賃貸物件の管理費とは?主な用途や相場、管理費無料物件についても解説
賃貸物件とは、物件のオーナーが部屋の貸し出しを行い、賃料を得ることを目的とした物件をいいます。賃貸物件の入居時は家賃を支払いますが、他にも物件の「管理費」を払う必要があります。管理費とは、入居者が快適に住めるよう物件を管理・維持する際に使われる費用です。
この記事では、賃貸物件に興味がある方や、これから入居しようと考えている方、管理費の仕組みを詳しく知りたい方向けに、賃貸物件の種類や管理費の主な用途を解説します。また、管理費無料・管理費込み物件の仕組みや、本当にお得なのかどうかも紹介します。
-
はじめに、賃貸物件の概要を解説します。賃貸物件にはいくつか種類があるため、どのような種類があるのか、それぞれの特徴は何か確認しましょう。
賃貸物件とは
賃貸物件とは、物件のオーナーが賃料をもらうことを目的に、部屋の貸し出しを行う物件をいいます。賃貸物件の契約者は、契約時に初期費用として敷金・礼金または保証金などを支払う必要があり、入居後は毎月指定された額の家賃を支払います。
賃貸物件の主な種類は以下の通りです。
・賃貸マンション
・分譲マンション
・タワーマンション
・アパート
・一戸建て
・団地賃貸マンション
マンションに明確な定義はありませんが、「3階建て以上」あるいは「鉄筋コンクリート(RC)造または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造」で「住戸数の多い物件」を指します。鉄筋コンクリートなどで作られているため、断熱性能が高い点も特徴です。
賃貸マンションの場合、1棟につき1人のオーナーが管理していますが、管理業務を不動産管理会社に委託しているケースも多く見られます。住宅用や店舗用として貸し出しているため、設備にこだわっている物件は少ない傾向です。分譲マンション
分譲マンションとは、一棟のマンションを一住戸ごとに分割して販売しているマンションです。分譲とは「分割譲渡」の略であり、一般的に「マンションを購入する」というのは、分譲マンションを購入する意味にあたります。賃貸マンションとして貸し出している分譲マンションは「分譲賃貸マンション」「分譲賃貸」と呼ばれます。
前述した賃貸マンションは1棟に1人のオーナーがついていましたが、分譲マンションの場合はほとんど1部屋ごとにオーナーがついているのが特徴です。また、分譲マンションは、賃貸マンションよりも設備や内装が充実している傾向にあり、賃貸物件の中でもやや高めに相場が設定されています。タワーマンション
タワーマンションも、マンションと同様に明確な定義はありません。一般的には「地上20階建て以上の高層マンション」がタワーマンションと呼ばれています。駅前や駅周辺に建てられるケースが多く、家賃が高い傾向です。
タワーマンションは分譲マンションよりも設備が充実しており、中には建物内にラウンジやジムといった共用施設が入っている物件もあります。アパート
実は、アパートとマンションの明確な違いは定義されていませんが、「2階建て以下の木造または軽量鉄骨造の建物」がアパートとされています。
木造アパートの場合、通気性には優れているものの、軽量鉄骨造に比べると強度は劣ります。また、築年数が古い物件も多くあるため、マンションよりも家賃が安い傾向です。一戸建て
賃貸物件の一戸建ては「貸家」や「借家」とも呼ばれます。賃貸の分譲マンションのように、所有者が設備の管理や修理費の負担をするのが特徴です。
賃貸物件の一戸建ては、持ち家よりもコストを抑えられるため人気がありますが、物件の数はあまり多くありません。団地
団地とは、同一敷地内に建てられている共同住宅の建物群のことです。「公営住宅」「UR賃貸住宅」「公社住宅」などが団地に該当します。敷地内にお店や病院、公園などが併設されている団地もあり、ファミリー層からの注目が集まっています。
-
賃貸物件における管理費とはどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、管理費の定義と主な用途、公益費との違いを解説します。
管理費の定義と主な用途
管理費とは、入居者が快適な生活を送れるように、物件を管理・維持する費用です。入居者にとっては月々の支払いにも関係してくるため、管理費の金額も考慮した上で入居物件を決める方は少なくないでしょう。管理費には明確な設定基準がなく、金額はオーナーが設定できます。
