶養控除は得られなくなりますが、大きな節税効果が期待できます。
さらに、青色申告は赤字を3年間繰り越せるというメリットがあります。赤字の翌年に黒字が出て課税所得が大幅に増えても、前年の赤字分で相殺可能なため所得税額を抑えられるのです。節税を重視するなら「税理士」を味方につけよう
節税を重視するなら、税理士と顧問契約を結び味方になってもらいましょう。以下は、税理士と顧問契約を結ぶメリットです。
・正確な数字を把握できる
・正確な決算と確定申告ができる
・帳簿や書類作成のコストを削減できる
・税金の悩みを相談できる
・税務調査が入っても安心
節税に関して専門的なアドバイスができるのは税理士だけです。効果的な節税のためには、信頼できる税理士を見つけて、定期的に打ち合わせを行い、会社の状況をしっかりと把握してもらいましょう。収益の規模が大きくなれば法人化も視野に
前述のように、一定以上の事業規模に該当するアパート経営者であれば、青色申告の選択で大きな節税効果が得られます。しかし、さらに事業規模が大きくなるようなら法人化するのもひとつの選択肢です。
法人化には「代表者の給与を経費にできる」「従業員の給与や社用車など経費の幅がさらに広がる」というメリットがあります。加えて、法人税率の低さが大きな魅力です。不動産で得られる利益が年間1,000万円以上になるなら、法人化も検討してみましょう。-
ここでは、アパート経営時における車や経費関連の主な注意点を見ていきましょう。特に領収書やレシートの保管は、日常的に意識しておきたいポイントです。
個人と法人では経費と見なされる項目が異なる
個人と法人では経費と見なされる項目が異なります。最も大きく違うのは、事業用と私用の線引きです。
法人の場合、法人名義で所有している車の減価償却費や、法人名義で加入している保険や、契約している賃貸住宅などの費用を、事業のための出費として経費に計上できる可能性があります。
しかし個人の場合、アパート経営のために利用している割合のみ経費になり、保険料や退職金に関しては経費になりません。個人が法人と同様に経費を計上すると「私的な生活費も経費として計上している」と税務署から指摘が入る恐れがあるため注意しましょう。
個人の場合、使用している車や住んでいる住宅の費用をアパート経営のためだけに使っているとは捉えられにくく、計上できたとしても一部にとどまってしまうケースが多いのです。
事業のための費用か、私用のための費用かの線引きのしやすさにより、さまざまな項目で法人の方が経費計上を認められやすくなっています。領収書やレシート保管にはコツがある
領収書やレシートは、「いつ」「誰に」「いくら支払ったのか」を客観的に証明する重要な書類です。費用を支払った証拠として、確定申告または法人税申告の期限日から一定期間保管することが義務付けられています。申告処理が終わっても保管しておきましょう。
税務調査や監査などが入ると、領収書やレシートの提出が必要になる可能性があります。月別・項目別に、ファイルや封筒を使って保管しておくのがおすすめです。
また、1つのレシートにアパート経営業務に関わる支払いと私用での支払いが混在している場合は、どの項目がアパート経営の経費なのかをレシート上にメモしておきましょう。
取引先との飲食代についての領収書を受領する際は、支払いの詳細を証拠として残しておくために以下の内容を記載する必要があります。
・宛名
・日付
・金額
・摘要
・支払い先
・費用の具体的な内容
・取引先の会社名、担当者名、人数
なお、領収書やレシートの保管義務期間は、個人か法人か、または確定申告が青色か白色かによって異なります。
法人:7年間
個人(青色申告の場合):7年間
個人(白色申告の場合):5年間
上記の期間は、法人の場合「法人税申告期限日」から、個人の場合「確定申告の期限日」から起算します。ただし、青色申告で確定申告をしている個人の場合、前々年の所得が300万円以下であれば保管義務期間は5年間になります。ローンや保険の見直しも大切
アパートローンを組んでいる場合は、融資元の金融機関を変更することでローンの金利を下げられる可能性があります。高い金利で融資を受けているオーナーは、借り換えを検討するのもおすすめです。ただし、借り換えには手数料が発生し、必ず条件が良くなるわけではないため慎重に検討しましょう。
地震保険や火災保険などに加入している場合、それらの保険を見直すのも大切です。保証内容が同じでも、保険会社によって値段が異なる場合があります。定期的に保険プランを見直し、必要であれば乗り換えを検討しましょう。また、保険料の支払い方法を分割払いにするのも有効です。分割払いにするとまとまった支払いがなくなり、効率的に経費として計上できる可能性があります。-
経費とは、事業のため収益を得る目的で使用したお金のことです。経費は「事業で使っているものにかかる支出」であれば認められるため、アパート経営の業務で使っている車であれば、経費として計上できます。アパート経営をしていると、車を使う場面は多くあるため、車の購入費用も経費として計上できれば大きな節税効果が期待できるのです。
また、アパート経営のために購入した車を経費計上するには、「減価償却」についてしっかりと理解しておかなければなりません。アパート経営の経費を節約する方法を理解し、お得なアパート経営を実現しましょう。関連記事
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