以下は、管理費の主な用途です。
・共用部分の電気代、電球交換費
・共用部分の水道料金
・共用部分の清掃費、修繕費
・管理人の人件費
このように、管理費は主に共用部分の維持管理や修繕などに使われています。しかし中には、十分な管理が行き届いていないにもかかわらず高い管理費が設定されている、というケースがあるため注意しなければなりません。これから物件への入居を考えている方は、内見の段階で物件の管理状況も確認しましょう。管理費と共益費の違い
管理費と間違えられやすい言葉に「共益費」があります。公益費とは、入居者が共同で使用する共用部分の設備や施設の運営、維持に関する費用です。「管理費」と「共益費」とは明確に定義分けされておらず、ほとんど同じような意味合いで使われています。そのため、賃貸住宅に入居した際はどちらか一方のみが必要です。管理費と共益費のどちらも必要になるケースはありません。
また、もう一つ似た意味を持つ言葉として「修繕積立金」があります。修繕積立金とは、エントランスや廊下、壁、床などの共用部分の維持・修繕を行う「大規模修繕」のために徴収される費用です。物件の「資産価値」を守るための費用であり、分譲特有の費用であるため、分譲以外の物件にはない概念といえます。賃貸と分譲では管理費に対する考えが異なる
マンションには「賃貸マンション」と「分譲マンション」があり、それぞれで管理費に対する考え方が異なります。
賃貸マンション
賃貸マンションは、管理費と家賃を一緒にしていることが多い傾向にあります。「物件の維持管理に必要な費用=管理費」とはなりません。
分譲マンション
分譲マンションは、物件の維持管理にかかるコストを住民で割って負担します。管理に必要な費用が安ければ管理費もその分安くなり、管理にかかった費用が高ければ支払う管理費も高くなります。-
管理費は、賃貸物件に関係するあらゆるシーンで使用される費用です。ここでは、管理費の相場を見ていきましょう。
賃貸物件の管理費の相場は?
基本的に家賃と管理費はオーナーが自由に設定できるため、はっきりとした価格相場は存在しません。古いアパートであれば3,000円程度、中程度のマンションは5,000円程度のところが多い傾向です。タワーマンションでは10,000円以上のところもあります。
管理費または共益費は、家賃の5〜10%、エレベーター付きの物件であれば家賃の7〜10%の範囲に収まることがほとんどです。
共用部分の設備に関しては物件によって異なります。防犯カメラや宅配ボックス、24時間持ち込み可能なゴミ置き場など、設備が充実するほど管理費は高くなります。同じ物件なのに管理費が異なる理由
各戸に振り分けられる管理費ですが、同じ物件にもかかわらず金額が異なるケースは少なくありません。理由として、「部屋の広さ」と「入居したタイミング」が挙げられます。
部屋の広さ
主にマンションで見られる理由です。同じマンションでも、部屋の広さによって管理費の金額に差を付けている場合があります。例えば、40㎡の部屋では5,000円、60㎡の部屋では8,000円といった具合です。もちろん管理費を統一しているマンションもあるため、物件選びの際には事前に確認しておくと良いでしょう。
入居したタイミング
物件に入居したタイミングによっても管理費は変わります。1〜3月は新生活にけて向けて引越しをする方が多く、オーナーや不動産管理会社にとっては繁忙期です。一方、8〜10月は引越しをする方が少ないため、空室が増える傾向にあります。そこで、一刻も早く空室を埋めるために管理費の金額を下げることがあるのです。管理費を低くしすぎるとオーナーの家賃収入が減ってしまうため、バランスを考えながら設定されます。-
入居者が管理費を支払うタイミングはいつになるのでしょうか。ここでは、管理費の支払いについて、管理費の値下げ交渉や、支払いの拒否はできるのかどうかを解説します。
管理費を支払うタイミング
管理費は、毎月の家賃と合わせて支払います。指定口座への振込・自動引き落とし・オーナーへの手渡しなどで支払います。自動引き落としで支払う場合は、指定口座の残高が不足しないように注意しましょう。
また、場合によっては管理費だけを半年分や1年分まとめて支払えることもあります。まとめての支払いを希望の場合は、管理会社やオーナーに確認が必要です。管理費の値下げ交渉は可能?
賃貸物件の家賃はオーナーの判断で設定されているため、交渉が可能です。それと同じように、管理費も値下げ交渉ができます。交渉すれば必ず値下げしてもらえるというわけではありませんが、条件次第で試してみる価値はあるでしょう。
また、「物件の設備が十分ではない」「共用部の掃除が行き届いていない」「設備のわりに管理費が高い」といった状況の場合、管理費の値下げ交渉をしてみるのもおすすめです。管理費の支払い拒否は可能?
「物件の設備が十分ではない」「共用部の掃除が行き届いていない」「設備のわりに管理費が高い」など、管理状態に不満があったとしても、管理費の支払い拒否はできません。管理費を支払わなかった場合、賃貸借契約を解除される恐れがあります。
-
物件探しをしていると、「管理費込み」「管理費0円」といった表示を目にすることがあります。管理費込みとは、家賃に管理費が含まれているという意味です。管理費0円もほぼ同義です。管理費の請求がないためお得だと感じる方もいるかもしれませんが、ほとんどは管理費が家賃に含まれています。中には実際にお得になるケースや、逆に損をしてしまうケースがあるため注意しましょう。
管理費込み、管理費0円の物件がお得になるケース
管理費込みの物件や管理費0円の物件でお得になるのは、「勤めている会社からの家賃補助が家賃のみの適用で、管理費や共益費は自己負担している」方です。
例えば、家賃が6万円、管理費・共益費が4,000円の物件と、家賃が6万4,000円、管理費・共益費が0円の物件があったとします。この際、勤めている会社の家賃補助が「家賃の全額を補助する」ケースで考えると家賃が6万円、管理費・共益費が4,000円の物件では、管理費・共益費の4,000円を毎月自己負担する必要があります。しかし、家賃が6万4,000円、管理費・共益費が0円の物件では、6万4000円の全額を会社が負担してくれるため、自己負担額が0円となるのです。
会社の家賃補助でお得に支払いをしたい方は、物件選びの際に制度の内容を確認しましょう。管理費込み、管理費0円の物件で損をするタイミング
一方、「管理費込み」「管理費0円」の物件でも、損をしてしまう場合は「初期費用を支払う時」や「更新料がかかる物件の契約を更新する時」です。
賃貸物件を契約する際は「仲介手数料」「敷金」「礼金」といった初期費用がかかり、物件によっては「契約更新料」もかかります。これらは「家賃の数か月分」と設定されていることが多く、管理費分・共益費が家賃に上乗せされていると、初期費用や更新料が割高になってしまうのです。管理費込み、管理費0円の物件を契約する前の注意点
物件を探していると目にすることが多い「管理費込み」や「管理費0円」の表示ですが、お得だと思って飛びつく前に、周辺の家賃相場をよく確認しましょう。周辺にある物件の家賃と管理費の合計金額が、「管理費込み」「管理費0円」の物件と同じような金額だった場合、お得感はありません。
このような場合、家賃に管理費の分をプラスして「管理費込み」「管理費0円」とうたっている可能性が高いのです。仲介手数料などにより、初期費用が割高になってしまうケースもあるため注意しましょう。
掲載されている情報に管理費や共益費の掲載がない時は、家賃に管理費は含まれているのか、含まれているとしたらいくらか、という点をしっかり確認する必要があります。
また、家賃に管理費が一切含まれておらず本当の意味で管理費が0円だった場合は、エントランス・廊下などの清掃を誰が行うのかといった点や、共用部分の電球が切れた時の処置などを確認しておきましょう。1階にオーナーが住んでいるようなアパートであれば問題ありませんが、一般的なマンションの場合は、共用部分が汚れていたり電球が切れていたりしても放置される事態が起こりかねません。-
賃貸物件とは、物件のオーナーが部屋を貸し出し、賃料をもらうことを目的とした物件です。賃貸物件の契約者は、契約時に敷金・礼金または保証金などの初期費用を支払う必要があり、入居後は毎月指定された額の家賃を支払います。賃貸物件の種類は「賃貸マンション」「分譲マンション」「タワーマンション」「アパート」「一戸建て」「団地」と多種多様です。
また、管理費とは入居者が快適な生活を送れるように、物件の管理・維持を行うための費用を指します。管理費は月々の支払いにも関係してくるため、金額を考慮した上で入居物件を決める方も多いでしょう。
管理費には明確な設定基準がなく、オーナーが金額を設定します。はっきりとした価格相場は存在しませんが、一般的には家賃の5〜10%、エレベーター付きの物件であれば家賃の7〜10%の範囲に収まることがほとんどです。戸数が少ない物件や高層物件はさらに管理費が高くなる傾向にあります。
物件を探していると目にすることが多い「管理費込み」や「管理費0円」の表示ですが、本当にお得なのかどうか周辺の家賃相場を調べましょう。加えて、家賃に管理費は含まれているのか、含まれているとしたらいくらか、という点をしっかりと確認することが大切です。-
賃貸物件とは何ですか?
賃貸物件とは、物件のオーナーが賃料をもらうことを目的に、部屋の貸し出しを行う物件をいいます。賃貸物件の契約者は、契約時に初期費用として敷金・礼金または保証金などを支払う必要があり、入居後は毎月指定された額の家賃を支払います。
-
管理費無料、管理費込みの物件はお得ですか?
管理費の請求がないためお得だと感じる方もいるかもしれませんが、ほとんどは管理費が家賃に含まれています。お得になるケース、損をするタイミング、契約する前の注意点を解説しています。
詳細はこちらを参考にしてください。
関連記事
-
相続した家を売却するにはどうすれば良い?メリットや注意点などを解説
地主が亡くなると、相続人となった方は家を相続します。しかし、家の相続は頻繁に発生することではないため、手続きや費用について分からない方も多いのではないでしょうか。中には、相続した家の売却を検討している方もいるでしょう。家を売却する際は、名義変更や不動産業者との契約、家の掃除や引っ越しなどやるべきことはたくさんあります。しかし、家を売ることで得られるメリットもあるのです。 この記事では、相続した家を売却するまでの流れや売却するメリット、売却時の注意点について解説します。また、家の売却時に発生する税金や特別控除についても紹介します。 しかし、所有している土地でアパート経営を始めるには、いくつかのリスクがあることも覚えておきましょう。それぞれのリスク回避のために適切な対策を行って、効率的な土地活用を行いましょう。 この記事では、土地有りでアパート経営を行うメリット・デメリットについて、そして経営を進める時の流れや必要な資金などについて解説します。
-
住まない実家は相続してはいけない?いらない実家の活用法もご紹介!
親が亡くなり遺産相続の検討をしなければならなくなった際、住む予定のない実家の取扱いが問題になることがあります。基本的に、住まない実家の相続はしてはいけないとされています。子どもが独立し、親だけが住んでいた実家は、子どもが実家に戻る予定がないのであれば、空き家となってしまうからです。 では、住まない実家はどのように処分すれば良いのでしょうか。この記事では、住む予定のない実家を相続してはいけない理由や、いらない実家の処分方法、相続放棄の方法などについてご紹介します。 「実家の相続どうしよう……」「親が生きているうちに処分できる方法はあるの?」とお悩みの方も、ぜひご参考ください。
-
相続放棄した土地はどうなるのか?管理義務や手続きについて解説
被相続人から受け継ぐ財産の中には、建物や土地といった不動産を相続するケースもあるでしょう。不動産を相続できることは、一見するとメリットに思えますがそうとは限りません。利用価値がない土地であれば活用が難しく、資産価値がなければ納得する金額での売却も困難です。 どうしても土地を相続したくない場合には、「相続放棄」を検討してみるのも良いでしょう。しかし、土地に限定して相続を放棄することはできるのでしょうか。この記事では、不動産の相続放棄を考えている方に向けて、土地の相続放棄について解説します。
タウングループ不動産管理事業- 賃貸債務保証業務代行 株式会社イズミ
- 賃貸契約に関する家財保険 イズミ少額短期保険会社
- 建物・お部屋のリフォーム 株式会社イズミリフォーム
不動産仲介・周辺事業- 賃貸不動産仲介(首都圏) タウンハウジング
- 賃貸不動産仲介(東海) タウンハウジング東海
- 賃貸不動産仲介(九州) タウンハウジング福岡
- 土地・建物の不動産販売及び仲介 タウン住宅販売
- 首都圏を中心に引越サービスを展開 タウン引越サービス
建築事業- 賃貸住宅の企画・設計・施工 アヴェントハウス
多角化事業- 都内を中心に飲食店を運営 タウンダイニング
- インドアテニススクール タウンインドアテニスアカデミー